歴史に学ぶ人事・経営論

横浜の社会保険労務士・行政書士関口英樹です。

相手の要求の件

2021-07-27 09:32:29 | 歴史に学ぶ人事経営論
武士の世が終わろうとしていた幕末。
ペリー率いる4隻の軍艦(黒船)が、浦賀に出現。60問を超える大砲で威嚇した。

ペリーは、幕府への要求が記載された国書を渡し、言い放った。
「我々は、来年、今回より多数の軍艦で日本を再訪する。国書の返事は、その時にいただきたい。」
その国書の要求は、下記の3つだ。
・漂流民の保護
・燃料である石炭と食料の提供
・貿易

そんな折、江戸城に一人の武士が呼び出された。
昌平坂学問所の長官(現在の東大学長プラス官僚)である林復斎だ。幕府きっての見識の持ち主と名高い人物である。
「急に呼び出してしまい、申し訳ない。この国難の対処にあっては、そなたをおいて他にはおらん。頼んだぞ。」
「ははっ。」

ペリーとの交渉役に、武力ではなく知力で勝負すべく、急きょ、任命されたのだ。
まず、林は、ペリー艦隊を徹底的に分析。海外情勢に詳しい知識人から意見を求めた。
「黒船は強大ですが、彼らには戦う意図はありません。補給が一切できないからです。」
当時、アメリカから日本への航路は、大西洋を渡っていた。途中、燃料の石炭が足りず、帆を張って航海していたのだ。
最新の蒸気機関を動かしたのは、日本到着の二日前だったのだ。船員の食料も不足がちで病人や死者も続出。日本側には隠していたのだが、補給はペリーの泣き所だったのだ。

翌年、ペリー艦隊が9隻の大艦隊を引いて、再び訪れた。500人の兵士を引き連れ、横浜に上陸。
「我がアメリカ合衆国は、人命を第一とする国だ。ところが貴国は、他国の船が遭難しても救助せず、砲撃する有様だ。かかる敵対行為を続けるならば、我々は、国力を尽くして戦争をするつもりである。よくよく考えられたい。」
武力をちらつかせるペリー。
「貴公の申されるように、戦となれば致し方あるまい。」
戦争という脅しは、補給という弱点から実行不可能と分かっている林は、冷静に続けた。

「我が国は、これまで難波した異国の船に薪や飲み水を与え、救助するよう触れを出している。むろん、貴国の船に対してもそうだ。貿易であるが、我が国は、自らの産物で足りている。異国の品がなくても不足はない。」
林は毅然とした態度で突っぱねた。

相手の望み、要求、弱みを把握した上で、対応する。現在のビジネスも、またしかりではないだろうか。


~中小企業の人事・法務担当~
〒221-0005
神奈川県横浜市神奈川区松見町1-12-12-3F
関口総合法務事務所
社会保険労務士・行政書士 関口 英樹
T&F 045-401-0842
携 帯 080-1174-9553
E-mail hide@hide2008.com
https://www.hide2008.com/
★社会保険・就業規則等の人事労務手続
★建設・産廃・宅建・運輸等の許認可
★請負契約書・合意書等の企業法務書類
<人事・企業法務・許認可を総合的にサポート>

ALPHA FOLKS株式会社
★社外パートナー面談制度
★社外相談・通報窓口制度
・社員が抱えている課題を吸い上げたい
・芽が大きくなる前に問題を摘み取りたい
・労使の立場の違いによるギャップを埋めたい
・外部の機関が介入する前に対処できる
・外部には相談しづらい内容も相談・通報できる
<社外の第三者だからできることがある>


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 7月のカレンダー | トップ | 二心を見抜く方法 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

歴史に学ぶ人事経営論」カテゴリの最新記事