◆寄稿 中野逸平
「体操の先生より、指先を使うピアノの先生の方が、長生きする」との俚言を、何時、何処で憶えたかは不明ですが、その言や良しとして、私は八十七才の日々を元気で過ごして居ります。と申しますのは自らの健康保持のため、冒頭の俚言を信じ、以前から机上に青年時代に従事したモールス通信の用具だった電鍵を置き、対面する壁には、集音函に収めた当時の音響器が備えてあり、これを始動するための乾電池は机下に装置してあります。
私は冒頭にかかげた言葉を信じて、指先駆動のため、時々読書中の雑誌や新聞などの数行を仮名に替えて、電鍵で打字するなど、指先の使用を楽しんでおります。(以下略))
◆ 寄稿者紹介等
中野逸平 東京都 大正6年(1917)~平成19年(2007)
逓信省無線通信科昭和15年(1940)卒
・出典:逓信同窓会共済会支部 2004年記念文集の「私の健康」P5
◆ 付記
1. 寄稿者は私の職場の先輩で、物故者です。出典の文集を保存していたので、ご遺族のご承諾を得て、「寄稿」として紹介させていただきました。
出典文集に掲載のエッセイには、モールス通信健康法のほかに2つの健康法が書かれています。一つは、喫煙者として市販の集煙器を居間に設置されておられること、2つ目は、晴雨にかかわらず午前1千歩、夕刻座敷犬を伴って2千歩強歩かれていることが記されております。
2. ご遺族には、本ブログに「先輩のエッセイをで紹介させていただきたい」とお願いの電話をしました。「亡くなった父も喜こんでくれるでしょう」と電話口にでられた娘さんのお返事を頂戴しました。その際、意外にも、嬉しいことに「父の愛用した電鍵は、今も玄関に設置しています」とのことでした。
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