鉄人28号とさくら、みずほ
先週の金曜日の朝、鉄人28号に再会した。
考えたら45年ぶりだった。
もちろん45年前に、鉄人28号と知り合い、言葉を交わした訳でもない。実際に出会った訳でもない。でも金曜日の朝、神戸市の新長田駅の側にある若松公園に、心躍らせ、歩を早め乍ら45年ぶりの再会だと思った。
10歳。小学校4年生の頃だったか、絵を描くことの好きだった私は、描くことが可能な紙という紙に、毎日のように鉄人28号を描いていたからだろう。
金曜日の朝に再会した方の鉄人28号も動くことのない高さ18メートルの鉄鋼性のモニュメントである。でも実際の(?)鉄人28号も鉄鋼で出来ているはずだから、実物大(?)の大きさといい、質感といい、まるで本物なのだ。単純に感激した。ニホンに降り掛かる災いをエイと吹き飛ばしてくれそうな表情とポーズもいい。東日本に「ビューンと飛んでく」ところを想像した。
ビューンと飛ぶ様なスピードなのは、その朝に全線開業後初めて乗車した九州新幹線だ。熊本駅始発の新大阪行きさくら544号。熊本平野を一望に、阿蘇から昇ったばかりの朝日が輝き、逆光の中に我が街の城、熊本城がそびえている。と、感激していたら20分でおとなりの福岡県に入ってしまった。カミサン、手作りの弁当を食べ終え、ウトウトしていたら本州に。ガラガラで、大丈夫かいなと心配になった普通車指定席の車内は、満席になってしまった。
九州新幹線のN700系を使用した「さくら」「みずほ」の指定席は、山陽新幹線で、開業以来人気らしい。理由は、新しいという物珍しさもあるが、同じ普通車指定席料金なのに、みずほとさくらは、グリーン車と同じ4列シートでゆったりとしたより快適な点が評判になっているらしい。陶器をイメージしたという青みがかった外観の塗装も好きだ。ただ内装のデザインは、主に九州内の「つばめ」に使用している800系の方が個性的で好きだ。ぜひ九州に来て乗ってください。
神戸からの帰りは、最速の「みずほ」だった。18時13分新神戸発。ビールを飲み乍ら神戸の牛飯を食べ、またウトウトしていると九州に。博多駅でしっかり目が覚めて車内販売のコーヒーでも飲みたくなったけど、博多を出た時点で、もうすぐにでも熊本駅に着きそうな雰囲気。実際車内販売が来たときは、あと20分も無かったから、慌ただしい気がして、コーヒーは我慢した。21時丁度の熊本着。2時間47分の早さだ。もう関西までなら飛行機より私は新幹線がいい。
鉄人28号を描いていた小学4年生の頃。鉄人と同じ位、鉄道の絵も描いていた。「九州新幹線2000年開通」というその頃の絵が残っている。当時熊本から博多に行くと言ったら、急行列車でもちょっとした大旅行だった。旅にお菓子やサンドイッチや弁当は付き物だったし、国鉄の電車急行にはビュッフェが連結されていて、そこで食事する幸運な時もあった。ビューンと飛んでくように走る新幹線は、私の旅の感覚には少し早過ぎるかもしれない。
(2011.8.31)