雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

沈黙

2011年04月27日 | ポエム
 沈黙

僕は眠っていたんじゃありません

僕はただ黙っていたのです

でもそれでももう一度

冷たい水で顔を洗いましょう

(1973.8.29)



分の前世はモンゴル人に違いないと思っている。広い砂漠や草原にあこがれを感じてしまう。青い空が大好きである。ヒトでなければ、モンゴルの草原に住むというマーモットという大きなネズミのような動物かもしれない。でも彼らの天敵のオオカミや鷲などの動物にも恐怖は感じないので、やはり前世もヒト。モンゴルの大草原のゲルで暮らしていた遊牧民に違いないと信じている。顔もあきらかにそちら系である。確信したのは、モンゴルの「ナーダム」というお祭りの中の一つ、少年達の競馬の映像を見た時だ。
 最初は、ムツゴロウさんこと作家の畑正憲さんのテレビ番組で、たくさんの少年に混じって畑さんがモンゴルの馬にまたがり、草原を駆けるシーンだった。手綱を握り一心に馬を走らせる様子に、涙が止まらなくなった。次に作家の椎名誠さんがやはりモンゴルを旅するテレビ番組で、ナーダムの少年競馬が紹介されていた。その時も競馬の場面で、ふいに涙が溢れ出た。確信したのは、3回目で、椎名誠さんの映画「白い馬」を上映会で見たとき。主人公の少年がナーダムで白い馬に股がって駆けるシーン。圧倒的な馬の蹄の音の中、またまた涙が止めどなく溢れてきたのである。自分でも笑ってしまう位。そして、さすがに三度目には、「そうだったんだ」と思ってしまった。
 砂漠や草原が好きで、満天の星空や青い青い憧れてしまうのは、そういう理由があるんです。そう言えば、外の広い場所でオシッコするのも好きだなあ。
(2011.4.27)

 
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ダンス

2011年04月22日 | ポエム



 ダンス (または乳房)

あなたのおとなの髪が
僕の頬に触れている
あなたの固い二つの乳房が
僕の胸で揺れている

僕の左手は
子どものプォークダンスの様に
不器用にあなたの掌をつつみ
僕の右手は みにくく
あなたの背中を撫でている
(あなたの背中に乳房はないかしら、と)

あなたの故郷は 何処?
それとも あなたの故郷は
名も知らぬ男達の手で
すっかり風化してしまったのかなあ
そして 僕もその男達のひとり

あなたは 笑う
あなたの笑い声は
僕の頭をかすめて
うしろに飛んで行ってしまう
僕にとって確かなものは
あなたがつけてくれた煙草の火と
僕に触れた
あなたの固い乳房だった
(1970.12.31)

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恋人

2011年04月18日 | ポエム
 恋人


きみのセーターの
むねのふくらみが
哀しいくらい僕を慰める
そんな時
思いきりきみを抱きしめて
涙をひとつぶ
きみのやわらかい髪に
落としてみよう

(1975)




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天使

2011年04月15日 | ポエム



 天使 engel

お前は突然
やぶのなかから姿をあらわし
そして僕は
お前の美しい舞いにすっかり見とれていた

お前といっしょに飛んでいるうちに
ふわりふわりと
僕のこころはいつか
おとぎのくにを歩いていた

(1974)
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東京の雲

2011年04月12日 | ポエム
 東京の雲

都会のビルの間から見る君も
やっぱり僕の友だね
でもそんなに汚れた空じゃあ
可哀想だね

(1976)



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