*カテゴリーから入ると飼育過程等に繋がります。
去年の春のこと
オークションでジャワ島東部 Mt. Gumitir産とする
パリーオオクワガタ(野外個体)を見つけ
その産地と形態に興味が湧き
出品数5ペアのうち2ペアを落札して15か月が過ぎました。
そして、それらのメス(持ち腹)から生まれた子供が
菌床を食べて羽化を終えました。
↓ ジャワ島 Mt. Gumitir産パリーとして販売された野外個体 59㎜(?)と60㎜
これらのオスにあてがわれていたメスは27㎜と33㎜で
当時、画像を撮る前に汚れを落とそうとしたのですが
27㎜メスの汚れが落とせなく
また点刻等にも少し違和感を覚えはしたものの
もしかしたら大きさによる違いや、個体差なのかもしれないと思い
清掃途中でカメラを向けました。
↓ 左:27㎜ 右:33㎜
二つのミスと、結果
下画像は、33㎜メスと27㎜メスから得られた各最大オスです。
左は、Dorcus ritsemae 右は、Dorcus reichei
つまり、33㎜メスはパリーオオクワガタで
27㎜メスはライヒラタクワガタだったということ。
↓ 左:33㎜メスからの子供64㎜台 右:27㎜メスからの子供52㎜台
羽化したパリーオオクワガタの形態はスマトラ島あたりの個体に似ます。
そして、ライヒラタクワガタに関しては
ジャワ島での記録がないと私は認識しており
それが正しければこのライヒラタクワガタの産地は
ジャワ島以外のどこかということになります。
もしかしたら、スマトラ島産だったのかもしれませんが
結論することもできず
産地違いの可能性と、同定違いであったという事実が
ややこしく尾を引く結果となりました。
27㎜メスからの子供(ライヒラタ)
これをパリーオオクワガタとみて飼育すると
体はやや細長く見え、幼虫の頭が小さく成長も遅い。
最初は2齢か終齢かさえわかりませんでした。
「なんかおかしいなぁ〜」と思いながら飼育を続けました。
パリーオオクワガタの飼育経験者なら同じことを感じたと思います。
↓ 蛹化2021年2月 やや小型なのに内歯の位置が中央付近 ?これは・・・
⇩ 2021年3月16日羽化(蛹化から23日で羽化)
↓ ⇩部にも内歯が・・・
↓ 正体現る! 四つ歯!
↓ ライヒラタクワガタ(四つ歯)
⇩ ⇩ 上翅は弱い筋状
↓ 51㎜強
↓ 腹面
↓ メスの最大個体は、20㎜後半
↓ 上翅・前胸ともに点刻が密で明瞭、深く感じる
↓ 腹面 腹部の微毛が多い
33㎜メスからの子供(パリーオオクワ)
前記の幼虫とは明らかにタイプが異なりました。
見るからに一般的なパリー系の容姿でした。
↓ 2020年12月14日 オス
↓ 2021年4月羽化
↓ 64㎜強 内歯は中央より先端側に位置
↓ メスの最大は37㎜強
⇩ ⇩ 前胸の点刻は側縁付近で多い
最後に
巻頭にも書いたとおり
これらの親虫はオークションで入手しました。
出品されていたのは関東の専門店です。
今回の事象は、
採集から販売までの過程で何らかの手違いが生じたものと想像しますが
それ以上のことはわかりません。
以前から、ジャワラベル(集積)には?品が稀にあると聞いてはいたので
恐らくそれを引いたのでしょう。
また、ドルクス属のメスは同定の難しいものがおり
この手の間違いはあっても不思議ではありませんが
最近ではあまり聞かない事象となりました。
↓ 昨日現在、ライヒラタ2オスのみ飼育中
2020年の春に出品された野外個体5ペアのうち4ペアは私とTさんが落札し
それらと、その子孫が外部に流出することはありません。
残りの1ペアは(小さなペア)競り合いの末、そこそこの金額で落札されていきました。
おそらく私たちと同じような興味考えで競り合い、落札されたことと思いますので
少し安心しています。
今回は、パリーオオクワガタのように
分布する地域が違うと形がダイナミックに変化するクワガタの
産地ミスが引き起こす混乱を実感した飼育でした。
以上、カテゴリー「ジャワ島東部のDorcus〜」をこれにて完結します。
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