
絵のタイトルは、「命の水」です。
戦時下、常に水争いが絶えない島に、水が年中湧く洞窟を掘らせた海軍大尉の記念碑です。
(短編小説「さなさん」より)
NHKスペシャルで、日本海軍の特集をやった。
戦後、反省会と称して日本海軍のトップ集団が集まって話したテープが出てきた。
第二回のタイトルが「やましき沈黙」であった。
やましい(疾しい・疚しい)とは、
病気の感じである。気分がすぐれない。
あせり・不満・腹立たしさなどを感ずる。心中おだやかでない。じれったい。
良心に恥じるところがある。うしろめたい。
(広辞苑より)
天皇直属の軍令部(海軍)の話が中心であった。
それはおかしいと思っても言えない空気があり、悪い方向にみなが流された。
勝てる見込みのない戦争の話であり、死ぬことを前提とした特攻作戦などである。
海軍は、陸軍と違って良識のある組織と感じていたが、違った。
「やましき沈黙」とは、戦争のすべてにおいて考えられる、組織に属する個人の責任のことである。
私達は、生まれてから死ぬまで組織に関わって生きている。
家族、学校そして会社や町内会である。
自由にものが言える時代に、忖度や長いものには巻かれるみたいな大人の行動が求められる。
わが身可愛さの「やましき沈黙」について考えてみたい。
群れて生活するのが私たちの生き方である。
人と違うのが、気になるものである。
いじめにあい転校をする。転職をする。
つい最近まで落ちこぼれ(負のイメージ)と扱われた。
NHKのナレーターも言われていたが、私も「やましき沈黙」に陥る危険性を抱えている。
権力とは、
他人をおさえつけ支配する力。
支配者が被支配者に加える強制力。
(広辞苑より)
戦争被害について語る番組は多い。
転げ落ちるように権力に座していったのか、知らせてはくれない。
戦争を進めたもの、戦争に参加したもの、被害にあったものすべてが語らなければならない。
権力を目の当たりにし、「やましき沈黙」に陥った。
おかしいと思いながらも、誰も反対できなかった。
作戦会議で特攻作戦(100%死ぬ攻撃)を決めた経過を誰も語らない、責任をとらない。
私で最後にしてほしいと学徒出陣で特攻志願した。(実際は、断れない命令があった)
私は、転職を繰り返した。二回もリストラされた。
こんなことではいけないと、会社を辞めた。
新しい職を得るのに苦労した。新しい職場の村意識に嘆いた。
それでも食いつないだ。
私にとっては、ささやかな抵抗の歴史である。
抵抗は、傷を伴います。
抵抗してスピンアウトすることになっても、「やましき沈黙」の悔恨からは逃れられる。
上の者は、自由に発言できる場を作らなければならない。
下の者は、その場で自由に発言しなければならない。
(NHKの朝ドラより抜粋)
議論は、どこかに落ち着くものです。
長い時を必要とするかもしれない。
その時は、馬鹿者と怒られるかもしれない。
しかし、怒られる分無視はされていない。
桜咲き すべての人に とき分かつ
2020年4月3日