立志式は無事終了。
ボクは、案内状のとおり、午後3時に校長室に着いた。
校長先生と正面向かって言葉を交わすのはこれが初めて。
校長先生は今年いっぱいで退職とのこと。中体連の会長もやってるとか。学校緑のコンクールでは全国制覇に王手がかかっているとか。以前に比べ、生徒は落ち着きを取り戻し、成績が上がったとか。美術部の生徒と看板専門家に作成させた巨大壁画に自分の姿が描かれているとか。除幕式には新聞社が何社来たとか。
そんなのボクにとってはどうでもいい話。
だから、久しぶりにおべんちゃらを連射しなくちゃいけなかったけど、的を外していたかもしれない。
ま、そんなことはさておき、
立志式でのボクの励ましのことばは・・・・、それなりにウケた。
このバカブログのヘビーな読者は聞いたことがあるかもしれないけど、以前ブログで紹介したエピソードを交えてこんな話しをした。
こんにちは。
ただ今紹介頂きました保護者のhiratakuwaです。
今日は、立志式ということで何を話すべきかさんざん悩みましたが、私の中学校時代の、あまり話したくないことを、あえて、お話ししようと思います。この話しは、先生方にとっては、少々耳の痛いものとなるかもしれませんが、生徒のみなさんにとって、励ましというか、応援というか、踏み台になればいいなと思います。
さて、おじさんは、数年前、桜木東小学校でPTAの会長をやっていたのですが、先ずは、そのときの話しから始めようと思います。
PTAの役員になると年に1、2度、近隣の小中学校のPTA役員や校長先生が集まる会議に出席することがあるのですが、その情報交換の会議で、偶然、中学校のときの先生に会ったんです。その先生は、当時、理科の先生で、担任になったこともなければ授業も受けたことがなかった先生だったんで、自分のことなど憶えているはずはないと思い、その先生には、懇親会でも特にあらてめて挨拶はしませんでした。
ところが、その先生は私のことを憶えていて、その憶えていた理由をビール片手に話してくれたんですね。
その一部始終はこんなかんじだったんです。
「西君、憶えとるね。」
「は?、何のことですか?」
「君が企画した文化祭のことタイ」
「いや、あんまり覚えとらんです。ばってんですね、文化祭が終わった後のことは良く憶えとっとですよ。
「体育館でやったステージの企画のことたい、憶えとらんとね、あの企画は問題になっとよ、反対する先生も多くてね、夜遅くまで職員会議でもめたよ~」
「あっ、そうですか、それはご苦労さまでした。ですけど、私が思い出せることと言えば、そのステージが終わって、教室に戻ってきてからのことだけですよ~。」
こんなかんじでしたぁ~。
おじさんは、当時の文化祭の実行委員長で、おそらく「ものまね大会」みたいな下らないステージショーを企画したんじゃないかな。
トニカク、体育館でのステージが終わって充実した気持ちで教室に戻ったんです。いや~面白かったね~なんて友達に言われながら帰り支度をしてたら、突然、校内放送が始まったんだ。スピーカーから聞こえてきたのは、暴力的な生活指導の先生の声。
「今から名前を呼ばれた者ぉ~、今すぐ、職員室に来なさい、・・・何年何組ナントカカントカ・・」
呼ばれたのはおじさんと仲の良かった友達ばかりで、次々に呼ばれるんだけど、呼ばれると「ア、ヤラレター」って顔をするわけ。
実は、おじさん達、その頃、学校の近所にあった人の居なくなった住宅を隠れ家にしいて、そこにマンガやエロ雑誌、ゲームとかを持ち込んで、放課後、よーく集まってたの。その場所をE地点なんて名づけていて、文化祭の放課後もそのE地点に集合ということになってたから、その日は学校に持ってきてはいけないものを持ってきていたんだけど、帰り支度をしてたら、校内放送と同時にその大事なモノが無くなってるということに気が付くわけ。
つまり、どういうことかっていうと、生徒たちがステージを楽しんでいるスキに、先生達が勝手に持ち物検査をしていたとそういうことだったんですね~。
要するにね、文化祭に反対していた先生たちの、ボクに対するアテツケだったの。放送で呼ばれた友達たちは、カーテンで外から見られないようなっている指導部屋でボッコボコにされるんですね~。
もともと、おじさんは規則ばっかの学校が大嫌いだったし、先生たちを目のカタキにしてたところもあって、とても扱いにくい生徒だったのね。
で、そのとき、おじさんは呼び出されなかったけど、楽しいはずだった文化祭を最後の最後に台無しにされてしまって、っもう、怒りにうち震えて、たぶん机かなんかを蹴り飛ばしたんじゃなかったかな。その怒りは卒業するまで続いて、誰かに感謝するとかそれどころじゃなかった。卒業してすぐに卒業アルバムやら中学校に関するものは全て捨てちゃって、要するにその学校にいた事実や記録を記憶から抹殺したかったんです。
さて、おじさんほど極端じゃないまでも、今の君たちもそれほど変わらない状況に置かれているんじゃないのでしょうか。つまり、君たちは、現在、複雑の中に生きていると思う。
学校のこと、友達のこと、勉強のこと、部活のこと、家族のこと、お金のこと、自分のこと、将来のこと。
そんないろんなことが、一度に見えてきてしまう時期で、だから、イラついたり、落ち込んだり、反発したり、意地悪してみたり、悲しんだり。騒いだり・・・。
例えて言うなら、いま、君たちは、複雑交差点に立っているのかもしれない。
複雑交差点には、いろんな方向から、いろんな車が、いろんなスピードでやってくる。もし、その複雑交差点に交通整理がなかったら、その交差点では事故がたくさん起こるよね。だから、そこでは交通整理が必要なんだけど、今の君たちはまだ初心者だからその交通整理がうまくいっていないだけ。
ひょっとすると大人になるっていうのは、その交通整理が少しだけ上手になるって、そういうことなのかもしれない。
そう考えると、今日、この日から君たちに立派な大人になれなんてともても言えない。
だけどね、君たちの交差点が、少しでもスムースに行き来できるようにとおじさんは願ってるし、先生や親の役目は、君たちの交差点に進入してくるいろんな車をほんの少しだけコントロールすることだと思っています。
いま、君たちの交差点ではたくさんの事故が起こっているかもしれないけど、交通整理が上手になってくると、だんだん事故も減っていって、それと同時に、その交差点から一本の大きな道が見えてくるようになると思います。あとは勇気を持ってその道を進めばいいと思います。
その道は平坦じゃないし、横からの飛び出しもあれば、後ろから追突されることもあるし、上から落石だってあるかもしれない。たまには、スピードを上げて前の車を追い抜かなくちゃいけないこともあると思います。また、あるときは酷い事故現場を横目にしながら通り抜けなくちゃぁいけない。
もうすぐ君たちは、事故ばっかりの交差点から、自分の道へ向かって出発することになると思いますが、その道を進むにあたって、ルールを守ることが大事であることも忘れてはいけません。最初は誰はでも初心者です。人生の入口、大人への一歩なんて、そんなものです。
ただし、君たちに「人生の免許証」を交付するのは、まだちょっと早いかなって思います。
なので、この立志式を迎えるにあたりまして、おじさんは「人生の仮免許証」を君たちに交付したいと思います。
校長センセー、いいでしょうか。
FKSセンセー、YMZセンセー、生徒の代表を呼んでもらっていいですか。ま、だれでも構わないのですが、生徒会長さんとかでも、仮免許証を準備してきたんで、これをここで渡したいので・・・・、
仮免許証(人生)!
S中学校2年生 平成6年生まれ NKH君!
S中学校2年生保護者会則第100条の規定により、貴殿のこれまでの人生を称え、ここに、人生の仮免許を得たことを証する。
平成21年2月5日木曜日。
2年生保護者会指定機関 人生認定委員会 代表hiratakuwa!
おめでとう!
あ~、オレって、バカぁ~。