クワガタ~スズメバチ等の覚書

   Photo & Text by こよみ

クルビデンス・12-「赤いクルビデンス」とは何か?

2022-03-05 19:31:19 | クルビデンス(bhutan)

ブータンのチュカ産クルビデンスが10代目になりました。

8代までは累代を続け

その後、種オスの関係でインライン2代、合わすと10代です。

累代は進みましたが、それによる弊害と感じる事象はありません。

また、ブータンから野外個体の入荷は事実上ないので

今後も国内養殖物を飼育継続するしかありません。

 

↓ ブータンクルビデンス 80㎜ 77㎜up  75㎜up

↓ チュカ産飼育個体73㎜

 

「赤いクルビデンス」とは何か?

クワガタ生き虫界には「赤いクルビデンス」という言葉があります。

時は1999年11月、外国産クワガタムシの一部輸入解禁と

後に訪れるクワガタブームの少し前のことです。

当時、昆虫販売の最大手であった(株)奈良オオクワセンター発行の

「奈良オオクワセンターNEWS.1999.11」の中に

「ブータンの巻」というのがあり

そこにはブータンで見たクルビデンス7♂は

「直射日光にかざしてみた場合赤かった。」とありました。

それより先、1994年発行の「世界のクワガタムシ大図鑑1」には

bhutan産(1899)の赤いクルビデンスが図示されていたことなどから

「ブータンには赤いクルビデンスがいる」という話が

一部のマニアの間で語られていたため

ブータンのクルビデンスを巡り「NEWS」を前後して騒めいたわけです。

それが所謂「赤いクルビデンス」の所以(ゆえん)です。

 

 ↓ 奈良オオクワセンターNEWS.1999.11.より

↓ 奈良オオクワセンターNEWS.1998.7.より  最初のころは白黒

 

因みに1999年下期のクワガタムシ野外生体の相場はこんな感じでした。

 クルビデンス(タイ)75㎜ 2♀付=30000円

 クルビデンス(ネパールチャポリ山)74㎜ペア=150000円

 ネパールコクワ(ネパール)69㎜ペア=30000円

 グランディス(シャムヌア)83㎜ペア=60000円

 中国ホペイ(武夷山脈東部)60㎜後半ペア=35000円

 シェンクリング70㎜後半ペア=90000円

 台湾オオ(藤枝)70㎜(Gタイプ)ペア=100000円

 フェモラリスツヤ80㎜後半ペア=9000円

 フェイスタメルシワバネ(オクサパンパ)70㎜台ペア=30000円

 M.レギウス(カメルーン)69㎜後半ペア=190000円

 オオクワガタ(養殖物)76㎜オス単品=100000円

・・などなど 23年前のパラダイス!

 

↓ 「奈良オオクワセンター」の偉業が詰まる当時のNEWS

 

話は戻り、確かにヒマラヤ系と呼ばれるクルビデンスは

東に行くほど赤みがかる傾向はあるかもしれませんし

飼育でもうっすら赤い個体が出ることは珍しくありません。

そんなブータンのクルビデンスを懐かしむべく

昨年は、赤みのあるオスを種にブリードしてみました。

 

↓ 種オス=うっすら赤いクルビデンス(室内LEDシーリングライト下)

↓ メスは黒いのばっかり!(室内LEDシーリングライト下)

 

種オスは羽化不全の所謂「羽パカ」で、70㎜前半と小ぶりですが

5兄弟の中で最も赤みのある個体を選びました。

母虫はどれも黒く、似たようなものなので

とりあえず大きめの2メス(A・B)を使用しました。

どの親虫も2020年に羽化した個体で、餌をたくさん食べた休眠明けの完熟成虫です。

 

割り出し

この2年ほどはもっぱらマットに産卵させていましたが

今回は少し多めに幼虫を採りたいので材を使いました。

 

↓ 2021年4月23日セット〜6月5日割り出し

 

セットAからは卵5個・初齢幼虫5頭が採れました。

Bからは卵4個・初齢幼虫3頭が採れ、計17頭の飼育を開始しました。

 

↓ Aー卵5個・初齢幼虫5頭

 

卵はマットで保管、孵化するのを待って菌床に投入しました。

メスは孵化から7か月前後で羽化しますが

50㎜を超えるような大きな個体は出てきたことがありません。

最大で49㎜程度です。

 

↓ 逆さ向ける菌床を使用

↓ メス 羽化2日前 2022.2.21 

↓ 自然蛹室で羽化の始まり 2022.2.23

↓ メスは共生酵母の取り込みをするので「自然蛹室」で羽化させる

↓ 共生酵母の取り込みに関する記事

 

シェンクリングオオクワガタ・2-羽化 - クワガタ~スズメバチ等の覚書き

はじめにこの記事には最後に『おまけ』があります。クワガタの蛹室について書いていますのでその部分だけでも読んでみてください。シェンクリングの羽化昨年7月13日に卵・初...

goo blog

 

↓ 昨年11〜12月羽化したメス、赤くはない

 

オスは現在終齢中〜後期で、今年の5月あたりから羽化が始まるものと思われます。

私の場合、クワガタムシの体色とか、形とかにこだわった計画繁殖の経験がなく

いつもとは違った感覚で羽化を楽しみにしています。

果たして「赤いクルビデンス」は出てくるのでしょうか?

 

↓ 親虫:室内LEDシーリングライト下

 

参考・引用文献:

 水沼哲郎・永井信二,1994,世界のクワガタムシ大図鑑1.むし社. 

 奈良オオクワセンターNEWS.1998.7 .(株)奈良オオクワセンター.

 奈良オオクワセンターNEWS.1999.11.(株)奈良オオクワセンター.

 奈良オオクワセンターNEWS.1999.12.(株)奈良オオクワセンター.     



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (reitimu)
2022-03-05 21:37:17
クルビデンス凄いかっこいい😊
欲しいぃぃぃ!
返信する
Unknown (こよみ)
2022-03-05 23:46:08
クルビデンスは渋くてかっこいいですよ!
羽化したらいります?
返信する

コメントを投稿