*2016年7月19日撮影
今日は真夏の日差しでした。梅雨が明けたのかと思うのですが、まだのようです。
さて、杉皮葺の屋根の上に生えているのは、ノキシノブという雅な名のシダ植物です。
ノキシノブは「軒忍」と書きます。茅葺き屋根などの軒に生える、シノブの一種という意味です。
シノブというのは観賞用に栽培されたりもするシダの一種ですが、ノキシノブとは別種とされています。
シダ類は乾燥すると身を縮ませて耐え湿気が戻るのを待つところから、一般的にシノブ「忍」と呼ぶこともあったそうです。
なのでノキシノブのシノブはシダ類一般をさすという見方もあります。
*2016年7月19日撮影
シダ植物はたいていこまかな切れ込みのある羽状の葉を広げますが、ノキシノブは切れ込みのない単葉のシダなので独特の存在です。
葉の裏にはポツポツと黒い点々がついています。
たいていのシダ植物の葉の裏についている胞子嚢群(ほうしのうぐん)といわれるもので、胞子の入った袋の集まりです。
胞子嚢群は今は普通ソーラスと呼ぶようです。
細長い葉に規則的に並ぶソーラスの模様が、ノキシノブの風情を醸しだしています。
*2016年7月18日撮影
逆光に透かしてみたノキシノブの隊列。
何かを口々に語っていそうな雰囲気です。
しばしとどまって、彼らの言うことに耳を傾けてみたくなります。