1969/04/09に生まれて

1969年4月9日に生まれた人間の記録簿。例えば・・・・

出版物語 2 酔狂駄文誤爆

2025-02-08 21:08:00 | 出版の記録

『地質屋が読み解く不動岩・景行天皇伝説と肥後熊本の神話』(以下、拙著と略)の第1章となっている「不動岩伝説をめぐる物語」は、『ジオ・ドラマ』の取材時に書き下ろした原稿案がその元となっていた。

『ジオ・ドラマ』の初回の打ち合わせで、自分に与えられたテーマは二つ。一つは、熊本平野を挟んで対峙する金峰山と飯田山の背比べの昔話。もう一つは県北に伝わる不動岩の首引き伝説。いずれの物語も地形説話なのだが、そこに地質の話を絡めて大地の成り立ちについて記事を書くというのが自分の役割であった。


飯田山は自宅から10kmに位置し、当時は脚力もあって週末にはランニングで往復する馴染みの山であり、もちろん、背比べの昔話しも子供の頃からよく知っていた。なので、飯田山の担当になったのは当然の成り行きだった。とは言え、飯田山の地質や昔話しについて一般的なカタチ(一般読者にとっては一般的ではないが)で記事にしても面白味に欠けるのではないかというのが、担当が決まった時点での発想であった。

しかし、どう切り込んでいけばいいのか、妙案がなかなか浮かばず、結局のところローカルゲインのS君との酒の席でのヤリトリから湧いて出てきたアイディアにすがったのだった。そして、その夜自宅に戻って一気に書き上げた文章がほぼそのまま採用されたのだ。

不謹慎甚しいのだが、2回にわたって掲載された飯田山の話は、つまるところ、酔っ払いの戯言駄文の誤爆命中によるもので、あたかも地中に埋もれた金塊を図らずも掘り当ててしまったという幸運の元に創出されたものだったのである。


一方の県北の不動岩にまつわる首引き伝説については、馴染みのソレとは到底言いがたく、従って十分な下調べが必要だった。また、個人的で勝手な思い込みであるが、酒の力を借りて書き上げた「飯田山」に対する猛省があったことも附記しておかなければならないだろう。

幸いにも、「飯田山」の初稿を新聞社に送ってから、次回の首引き伝説の掲載まで数ヶ月という時間的な余裕があった。本腰を入れて取り組むことにしたのだった。


つづく





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