雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

おおきに、大阪旅行記-2

2014年09月16日 | ポエム

おおきに、大阪旅行記-2


 8月の最後の週末の3日間、仕事で大阪に行った。初日の金曜日は、夕方5時から仕事すれば良かったが、事業所が朝から臨時休業だったので熊本駅から朝一番の新幹線で10時前には大阪入りし、それから7時間は一人で旅行気分を楽しんだ。
 道頓堀できつねうどんを食べ、あべのハルカス美術館でディフィ展を見た後に、日頃の運動不足が祟って早くも足がつるのも我慢して、すぐ側の天王寺公園内にある大阪市立美術館に行った。ディフィ展はぜひ観たいと思って楽しみにしていたが、大阪市立美術館の「こども展」の方は、ネットで調べたら場所があべのハルカスから近かったので、ついでに観ることにしたもので、なんの期待もしていなかった。
 ところが入場して絵を観覧していて、突然思いがけない絵に出会って「あらまっ」と驚いた。
 出発の前夜、熊本市内の自宅で、食後に家人とバラエティー番組を観た。絵が好きな私が面白がるだろうと家人が録画してくれた西洋絵画の歴史をテーマにしたものだ。その番組の中でルソーという画家の『人形を持つ子ども』という絵が紹介され、その絵の中の子どもの足が草に隠れて切れているのはなぜか」というクイズがあった。そこまで観て、翌日の大阪出張のために録画を停止し、荷造りを始めた。「ルソーは確かある歳まで税務署で働いていたんだよ。足が描いてない理由は聞いたことがあるけどなんだったかなあ」と話しながらキャリーバッグに必要な荷物を入れた。



 そのクイズに出題された「人形を持つ子ども」の絵が目の前にある。まさか前夜に番組を見た時は翌日その本物の絵に出会うとは思ってもみなかった。そして絵の前でクイズの答を思い出した。ルソーはちゃんとした絵の勉強をしていない素人画家で、足を描くことが苦手だったんだ。美術館を出てすぐに、家人にルソーの絵があったことと、クイズの答えをメールした。
 不思議な因縁を記念してルソーの「人形を持つ子ども」の絵ハガキを買った。
 大阪市立美術館を出ると、天王寺動物園の緑の木々越しに通天閣が見えた。大阪市立美術館は小高い丘にあり、茶臼山という案内がある。と、いうことはあの大阪冬の陣の際に徳川家康の本陣となり、真田幸村の攻撃にあわや家康が死を覚悟したというあの「茶臼山」なのかな。多分。
 それからそのまま通天閣を目指して山を下り、「新世界」を歩いた。道頓堀付近と同様に、ここもコテコテの大阪文化でテーマパーク状態だった。若い頃読んでいたコミック誌「ビッグコミック・オリジナル」に長期連載されていた野球マンガ「あぶさん」に、よく登場していた通天閣だ。その念願の通天閣の真下をくぐり、地下鉄に乗って、ホテルに戻り、チェックインを済ませて、仕事モードに。大阪国際会議場の展示会場に行った。
 宿泊したホテルと大阪国際会議場は連絡通路でつながっていたが、一瞬外に出ると、夕立とは思えないもの凄いどしゃ降りの雨。ゲリラ豪雨と言うやつかな。5時から設営開始。全国から集まった仲間と1年ぶりに出会い、ワイワイと楽しく、展示設営を進める。設営が終わったらいったんホテルの部屋に戻り、ジーンズとTシャツの作業仕様の服を着替えて7時から9時までのセミナーに参加した。予想に反して会場から溢れる程盛況だった。
 しっかり勉強して、4人と待ち合わせ。再び道頓堀の繁華街に行き、今度はさらににぎやかになった喧噪と灯りの中、私以外は初大阪の人で、写真を撮りながら皆ではしゃいだ。日頃は夜10時を過ぎたらまず食べ物を口にしないが、今夜は特別。しかも野菜中心の献立なのに、夜10時過ぎの焼き肉。お店の兄さんのオススメや食べ方を習いながら美味しくてもりもりと食べてしまった。
 翌日の夜も通天閣の足下の新世界で串あげを中心に別の5人で会食。そのときも気さくで親切で楽しい店員さんがいて、美味しく楽しい時間が過ごせた。今回で私の一方的な大阪嫌いはすっかり失せた。「おおきに」。
(2014.9.16)

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おおきに、大阪旅行記-1

2014年09月06日 | ポエム

▲天王寺公園にあったシマウマのオブジェ

 おおきに、大阪旅行記-1


 何がきっかけだったのか、私は大阪の言葉、文化、土地柄にずっと苦手意識があった。さらに追い打ちをかけたのが、パリ時代に働いていた日本料理店で、大阪の南部の方から来た団体客の一行の接客をしていて、若くてきれいな女性に「おい、にいちゃん。ちゃーくれへん」と言われたこと。今の私なら何ともないが、当時のうら若き青年は姿と言葉のギャップに大層ショックを受けてしまった。
 8月の最後の週末は、2泊3日の出張でその大阪に行った。
 苦手と言いながら大阪にはちょっと寄ったのも含めると、10回ほど訪ねたことがある。最近は、出張がらみでバタバタとしたホテルと学会会場と飛行場や駅の往復がほとんどで、大阪弁が聞こえてくることもなしに滞在を終えている。
 そこで今回は、新幹線「さくら号」で朝10時前に新大阪に着いたら、ホテルに荷物を預け、フロントで地図をもらって、地理感覚のまったく無い大阪の町中を出来るだけ徒歩で歩き回ることにした。
 最初に向かったのは大阪の繁華街「なんば」。
 中之島にあるホテルから有名な御堂筋に出て南下。熊本は朝から雨模様でおりたたみ傘を忘れたことを心配しが、大阪はよい天気で、日差しが強くて日陰を選んで歩いた。
 御堂筋はきれいで洗練された大通りで大阪らしさをまったく感じなかった。
 そこで一本東側にアーケード街らしきものも見つけ、そちらを歩く。そここそ、テレビでよく観る「大阪のおばちゃん」が歩いていそうな大阪らしさを感じる通りだった。心斎橋筋商店街に入ると人通りも増え、外国人の姿も多く、大阪のパワーを感じた。
 最初の目的地らしい目的地は、道頓堀のグリコの看板。数日前に有名な手を上げて走る陸上選手のグリコの看板が改修工事のために、綾瀬はるかの看板に変わっていることをニュースで見ていた。早速、写真を撮って家人に携帯メールに添付して送る。
 道頓堀はすごいにぎわいで、かに道楽やくいだおれの人形を記念撮影する観光客に混じって私も写真を撮る。それにしてもこの街中に溢れるパワーのスゴさ。日本の何処にも無い「このこてこて」の文化は独自の別世界で、まるでこれはテーマパークだと思った。
 昼食にはキツネうどんを選択。道頓堀の「今井」という店でランチのセットをお願いした。1,782円で普通サイズのうどんと、少量ずつの野菜の天ぷらとマグロの刺身、肉じゃが、俵型のごはんがついて、デザートかビールを選択できた。一口のよく冷えたビールが1時間歩いた喉にしみた。きつねうどんは、甘く焚いた油揚げからしみ出たのか想像していたより甘い出汁だったが、香りがよく、次の日にはまた食べたくなる程美味しく感じた。
 次の目的は、あべのハルカス美術館で開催中のディフィ展。おしゃれな作風で大好きなフランスの素朴派の作家。自分が何処にいるのかも忘れる程、しばし作品と対峙した。入場者も多くなく、ゆっくりと観ることが出来たのも良かった。自分と娘と妹と中学の恩師にディフィの作品の絵はがきを買った。あべのハルカスの人気の展望台は高所が苦手なのでパス。
 さらに美術展のはしごを計画していた。近くの大阪市立美術館で開かれている「こども展」だ。一帯は緑多い公園となっており、大阪らしいと思ったのは、美術館と天王寺動物園のゲートと券売り場がいっしょだったこと。展覧会自体はあまり期待していなかったが、会場で少し感激した。出発の前夜、熊本市内の自宅で、家人が録画した情報番組の「ルソーの『人形を持つ子ども』という絵の子どもの足が草に隠れて切れているのはなぜか」というクイズの場面で、答えを聞かずストップ。「ルソーはある歳まで税務署で働いていたんだよ。足が描いてない理由は聞いたことがあるけどなんだったかなあ」と話しながら荷造りをした。なんとその本物の絵が目の前にあったのだ。続く~
(2014.9.6)
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