かんちがい

　「江戸前寿司の暖簾をさげてるのに、マグロを入れてるのは間違えだ。江戸前とは、江戸時代に東京湾をさしていった言葉。東京湾でマグロは獲れないよね」

　寿司屋のカウンターで、藤村俊二似のシルバーグレーのおじさんが、連れの若い女の子によく談じる話。

　間違えではないが、勘違いされている。

　江戸時代、江戸前とは東京湾も範疇に入ったが、主に江戸城の前の川、隅田川や神田川などをさしていった言葉。そこで主にとれる魚介類を転じて江戸前というようになった。主にとれる有名どころが、ウナギ。つまり、「江戸前」 ＝ うなぎ　であった。

　「江戸前」が寿司の代名詞となったのは、大正ぐらいから。浜名湖で、うなぎの養殖がスタートした頃からだ。


　二重橋、、、、、江戸城の白壁が右端に斜め４５°の角度で映り、中央に美しいアーチを打った石づくりの橋が厳存する。皇居を代表する風景だ。殆どの人が、この有名な石橋を二重橋だと思っている。これはメガネ橋。二重橋はその奥のさえない鉄の橋をさす。

　思い込みと、勘違いには気をつけたい。