かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

原発を詠む(61)――朝日歌壇・俳壇から(2020年1月12日~3月22日)

2020年03月22日 | 鑑賞

朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。

 

顔のきず皺(しわ)に隠して被爆せる友は逝きたり愚痴もいはずに
       (西海市)原田覚  (1/12 馬場あき子選)

汚染水「アンダーコントロール」にて外界へでるか五輪後某日
       (福島市)青木崇郎  (1/28 高野公彦選)

帰還などできぬ出来ぬと雉子(きじ)がなく被曝塗(まみ)れの雑木の田畑
       (いわき市)馬目弘平  (2/2 馬場あき子選)

もはやここが「最終」なのか雪止まず無数のタンクとフレコンバッグ
       (朝霞市)青垣進  (2/9 高野公彦選)

陽だまりの校門静かプレートに原発からの距離書かれおり
       (藤枝市)菊川香保里  (2/9 高野公彦選)

白椿咲くふくしまの墓じまひ終へてむなしき更地二坪
    (国立市)半杭螢子  (2/16 高野公彦、永田和宏、佐々木幸綱選)

町の未来は町に住まいて語らんと二月浪江に帰還(かえ)る友あり
       (福島市)青木崇郎  (2/16 佐々木幸綱選)

被爆せる母娘に水をやるために再び戻る白昼の夢へ
       (西海市)原田覚  (3/1 佐々木幸綱選)

汚染とはホモサピエンスの問題で地球は何も困っておらぬ
       (松本市)馬木和彦  (3/8 高野公彦選)

人のなき町に残され餓死までの牛のかじりし牛舎の柱
       (郡山市)渡辺良子  (3/8 馬場あき子選)

この国が「想定外」に弱きことフクシマでもう知っていたのに
       (水戸市)中原千絵子  (3/15 馬場あき子、佐佐木幸綱選)

原発の汚染の始末まだなのに水害に遭い肺炎が来る
       (郡山市)柴崎茂  (3/22 馬場あき子選)

猪も原発事故も乗り超えしこの山畑に今別れ告ぐ
       (仙台市)古谷隆男  (3/22 佐々木幸綱選)

 

九年経ち未だフクシマと呼ばる春
       (いわき市)馬目空  (1/28 長谷川櫂選)

粉々に砕け散りたる春惜しむ
       (福島県伊達市)佐藤茂  (3/15 長谷川櫂選)

被曝地の分校跡の春の空
       (いわき市)馬目空  (3/22 大串章選)

 

 

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