【本当の安静の理由とは!?】
GW突入の本日、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
連休中にはいろいろと計画を立てておられる方も多いと思う。不肖西もゴルフ、キャンプ、プロ野球観戦、山の手入れなど、計画がめじろ押しだった。
しかし、全てキャンセル。当然だ。
今回の一件で多くの方から心温まるメッセージを頂いた。
そして、無理をするなという御意見には真摯に耳を傾けなければならないと思っているところだ。
ただ、実のところ、退院にあたり「運動の制限」は無くなっているのだ。
不整脈も無く、血圧も安定し、血液検査も問題なし。後遺症も無し。体力は十分。
つまり、検査結果が全て「白」だったからだ。
これらの結果を受けて、反知性的なもう一人の自分がシメシメと思ったのは事実である。
ナースステーションでお別れの挨拶をした。
ステーション隣の病室にいた看護師で柔道家のSさんがパソコンカートとともに廊下に出てきた。
「西さん、まだ走っちゃダメですからね!」
無理は禁物と念を押された。そして直ぐに切り返した。
「Sさん、こぎゃんもんば付けとったら走ろうにも走れんって!」
そう、こぎゃんもんとは画像に示す「着用型AED」、正式には「着用型自動除細動器LifeVest(ライフベスト)」だ。主要パーツは電気ショックを与える電極、センサー、バイブレーションボックス、コントローラからなり、重さはざっと1.5キロ。コントローラは重く、これをぶら下げて走るのは困難だ。せいぜい犬の散歩の早歩きレベルまでだ。
呼んで字の如く、このライフベストは心臓発作が起こったらそれをセンサーが感知し、自動で電気ショックを与えて救命を図るというシロモノだ。電気ショックの前には警告音が鳴り、意識がある場合にはキャンセルもOK。しかし、入浴以外の時間は装着の義務がある。約2ヶ月間の6月末までだ。
センサーによるデータは常時取得されいて、1日に1回、バッテリー兼メモリー媒体から充電器兼モデムを通してアメリカのデータセンターに送られる仕組みだ。
救急搬送時の検査で冠動脈の狭窄(プラーク付着と推定)が確認されたため血管を拡張するためのステント治療が施されたらしいが、その時点で完全な閉塞が生じていなかったことが心臓へのダメージが無かったことの理由ではないかと説明を受けた。しかし、何が原因で昏倒してしまうような心室細動(心臓発作)が起こるような虚血が生じたかについては疑問が残るとのことだった。何故なら予後の検査でも動脈硬化を示唆する脂質異常や高血圧がみられなかったからだ。
さて、ここで明らかにしておかなければならないことがある。
実は、昨年の夏に、胸に違和感や息苦しさを感じて2回かかりつけ医にかかっていたのだ。
1回目は令和3年7月19日、2回目は令和3年8月23日だ。
そして、8月24日または25日に市民病院で精密検査(トレッドミル負荷試験)を受け、その結果を26日にかかりつけ医に報告している。
この一連の診察や検査で胸に感じる違和感や息苦しさは、冠動脈が勝手に痙攣して収縮を起こす狭心症の一種である「冠攣縮性狭心症」が疑われたのだった。
この「冠攣縮性狭心症」の症状は、労作時よりも安静時、特に夜間から早朝にかけて生じることが多く、自分が感じていた胸の違和感は、確かに就寝時や午前の早い時間であった。一方、ランニング中には一度も感じたことがなかったため、特にランニングを続けることが健康を損なうこととは思っていなかった。ただ一抹の不安があったのは事実で、できるだけ安全なランニングを心がけていた。
そして、昏倒を起こす令和4年4月10日を迎えたのだった。
昨日(令和4年4月28日)、入院先の主治医であるM先生が記載した診断書や各種検査結果資料を携えて、かかりつけ医のG先生のクリニックを訪ねた。
クリニックを訪れたとき、その時間帯は新型コロナ感染症のワクチン接種時間に当てられていたが、事情を話してしばらく待っていると、G先生から直接診察室に呼ばれたのだった。
診察室のカーテンを一緒にくぐりながら、同情気味の表情で
「hiratakuwaさん、大変でしたね」と言われた。
G先生は先に提出していた資料に目を通していたようだが、椅子に腰掛けると、それを再確認するように私の話を聞きながら書類に目を落とし、場合によってはそれを指で追いながら音読してくれた。一方、私は、術後一週間後から昨日はまで記録していた自身のバイタルデータを示し、異常はなかったことを報告した。
G先生は、入院先で施されたステント治療は、症状からすればごく一般的な療法で問題は無いとしながらも、冠動脈に致死的な虚血が発生するような狭窄が発生したことが8月の検査で予見できなかったことを大変訝しんでいた。
その理由は
①もし、8月の時点でこのような狭窄があれば負荷試験の心電図に表出されていてもおかしくないこと。
②8月の時点の検査で見過ごしがあったとしても、こんな短期間で狭窄(プラークやアテロームによる)が形成されることは稀であること。
③血液検査やバイタルの結果は直近まで良好であったこと。
が挙げられた。
「先生、どうしてこうなったかについては、あまり考えないようにしますんで、気にしないで下さい、私は、これから先のことをを考えることにします。」
この言葉は、入院先で知り合った補助人工心臓装置を付けた重度の心臓疾患(通称:VAD患者)のUさんが私に送ってくれた応援の言葉でもあった。
しかし、技術者として、ここに附録しておかなけらばならないことがいくつかある。
新型コロナ感染症のワクチン接種日だ。
1回目は、令和3年7月14日ファイザー
2回目は、令和3年8月4日ファイザー
そして、医師以外の多くの医療関係者から聞かされた肌感覚として感想だ。
「最近になって、心疾患の患者さんが多くなっているように思います」
私の身に起こったことが、コロナワクチンと関連があるかどうかはわからない。
しかし、そのリスクについて考えることは自分にとって極めて重要だと考えている。
一般に、急性心筋梗塞で心臓に強いダメージを負った場合だと、最初の発作で命を取り留めたとしても3ヶ月以内に不整脈や合併症によって亡くなるケースが多いという。
私の場合は心臓にダメージは全く無く、ステント治療やそれに続く薬物療養によって心臓発作(心室細動)のリスクは格段に下がったと言える。治療を行ったM先生も自信を持ってそう言ってくれた。
しかし、本当にそうだろうか。冠動脈の治療したところとは別の箇所で、突然、プラークやアテロームによって狭窄が発生する可能性はないのだろうか。冠動脈の痙攣の恐れが完全に排除されたわけでもない。
だから、もしもに備えて着用型AEDを装着しているのである。
本当の理由はソコにあるのだ。
答えは2ヶ月後だ。安静を心がけなければならない。
「とにかく、今できることは、健康管理を徹底することですね」
「そう思います」
そして、本当の答えが出るのは10年くらい先になるのかもしれない。
画像は着用型AED、冠動脈狭窄のステント治療のイメージ図、それと入院時のバイタルデータ。