朝日新聞への投稿短歌・俳句で「原発」、「原爆」に関連して詠まれたものを抜き書きした。
百二歳の自死の哀しき飯舘にあまた除染土黒き山なす
(横須賀市)梅田悦子 (8/24 馬場あき子選)
ヒロシマとナガサキの後の三つ目の街 見たいのは誰決めるのは誰?
(横浜市)毛涯明子 (8/24 佐佐木幸綱選)
地球儀をまわせどこの国だけにある百日紅の花咲く原爆忌
(水戸市)中原千絵子 (8/24 高野公彦選)
この夏は節電の声ちいさくて原発再開しずかに進む
(福山市)武 暁 (8/24 高野公彦選)
〈HIROSHIMA〉を正当化せし記録番組(ドキュメンタリー)をアメリカ人と並び見ており
(アメリカ)郷隼人 (8/31 馬場あき子選)
心して安保法案審議せよと言うがごとくに原爆忌来る
(三原市)岡田独甫 (8/31 馬場あき子選)
あと出しのジャンケンみたい九日の式辞には盛る〈非核三原則〉
(さいたま市)紺野ちあき (8/31 佐佐木幸綱選)
戦争を是とする人がのうのうと原爆忌に来てあいさつをする
(三原市)岡田独甫 (8/31 佐佐木幸綱選)
砂袋重しに置かれ縛られて除染土堆(たか)く裏庭にあり
(福島市)青木崇郎 (8/31 佐佐木幸綱選)
「ブレーキは未装備ですが走れます」再稼働とはそんなところか
(仙台市)角田正雄 (8/31 高野公彦選)
窓外の簾きらめき陽を反(かえ)す原発ゼロが終わりたる昼
(市原市)小田優子 (8/31 高野公彦選)
ナガサキは最後か唯の二番目か戦争知らぬ我らの原点
(福生市)斉藤千秋 (8/31 高野公彦選)
福島を忘れた如く蝉は鳴く
(長岡京市)寺嶋三郎 (8/24 金子兜太選)
沈めても浮き上がる茄子原爆忌
(広島市)高垣わこ (8/24 大串章選)
原爆忌川は変わらず流れゆく
(平塚市)日下光代 (8/24 大串章選)
戦争の世紀に確(しか)と原爆忌
(倉敷市)森川忠信 (8/31 金子兜太選)
汚染され福島残る蝉の声
(長岡京市)寺嶋三郎 (8/31 金子兜太選)
石段の影よみがへる広島忌
(静岡県東伊豆町)小沢勝正 (8/31 大串章選)
引き揚げを思い出す日や原爆忌
(新宮市)中西洋 (8/31 大串章選)