1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

日本の国土の特異性と熊本の地質-どうして日本では自然災害が多いのか-

2011-08-17 18:15:38 | お勉強の記録
日本の国土の特異性と熊本の地質-どうして日本では自然災害が多いのか-


「地質と防災」という研修会で使用したPP資料です。
詳しい説明は、「講演その1」から「講演その10」を見て下さい。
一般向けに作ったもので、ご好評頂きました。
そんなに難しい話しではないと思います。
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講演その8(吹き出物がいっぱい1)

2011-08-17 17:18:01 | お勉強の記録


「吹き出物がいっぱい」、それは火山のことです。みなさんご存じのように、日本は火山が多いです。資料によりますと、過去1万年以内に活動があった火山は108個で、過去200万年に遡ると245個の火山があるそうです。ちなみに、日本の火山の平均寿命は40万年くらいだそうです。地球カレンダーでは45分です。
ところで、みなさんには知っていてもらいたいことがあります。日本には世界の気候に大きな影響を及ぼすような巨大噴火を起こした火山があるということです。それらは、九州、北海道、東北地方にある大規模カルデラ火山です。左の図は、それらのカルデラ火山の位置を示しています。阿蘇カルデラもそのうちの1つです。



さて、カルデラという専門用語が出てきましたが、「カルデラ」とは火山性の大型の陥没地形を表します。日本では直径が2km以上のものをカルデラと呼んでいます。また、「カルデラ」の語源ですが、これはポルトガル語の「大鍋」という意味からきています。つまり、大規模な火山性陥没地のようすが、あたかも「大鍋」のようにみえるので、このような名前がついたということです。
さて、そのようなカルデラがどのようにして出来たかを説明したのが、こちらの左の図になります。
要するに地下に溜まった大量のマグマが一度に噴出して、陥没したというものです。ただし、その噴火たるやそれは想像を絶するものです。このときの噴煙は、成層圏(高度2万m)を突き抜けます。その後、自重により噴煙は崩れ落ち、500°以上の高温粉体流が周囲を焼き尽くします。この高温粉体流を火砕流と言いますが、大規模火砕流の場合、千~数千km2(平方キロ)の範囲が、この高温の火砕流堆積物によって覆われてしまいます。




この写真は、砂嵐の写真ですが、おそらく500°以上の高温粉体流が都市を襲うときは、こんなかんじだと思います。粉体流のスピードは時速100キロから200キロで、これが都市部を襲えば、逃げることはまず不可能です。こないだの津波どころの騒ぎではないようなことが起こるということです。
実は、日本ではこういうことが過去に何度も起こっています。
身近な阿蘇を例に紹介したいと思います。



阿蘇火砕流の噴火は約27万年前に始り、約9万年前の間に4回の大規模な活動あったとされています。これらの大噴火と噴出物は古い方からAso-1、Aso-2、Aso-3、Aso-4と呼ばれていますが、このうち最後に起こった約9万年前のAso-4が最も規模が大きかったとされています。このときの火砕流は、阿蘇火山の周囲に広い台地を作り、さらに谷沿いを下り九州の東・北・西の海岸に到達すると、一部は海を流走して天草下島や山口県の秋吉台にまで達しました。想像を絶する超巨大噴火と言えます。 熊本県内では、これらの火砕流堆積物が溶結凝灰岩としていたるところで観察され、高千穂峡では100m近く堆積しています。また上空に舞い上がった火山灰は北海道にまで達し、約15cmの堆積があったことが知られています。このときの大噴火は、さながら「日本埋没」であったと言えます。
しかし、このような「日本埋没」は阿蘇に限った話しではありません。



最近12万年に日本で起こった噴出量100km3(立方キロメートル)に近いからそれ以上の超巨大噴火は9回起きています。このような超巨大噴火は一文明を滅ぼすほど巨大なものであるので、私は「壊滅噴火」と名付けています。一方、噴出量が30km3(キロ立方)の「破局噴火」を加えると、17回となり、7000年に1回の割合で破局噴火以上の大噴火が起こっていることになります。日本列島最後の超巨大噴火は7300年前の喜界カルデラの噴火ですので、日本列島では巨大噴火が秒読みに入っていると言えます。ちなみにAso-4クラスの壊滅噴火が現代で起こったとすると、犠牲者は1000万人を超えると推定されます。経済活動は完全にストップします。道路や電気送電は完全にマヒし、原発などでは完全電源喪失となり、核爆発がたぶん起こり、結果として火山灰とともに世界に放射性物質がまき散らされることになると思います。世界を巻き込んだ大災害ってところです。ちなみに、「破局噴火」クラスでは数十万人から数百万人の犠牲が出るとされています。
なんだか、大変、暗い話題になってしまいましたが、日本に住んでいる以上、このことは避けて通ることはできない話しなので、あえて紹介いたしました。最後の巨大噴火は7300年前なんですが、そのころには、日本人の祖先となるはずだった縄文人がいたわけですが、残念ながら、この出来事で九州の縄文文化は途絶えてしまいました。
さて、次の話題にいこうと思います。
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せっかくなので・・・。

2011-08-17 16:28:42 | お勉強の記録
お昼に、研修会での講師役を終えて、無事に戻ってきました。

せっかくなので、講演の内容をここで発表しようと思います。
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貰い泣き厳禁、笑い泣きOK

2008-03-07 14:52:16 | お勉強の記録
やっちまいました。

こういうことも記録しとかなくちゃいけないのが、このバカブログの宿命なのかもしれない。

12月にワザワザ東京に行って受けてきた技術士の最終試験である口頭試験。

撃沈しました。

いろんな思いが交錯するけど、それをつむいだところで、虚しいだけだね。

だけど、負け犬の遠吠えだけはさせてちょうだい。

「ワオォーーーーーーーーン」(泣、涙)
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試験勉強

2007-11-28 18:05:59 | お勉強の記録
ここで、ハッキリさせておきたいことがある。


長女のユーは、今週末、期末テストだ。


ボクの勉強時間のほうが長い!。


それだけだ!。
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毎年のことだけど・・・

2007-08-06 13:26:03 | お勉強の記録
試験っていうのはイヤなものである。なんでかっていうと、結果が悪けりゃ不合格っていう不愉快な思いをしなくちゃいけないからだ。逆に合格したからといって、落ちるというプレッシャーから一時的に解放されるだけで、特段にウレシイとか感じるワケでもないからだ。
ナゼかボクの思考回路は子供のころから、試験は合格して当たり前、落ちたら人間以下になっているからタイヘンだ。今でも、大学試験に落ちる悪夢で目覚めるボクは、ただバカである。

昨日は、技術士の試験を受けに福岡に行ってきた。
今年で何回目だろうか。何回も落ちてるってことだ。だからなんなんだ。
受験資格を得た初めての試験で筆記試験に合格したけど、東京で行われた面接で見事に落ちてしまって以来、筆記試験不合格が毎年続いているということだ。だからなんなんだ。

福岡には熊本駅からツバメに乗って行った。7:14分発だった。
所詮九州だから、この時期の福岡-熊本間の車窓風景なんて田畑と林の緑が殆どだ。だけど、ちょっとした町、工業団地、河川敷を通過するときに目に留まるモノがある。

野球グランドだ。

あるグランドではプレイボールを迎えようとしていた。
あるグランドではプレイ中だった。
あるグランドでは子供達が練習をしていた。

ボクもグランドに行きたくなった。
福岡に着いたら、スグに熊本に引き返そうと思った。

だけど、ちゃんと受験はしてきた。
ホントーだ。
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足使い

2007-06-21 13:23:52 | お勉強の記録
こないだ、KURSで聞いたことを記録しおこうと思う。


ラダートレーニングの最中だった。

地面を蹴るような動作をしていたリョー坊に、コーチが注文し始めた。
「この練習では、地面を蹴るみたいなのはやめとうこね、もっと足の裏を全部使うような感じで・・・」と言いながら、つま先で地面を蹴る仕草にダメ出しすると、地面に足をペタっとくっつけてポンと上げるような仕草で足使いを教えていた。

地面を蹴ってはダメなのか?

質問のタイミングを見計らってコーチに接近。

「地面を蹴ってはダメなんですか?」ボク

「全部ダメってことじゃないんですけど、『走る』といってもいろんな局面があって、トップスピード近くになってからは、最近の研究では、地面を蹴るというか引っ掻くというような感覚はスピードにブレーキをかけるような動作であることがわかってきたみたいで、むしろ、地面の反発だけを利用したほうが効率がいいと、ただし、足の振り出しは股関節を、つまりここですね(腿の付け根)、ここを使う感じが大事みたいですね。今、やっているのは、地面からの反発を利用して足を速く動かす神経を鍛えるトレーニングなんですね。この神経系が一番伸びるのがリョー坊君くらいの時期なんですねぇ。」

「ハァ、そうなんですか。足をパタパタ股関節なんですねぇ、ヘェ~」
言われたとおり、ボクも足をパタパタ股関節、をやってみた。
足がもつれた。
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合否通知書

2006-11-13 16:41:51 | お勉強の記録
大事なことを記録しておかなくちゃいけない。

さっき、郵便受けを除いたら、技術士試験の合否通知書が届いていた。

結論から記録する。

不合格だった。

通知書には、筆記試験の3科目についての成績が書いてあるんだけど、
I-1:B
I-2:A
Ⅱ:A
だった。合格するためには、各々の科目の得点が60%以上(A)、つまりオールAでないとダメなんだ。例年だと、I-1(午前出題分)がAで、他の2科目(午後出題分)がBやCだったりでダメだったんだけど、今年は、その逆になってしまった。

来年から試験制度がかわるから、今年こそって意気込んでたんだけど、まぁ、仕方がない。

不合格は不合格ナノダ。それが現実ナノダ。また、年明けからポツポツ勉強しなくちゃいけないだけのことナノダ。会社からイロイロ言われるけど、ちょっとガマンするだけのことナノダ。最近、チョットいいことが続いてたんで、神さまがお灸を据えたってことナノダ。ザンネン会をしなくちゃいけないだけのことナノダ。ナノダナノダ、ノ、ノダケンタローナノダ。

ま、それはさておき、子供たちが次々に帰ってきたと思ったら、次々に外へ遊びに出て行った。リトルリーガーは、昨日買ったばかりの練習着に着替えて、見せびらかしに行ったのだった。
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スロースリップ

2006-05-24 23:23:38 | お勉強の記録
科学 Vol.75 No.8 956「東海地震想定震源域でおこっているスロースリップ:小平秀一」より引用。

岩石の摩擦実験などによると,間隙水圧の高い領域が強固着領域の深部に隣接して存在すると,高間隙水圧の浅部でスロースリップのようなゆっくりとしたすべりが発生することが確認されている。この実験結果を東海地方の地下構造に適応すると,まさに摩擦実験に示された現象が東海地方の地下でおこっていると理解できる。すなわち,東海地方下では高間隙水圧をもった海洋地殻が強固着域のすぐ深部に存在しており,その部分のプレート境界摩擦特性がスロースリップを発生させるものになっているのである。

では,その高間隙水圧を形成する水はどこからきたのだろうか。(中略)

海嶺が陸側地殻の下に沈みこんでいく際,その凸部が陸の地殻と衝突し海嶺付近に破砕された領域を繰り返しつくっている・・破砕の一部は海底まで達しており,この領域を通して地殻内に水が流入して地殻内に水が流入したと考えられる。沈み込みにともなう温度・圧力変化により,水はいったん鉱物内にとり込まれる。しかしその後,地下20~50kmまで沈み込んだところで脱水反応がおこり地殻内に放出されると考えられる。


ま,つまりだ,地下のふっかーいところにも水っ気があって,しかもトゥルトゥルで,そこでは地震じゃなくってゆっくりとした「すべり」が起こってるかもしんないってことなんだな。こんなふうにプレートの沈み方向とは逆向きのすべりもアリってことに要注意なんだな。わかった,わかった。

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オイルピーク

2006-05-23 17:42:43 | お勉強の記録
受験や試験勉強でヤマをはるって、ケッコー、重要なことじゃないかなと思う。

昨日のブログでは「休止宣言」をしちゃったけど、それもナンダカ淋しいので、この場を使って、ボクなりのヤマ(出題されそうな話題)を記録(コピペ)していこうと思う。それと、技術士試験ではボクは応用理学の地質を専門とするんだけど、このブログでは、ヤマの他に過去問も記録していこうと思う。この記録作業がすなわち傾向と対策になるし、モチベーションも上がるってもんでしょ。

そこで、ヤマの一発目だけど、やっぱ「オイルピーク」。

以下、http://hotwired.goo.ne.jp/news/business/story/20050603104.htmlから引用


2005年5月29日 5:04pm PT

石油生産量が来年から減少? 「オイルピーク」論争(上)
AP通信

安くて豊富な石油は、長年、アクセルをふかしエアコンを回し、世界経済の原動力になってきた。そんな石油の使い放題の時代は終わりに近づきつつあるかもしれない――少なくとも石油業界に詳しい一部の専門家はそう考えている。そうした専門家の予測によると、1世紀以上にわたって増加の一途をたどってきた世界の石油生産量が、今年、おそらくは来年――ほぼ確実なところでここ10年以内――にはピークを迎え、下り坂に転ずるという。

 そしてその後は、ひたすら減少していくと見込まれている。石油価格は一気に上昇し、主な石油消費国は壊滅的なインフレ、失業者の増加、経済不安に見舞われる。プリンストン大学の地質学者、ケネス・S・ドフェイエス教授は「永久的な石油不足」になると予想している。

 こうした専門家たちによると、省エネ措置と新しい技術によって需要と供給の差が埋められるようになるまでには、10年以上はかかるという。そしてそうなってさえ、状況はきわめて不安定だと見られている。

 とはいえ、今年の夏休みの計画には影響はなさそうだ――米国人ももうひと夏は、交通費の面でそれほど苦労せずに浜辺で週末を過ごしたり、グレースランド[エルビス・プレスリーの旧邸宅。観光名所になっている]への長距離ドライブができるだろう。ガソリン価格は上昇しているが、1ガロン[約3.8リットル]が2ドル50セントを超えることはないと予想されている。インフレ分を考えると、20世紀の大半はこの程度の価格を払ってきたのだ。それが高く感じられるのは、1986年から2003年にかけての価格が異例の安さだったからだ。

 また、枯渇説が現実のものになるかに疑問を呈する人も多い。石油業界アナリストのほとんどは、生産量は少なくともあと30年は増加し続けると考えている。そしてそのころには、代替エネルギー源が普及し、ポスト石油時代へすんなりと移行できるだろうと予測している。

 「まったくばかげている」と、米ストラテジック・エナジー・アンド・エコノミー・リサーチ(SEER)社(マサチューセッツ州、ウィンチェスター)のマイケル・リンチ社長は話す。「産業文明が崩壊しようとしているわけではない」

 石油市場を主に左右するものを何ととらえるかで、「オイルピーク」――この論争では石油生産量がピークを迎える時期をこう呼んでいる――に対する見方は変わる。経済の力が最も強く影響するという人は、現在の石油価格の高騰は主に、中国など急成長している経済の石油需要の増加が原因だと考えている。ただ、価格が高くなれば、いずれ消費者の使用量は減り、生産者は生産量を増やそうとするはずだ。

 しかし、ドフェイエス教授など多くの地質学者は、石油に関しては、母なる自然はアダム・スミスの経済論では御しきれないのだと反論する。彼らの観点に立てば、サウジアラビアやロシア、ノルウェーといった主要な生産国の生産速度はすでに最大限に達している。生産力を上げるには、もっと原油を発見するしかない。しかし、わずかな例外を除いて、発見できる余地はさほど残されていない。

 「経済学者はみんな、会計窓口に必要な金額を持って行きさえすれば、神が地中の石油を増やしてくれると思っている」とドフェイエス教授。

 世界的な石油生産がピークを迎える前には、警告となる兆候が現れると、オイルピーク論支持派は主張する。石油価格が劇的に上昇し、変動が激しくなるのだ。余剰生産力はまず望めないため、供給が少しでも崩れれば――たとえば、ベネズエラの政情不安やメキシコ湾のハリケーン、ナイジェリアの雇用不安などがあれば――石油市場は混乱に陥る。これまで埋蔵量を過大に見積もっていた石油企業や石油資源国の認識も、同じようにそのときどきで混乱するだろう。

 一方、石油生産国は、現金の急激な流入で肥え太る。石油価格は最終的には、国の経済においてほぼすべての価格に影響するため、インフレがその醜い頭をもたげ始める。

 こういった最新の動向に注意を払っていれば、この段階で、やや不安をおぼえるかもしれない。ガソリンが遠からず1ガロン5ドルになるなんてことがあるだろうか、と。

 こうした悲観的な予測は、石油地質学の歴史における伝説的な逸話に端を発している。1956年、シェル石油社の地質学者、M・キング・ハバートが、米国の石油生産量は1970年がピークになると予言したのだ。これに仰天した同社の上層部は、ハバートにこの予測を公にしないよう説得を試みたほどだった。それまでの数十年間というもの、目覚しい油田発見を当たり前のように見ていた仲間たちは、ハバートの説に懐疑的だった。

 しかしハバートは正しかった。米国の石油生産は1970年に頭打ちとなり、それ以後は着実に減り続けている。アラスカのプルドーベイ油田――利用可能な埋蔵量は130億バレルにのぼるといわれる――などの衝撃的な発見でさえ、この流れを変えることはできなかった。

(6/6に続く)

2005年5月29日 5:04pm PT


石油生産量が来年から減少? 「オイルピーク」論争(下)
AP通信

 ハバートの分析は、1901年から1956年の間に米国本土48州の沿岸および沖合で発見、生産された石油量に関する統計を集めることから始まった(50年前はまだ、アラスカは石油地質学者には未知の土地だった)。データによって示されたのは、米国の確認されている石油埋蔵量は1901年から1930年代までは急増していたが、その後は増加の勢いが落ちているということだった。

 ハバートがこのパターンをグラフ化すると、米国の石油供給量がまさに頂点に達しようとしている図が現れた。米国の石油埋蔵量が過去最高になる日も近いように見えた。そして以後、埋蔵量は減少に転じる。石油企業が原油を地中から採掘するスピードの方が、地質学者が新たに発見するより速いからだ。

 これは当然といえる。油田には発見しやすいものとしにくいものがあり、規模の大きいもののほうが発見しやすいことは自明だとハバートは考えた。大規模な油田が先に発見されてしまったので、あとの油田は、だんだんと規模も小さく見つけにくい場所にあるものになっていき、発見されるペースも落ちていったのだ。

 生産量のグラフも埋蔵量と似たようなパターンを示していたが、ピークは数年遅れるように見えた。これも理論的に当然のことだった。なんといっても、原油は見つかったそばから採掘できるわけではない。土地の賃借契約を交渉しなければならないし、油井を掘ったり、パイプラインも引いたりしなければならない。こうした開発には数年かかることもある。

 ハバートが、生産量を示す曲線を未来に伸ばしてみると、1970年ごろがピークになるようだった。そしてそれ以後は、米国の採掘量は、毎年、前年を下回ると予測された。

 こんな予測では驚きたりないとでもいうように、ハバートはさらに数字の手品を披露して見せた。埋蔵量の減少を示すカーブが、増加を示すカーブに対応する形で下降すると仮定するなら、曲線のピーク時点で、アラスカをのぞく米国本土48州の全石油量のうちのちょうど半分が発見されていることになる。ハバートは、この数字を倍にして、米国本土の下に埋まる利用可能な石油の総量を1700億バレルと算出した。

 当初、このハバートの分析に対しては、油田探索と採掘の技術が今後向上すれば、石油の産出量は増えるとの反論が出た。実際そのとおりではあったが、ハバートが予測した最大量を超えるほどの産出拡大にはいたっていない。アラスカ油田という予想外の発見を加味してさえ、米国の石油生産はこれまで、ハバートのほぼ予測どおりに推移してきている。

 ハバートは運がよかっただけだというのが反対派の言い分だ。

 SEER社のリンチ社長は、「非常にきれいな結果が出たので、ハバートは、なるほど、これは釣鐘曲線になるにちがいないと考えたのだろう」と言う。

 しかし、世界的な石油生産をピークに達するまで増加させなければならない理由はないと考える専門家は多い。ある程度安定した生産量が続いたのちに、経済が他のエネルギー形態に移っていくのにともない、ゆっくりと減少していく可能性もあるというのだ。

 「今後30年から40年たっても、中東にはまだ相当な量の石油が残っているだろう」と、カリフォルニア大学デービス校輸送研究所(ITS-Davis)のダニエル・スパーリング所長は話す。

 数年前、地理学者たちがハバートの手法を、世界全体の石油生産量の計算に応用した。この分析結果では、世界の石油生産量は2010年までのどこかの時点でピークを迎えると示された。

 ドフェイエス教授は、そのピークが2005年の終わりか2006年の初めにくると考えている。また、ヒューストンの投資銀行を経営するマシュー・シモンズ氏は2007年から2009年の間になると予測している。一方、カリフォルニア工科大学の物理学者で、昨年には著書『ガス欠――石油時代の終焉』(Out of Gas:The End of the Age of Oil)を発表した、デビッド・グッドスタイン教授は、2010年までには訪れると見ている。

 本当の問題は、正確なピークがいつくるかではないと言うのは、ロバート・ハーシュ氏だ。ハーシュ氏の考えでは、今でもすでに遅すぎるのだ。同氏は今年2月に米エネルギー省に分析レポートを提出し、米国経済が石油生産量の減少に適応できるようになるには10年以上かかると論じた。

 「この問題を片付けるためには、本当に大々的に対処しなければならない。そして、すでに供給曲線を下りはじめているとするなら、駅を出発してしまった列車を追いかけるのも同然なのだ」とハーシュ氏。

 たとえば、米国では1台の自動車が廃車になるまでの年月は、中央値で17年だ。つまり、政府が今すぐ、燃費基準を劇的に上げることを義務づけたとしても、20年ほども後でなければ、そうした節約措置の効果は十分発揮されない。

 たしかに危機の際の節約は必要だが、それでは不十分だ。石油供給量の減少の打撃を最小限にとどめるためには、代替エネルギー源の開発が必要になる――そしてそれは、汚染物質の出ない水素燃料車や、メーターで測定不能なほど安価な太陽エネルギーといったたぐいの、政治家や環境主義者が大騒ぎするようなものではだめなのだ。

 今後数十年のうちに石油供給量が減るのが本当だとすれば、米国がエネルギー面で生き残れるかどうかは、これからの技術ではなく、前世紀の技術にかかっている。ハーシュ氏の報告書は、長期の石油不足を補うためには、石炭や天然ガスといった化石燃料を可燃性の液体に転換する、大規模なインフラを建造する必要があると結論づけている。

 石炭の液化は、水素ガスの中で石炭を加熱して合成油を生成するものだ。これを支持する人々は、この過程をを「クリーンコール」技術と呼ぶ。これがクリーンだというのは、生成される合成油が、石炭を燃やす場合よりもクリーンに燃えるという意味合いでしかない。液化石炭は、生成時も燃焼時も、地球温暖化ガスの主体である二酸化炭素を排出する(こうした汚染物質の一部は、大気中に出さないようにすることができるという論もあるにはあるが)。そして、液化するための石炭を掘り出さなければならないのは変わらないので、結局は、選鉱くずの堆積や酸の流出など、有害な影響が出ることを意味する。

 また、近所に「クリーンコール」工場が建つのを歓迎する人は誰もいないのが現実だ。新しいエネルギー形態へ移行するためには、ほとんどの新規プロジェクトが地元住民の強い反対にあっている中で、新しい精製所、パイプライン、輸送ターミナルなどの設備を建造する必要がある。

 エネルギー分析の専門家によると、石炭液化では1バレル32ドルで合成油を作ることができるという。これは、50ドル前後という、この1年ほどの石油取引価格を大きく下回っている。しかし投資家は、石油の高値が今後も続くという確信がなければ、石炭液化に膨大な投資をしようとはしない。

 また投資家は、カナダやベネズエラのタールサンド[粘度の高い石油を天然に含む砂]や重油の埋蔵量についても同様に警戒している。これらは粘性が強いため、従来の石油と同じ方法で採掘するわけにはいかないが、熱水を注入して液状にするなどの方法がすでに開発されている。現在でも、カナダの石油生産量の約8%はタールサンドを原料としている。

 ただあいにく、タールサンドからエネルギーを取り出すためにはエネルギーが必要になる。カナダの処理施設の大部分では、石油採取に使う水を天然ガスで熱しているが、その天然ガスも石油と同じく、ここ数年、価格が高騰している。

 「現実的には、これはきわめて複雑なのだ」とハーシュ氏は話す。「正直に言って、明確な将来図が見えているという人はおそらく、この問題を理解してはいないのだ」


[日本語版:近藤尚子/小林理子]
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本を買う

2006-04-04 22:30:48 | お勉強の記録
今日は,アマゾンでお勉強用の本を4冊も買った。スゴイ!。

"全地球凍結"
川上 紳一; 新書; ¥ 714

"土木地質の秘伝〈97〉めざせ!フィールドの達人"
めざせフィールドの達人編集委員会; 単行本; ¥ 2,310

"知っておきたい斜面のはなしQ&A―斜面と暮らす"
土木学会地盤工学委員会斜面工学研究小委員会; 単行本; ¥ 1,470

"切土のり面の設計・施工のポイント"
上野 将司; 単行本; ¥ 2,100

税込みで6594円だ。高い買い物だけど,こんくらいは気合を入れんとイカンと思うのだ。たかだか資格試験だけど,それなりの頑張りや投資って必要なことだと思う。
最終的には,「これだけやったんだから」という自信がモノを言うと思うノダ。

ボクが狙っている技術士という資格試験は,ケッコー難しいと思う,っていうか準備が大変な試験だと思う。
ナニシロ,2次試験はほんど論文形式で,昼休みを挟んだ9時~4時くらいまでの間に約1万字くらい,これがイヤっちゅうホド書きまくんなくちゃいけない苛酷でシンドイ試験なのだ。そして,その論文試験に合格しても,そのあと東京に呼び出されてエラソーな人達に囲まれて,これまたイジメみたいな面接試験を受けなければならんのだ。ちなみにボクは,数年前にこの面接で「不」の烙印を捺されてしまったんだけど,面接で失敗したら,翌年,また,論文試験から受け直さなければならんという,なんとも不合理なシケンだったりするのだ。そんなワケで,合格率は極めてヒクイ。

一口に技術士といっても,いろんな部門がある。建設部門とか機械部門とか環境部門とか。ボクが狙っているのは応用理学部門の「地質」だ。去年,九州でこの部門で合格した人は5,6人じゃなかったかな。受験者は70人くらいだったかな。ま,それはさておき,応用理学部門の「地質」なんて「マイナーの極み」みたいな部門だったりするワケだ。

しかし,この資格をとることで得られるメリットがいくつかある。

ひとつ,間違いなく給料がUPする。
ひとつ,間違いなく信用度がUPする。
ひとつ,間違いなくもっと勉強するっていうか本が買える。

ウ~ン,スバラシイじゃないですかぁ,技術士って!。

こうして自分に言い聞かせながら,モチベーションの向上を図っているワケだけど,しかしなぁ~,仕事から帰れば,ビール(発泡酒)は飲みたいし,焼酎を呑みたい日だってあるし,音楽は聞きたいし,クダラン本だって読みたいし,子供とお喋りしたいし,カミさんとも仲良くしたいし,これからはクワガタの時期だし,誘惑が多すぎんだよなぁ~。

ま,トニカクだ,4月,5月は基本に戻って,技術関連の書物をガンガン読んで脳を技術者モードにしなくちゃいかん。そして手書きの練習も週に1回くらいはヤルと。それで,どうでしょうか。

ちなみに,先月はお勉強材料として(本当は好きで),岩波書店の月刊科学をバックナンバーで3冊(特集:日本の地震メカニズムが見えてきた,特集:異常気象のメカニズムを探る,特集:理系の説明責任)ほど購入したんだけど,1冊しか読んどらんかった。

話しはかわるけど,今日は仕事の帰りに光りの森の紀伊国屋書店に寄ったんだけど,ついに「地学・天文」のコーナーがなくなった・・っていうか「サイエンス」に統合されてしまって,本当に隅のスミッコになってしまったのが極めてザンネンだった。その一方で,今まで超マイナーだった「数学」がハバをきかせていたりして,それはテメェーの実力なんかじゃなくって今流行ってる「博士の愛した数式」のオカゲなんだぞって言ってやりたくなった。

まぁ,それはおいといて,セッカクだからガガガーッて立ち読みした本を記録しとく(タイトルを覚えれた本)。

黄砂 その謎を追う
層序と年代
浮かれる景気
他人を見下す若者達

以上
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新たに決意

2006-04-03 22:46:26 | お勉強の記録
さぁ,さぁ,さぁ,さぁ,いよ,いよ,いよ,いよ,新年度がスタートしちゃったんだけど,今年こそはヤラなきゃならんことがあるッ!。はっきし言って,ブログなんかやっている場合じゃぁないのだッ!。

ナニをヤラなくちゃいけないかというと・・・,受験勉強なのだ!ナノナノだったら,ナノナノだ,ウキョー!。・・・って叫んでゴマカしてもしゃぁないんだけど,ホントに頑張らにゃぁイカンのだ。

技術士の受験資格を得てから,もう何回失敗したことか・・・・4回かぁ。

昨年はPTAで大忙しで試験勉強どころじゃなくって,でも,それでも,それなりにコソコソやってはいたんだけど,結局,試験の前日は地域の夏祭りとPTAのミニバレーボール大会の打ち上げに出席してしまって,だから翌日の試験は二日酔い状態で,それはただ単にボクの意思が弱いということなんだけど,まぁ,そんな感じで去年も失敗してるんだよなぁ。

おかげで,会社のオーナーからは冷たくされるし,給料は下がるし,ボクがその資格をとらないから(とれないから),ワザワザ,会社は有資格者を雇うし。

そう,ボクは追い込まれているのだ!。

さぁ,まずは勉強の計画立案だ。

明日から頑張るぞぉッ!。

コノォッ!
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