雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

トウモロコシ

2012年07月31日 | ポエム

 トウモロコシ

皮のついたままの
トウモロコシには
なつかしい匂いがある

トウモロコシの
赤い髭には
なつかしい思い出があった

今ぼくは
遠い昔のトウモロコシ畑で
静かな風の音を聞いている

だけど
あの日は帰らない
あの人はもういない
(1973~2012.7.31)

▲有明海と入道雲/2008.8.9撮影


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夏と甲子園とオリンピック

2012年07月27日 | ポエム
▲真夏の雲はまだ撮影していない。密度の高そうな、雲の上に乗れそうな入道雲をカメラに収めたい。

 夏と甲子園とオリンピック

 夏の高校野球、熊本県大会決勝戦。
 1点リードで迎えた8回裏2アウト満塁のチャンス!今日あたっている9番バッター安藤君が振り抜いた打球は、相手のレフトを越え、フェンスに向かって転がる。走者一掃の長打だ。その瞬間、勝利をほぼ確信し、胸がいっぱいになって頭から被っていたタオルで汗といっしょに涙を拭った。
 その年のチームが強くても弱くても、毎年夏の甲子園の熊本県予選は、組み合わせ抽選会の段階からワクワクし、必ず一試合は球場へ出向き生で応援をする。それは私自身の夏の年中行事だ。仕事があるので土日の試合しか応援には行けないし、ある程度勝ち進んでくれないと母黌の試合が週末にあるとは限らない。ここ2年ばかりは、タイミングが悪く、母黌の応援で球場に駆けつけることが出来なかった。そうやって夏の予選の戦いぶりを見て満足するばかりの18年。前に母黌が甲子園出場を果たしたときは、いろんな事情で、私は甲子園まで応援に行くことが出来なかった。次に出場の機会を得たら甲子園に応援に行きたい。しかし「生きている間にもう済々黌の甲子園出場は無いのかも」。ここ10年程は正直半分以上そう思ってあきらめかけていた。
 「今年のチームは違う」と思ったのは、秋の新人戦からよい戦いを続けていること。いくつかの大会でベスト4に残っていた。しかもさらにいいピッチャーだと評判のエースは、夏の予選には長い故障から復帰するらしい。同級生が集まると「今年はもしかしたら‥‥」と話が出るようになった。私も夏の予選を待ち切れず、ベスト4のRKK旗、準優勝のNHK旗と公式戦を久しぶりに生で観戦した。
 第4シードで迎えた今年の夏の県大会。春の甲子園で活躍し、秋からの大会でも県内ではレベルの差を見せつける第1シードの九学と、勝ち抜けば準決勝で対戦する。甲子園の道に大きく立ちふさがる九学。決勝戦の前日にその九学と対戦した。1点を争う息もつけないような緊迫の試合だった。そして結果は1対0で強豪九学に完封勝ち。その日は試合中、仕事が手につかず、結局テレビの前で応援した。もう決勝はテレビではなく球場に行き、生で応援したい。平日だが何とか仕事を休む都合がついた。
 4点差で迎えた9回、アウトをとる度に、甲子園が近づいている現実が信じられなかった。最後の打者を三振にとり試合終了。18年間見続けた夢への切符をつかみ、不覚にも感動で黌歌が歌えなかった。
 相手は、必由館高校。立田山の麓にある済々黌に近い坪井にある熊本市立の高校。監督は済々黌のOBで、ユニホームも同じ臙脂色に白の早稲田カラー。粘り強い野球で個性的な選手が多く、戦いぶりも似ていて私も済々黌の次に応援している好きなチームだ。もし決勝で母黌が敗れていたら、熱心に応援していただろう。
 春夏を通して甲子園の高校野球では、まず予選では誰でも母校や故郷の地元の学校を応援するだろうが、そこが負けた後は、甲子園では県の代表を懸命に応援する。熊本の代表が負けたら、残っている九州沖縄の代表校を応援する。もし九州内の高校が全部敗れ去ってしまったら、今度は日本を東西に分け、九州に近い西日本の学校を応援してしまう。
 今週、ロンドンオリンピックが始まる。平和の祭典と言われる一方で、シリア紛争などの関係で、ミサイルまで配置した生々しいテロ対策の中開催される。
 オリンピックではもちろん、日本中が一つになって日本選手を応援する。もし他の惑星に宇宙人がいて、宇宙オリンピックが開かれたら、地球が一つになって、シリアも北朝鮮も中国もロシアもアメリカも、国籍に関係なく地球の代表選手を応援するのだろうか。(2012.7.26)
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薤のつゆ

2012年07月23日 | ポエム
▲今日23日に、今年の長い梅雨が明けた。先週末の夕方、愛犬と散歩していて、西の空に虹色の雲を見つけた。カメラを取りに家に帰って、何とか撮影した。虹そのものや太陽が光っているのではなく、雲が虹色に光っているのだ。最初に見つけたときは、もっと大きく、はっきりとした虹色をしていた。何と言う気象現象だろう。

 薤のつゆ

薤におりたつゆは

すぐにかわいてしまう

それでも

あすの朝またおりるだろう

ああ

だけどひとは

死ぬともう二度とそこへはもどらないのですね

(薤露歌より/訳:1972.9.19)
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西瓜は真夏が上手い!!

2012年07月20日 | ポエム
▲早く梅雨明けしてほしい!!

 西瓜は真夏が上手い!!

 四季がはっきりしている日本では、野菜や果物、魚介類といった食材には本来旬がある。日本の沿岸で獲れる魚介類のほとんどには、その獲れる時期がある。初夏のカツオ、秋のサンマ、冬の牡蠣などが頭に浮かぶ。ところが冷凍技術や養殖技術の進歩で、1年中安定供給をされている魚介類も多くなって来た。キャベツやレタス、ネギ、たまねぎ、ジャガイモやキュウリ、トマトなどの定番野菜はほとんど1年を通して八百屋やスーパーマーケットの店先に並んでいる。ビニールハウスなどで温度や日照を管理された中での栽培は様々な農作物で盛んに採用されている。また保存の技術も進んで、収穫したものを需要に併せて少しずつ供給することも行われている。それによって、消費者は1年中低価格でそれらの食材を手にすることができるが、考えたらその作物の本来の旬を知らないこともある。
 それでも田舎に住んでいると、周囲の畑の作物の成長が日々見えているし、その作物の旬になると、ありがたいことに「これでもか」という位、あちこちからお声がかかり、同じ作物をいただく。魚介類も数や種類は限られるが、地元で採れる頃にはお裾分けをいただくことも多い。
 「ああ、今が旬なんだ」と思い、そして旬のものはみな美味しい。
 小さい頃、夏休みの暑い昼下がりに、縁側でパンツ1枚の姿になって、兄弟そろって食べたのがスイカ。
 まるまる1個のスイカを井戸の中に吊るして冷やしてある。大きなお盆に塩の入った皿と爪楊枝。そして出刃庖丁。昼寝から目を覚ました子ども達は、切り分けるのが待ち切れない。蔓のついた頭とお尻をまず切る。底が平になり安定したスイカの中央に刃を入れる。熟れ具合が分かる緊張の瞬間だ。瑞々しさではち切れんばかりのスイカは、ちょっと刃を入れただけで、ブリブリと音をたてて割れてしまう。
 好みの熟れ具合は、それぞれ。私は身がしっかりとしたものが好きで、熟れ過ぎてホヤホヤに柔らかくなったところは好きではない。一時は種無しスイカや果肉が黄色のスイカも目にすることがあった。
 大きなスイカは、半分に切ったものを4等分し、今度は食べやすい大きさで厚さ3、4センチに楯にスライスする。そして仕上げに塩をふりかける。口にしたスイカは表面の塩辛さを感じ、その後の実の甘さが際立つのだ。表面に露出したタネは、爪楊枝でほじくり出す。
 中くらいの玉なら、8等分したメロンの切り身の形をしたものを、そのまま両手に持って食らいつく。タネも豪快にそのまま一度口にいれ、縁側から「プっプっ」と吹き飛ばす。
 さらに小玉であれば、半玉を一人で食べることがある。私はめったに出来ないこの食べ方が好きだった。その場合は、食らいつくことが出来ないので、スイカスプーン(本来はメロン用のスプーンかもしれない)なる柄の長い先割れスプーンを使用する。この食べ方の利点は、予め自分の取り分が決まっているので、急いで食べる必要が無い点だ。もう一つ、スイカを食べる際に裸のお腹やパンツにさえもこぼれる赤い汁が、半玉を食べる際には残した皮がそのまま器になって、こぼれず溜まることである。実を食べ尽くし、最後にスイカの皮の器をかかえて溜まった汁も飲み干す。
 熊本県は植木スイカをはじめ、スイカの名産地である。ところが、いつの頃からか、気がつくと一番スイカを食べたいと思う、夏の盛りに、熊本でも店頭からスイカの姿が消えてしまった。何処にいったのだと思っていると、スイカはクリスマスに高級フルーツとして売ら出されていたり、6月から季節を先取りするように売られている。ハウスを使って早期に栽培しないと、旬を待っていたのではスイカ農家も商売にならないのだ。
 あの暑い盛りの旬のスイカが食べたい。
 真夏の日々。子どもの頃の私は、スイカのように丸く突き出たスイカ腹をぽんぽんと叩きながら、満腹感の幸福感の中で密かに、大人が言うように、飲み込んでしまったタネがへそから芽を出したら嫌だなと、いつも少し不安に思っていた。
(2012.7.20)
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海に‥‥

2012年07月17日 | ポエム
 海に‥‥

     1
僕はまた海に行かずにおれない
ほんとうにさみしい海と空の下に

僕の求めるすべては
大きな船と
そして船を進める一つの星です
舵をきる音と
風や白い帆がはためく歌です
海を漂う灰色の霧と
そして
静かな灰色の夜明けです


     2
僕はまた海に行かずにおれない
僕を呼ぶ流れる潮の叫びの
なんと荒々しく、はっきり聞こえてきて
僕はそれをことわることができないから‥‥

僕の求めるすべては
風の吹く日の
流れゆく白い雲です
飛び散る飛沫や砕ける泡
そして鳴き叫ぶカモメたちです


     3
僕はまた海に行かずにおれない
ひとりぼっちの放浪の旅に
カモメの道やクジラの道の
風はとがったナイフのようです

僕の求めるすべてのものは
流浪者が笑いながら話す
楽しい旅物語
そして長い夜の勤めを終えた後の
静かな眠りと楽しい夢と‥‥
(Sea Fever by John MASEFIELD/訳:1974~2012.7.17)
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