かわたれどきの頁繰り

読書の時間はたいてい明け方の3時から6時頃。読んだ本の印象メモ、展覧会の記憶、など。

【メモ―フクシマ以後】 脱原発デモの中で (23)

2025年01月04日 | 脱原発

20161111

 ネットもテレビも新聞もドナルド・トランプの話題で賑わっている。ジャーナリズムの予想に反したのか、期待を裏切ったのか、それともその両方なのかもしれないが、言い訳じみた解説にうんざりする。
 選挙は「よりましな選択」とはいえ、選択肢がヒラリーとトランプなのだから、どちらが勝っても負けても世界にもたらされる不幸の質と量に差があるとは思えない。それに、不満のある大衆に(仮想)敵を作ってみせてヘイトで煽るという選挙の質と結果は、大阪府知事選挙で橋下徹が勝った時に見ている。
 騒々しい解説の嵐のなかを、一つのツイートが駆け巡った。そのツイートが私にとってのアメリカ大統領選挙についてのアルファでありオメガとなった。119日の「稲葉歩@inabawataru」という人の短いツイートである。

アメリカ大統領がトランプだからって何ビビってんだよ。
日本なんて安倍だぞ。

 彼我の国民の不幸にほとんど差がないのである。私は、私のやることをやるだけである。
 選挙後に西海岸の若者たちが反トランプのデモを始めたというニュースに、選挙結果を認めないのは民主主義ではないという陳腐な批判を加えるマスコミもあったが、海のこちら側では国会前に時には10万人を越える反安部の抗議集会が続いている。デモや抗議集会は、不十分な民主主義制度の欠かせない必須の補完物なのだ。

 鹿児島県の三反園知事が川内原発の検査状況を視察したという話から脱原発デモの主催者挨拶は始まった。その視察に同行した二人の専門家が原発を推進する立場の原子力工学者だったことから、再稼働容認への地ならしではないかと疑問を呈している人々もいる。検討委員会設置後の議論を待ってからの判断と知事は言っているが、再稼働を認めないよう遠い仙台からも声を届けたいと話された。
 また、ベトナム政府は日本が建設する予定の原発建設計画を白紙に戻す方向で検討を始めたというニュースにも触れた。福島事故を受けて安全性を見直したことや建設費の膨張などによる原発による発電コストの高騰などがその要因ということだ。福島事故を起こしたうえに、その原因を解明もできず、事故を終息させることもできない国が外国に原発を売ることの非倫理性を問う必要がある。日本国民ばかりではなく、どんな国の人も放射能を浴びることのない環境で生きていく権利があるのだ。
 金デモに参加されている書道家が反原発と護憲の考えを書として出品している「東北書道秀抜展」が1118日~23日に仙台メディアテークギャラリーで開催されるという告知をされた後、東北文化学園大学の震災復興と原発問題をテーマとする特別講座の案内があった。1110日から開講し、原発や環境に関する話題ごとの講師を招いての講義で、毎週木曜日午後3時〜4時半に同大学1号館1257教室で行われる。因みに、来週と再来週の講師は福島原発告訴団の武藤類子さんということだ。
 また、インドのモディ首相が来日して今日にも締結される日印原子力協定を批判する『世界』12月号掲載の福永正明さんの記事の紹介もあった。インドは核不拡散条約に加盟していない核兵器所有国であり核実験も行っている。そんな国に原発を輸出することは許されるのか、核実験を行った場合には協力を停止することができるのか、インドは使用済み核燃料の再処理を認めてほしいと主張していることなどきわめて重要な問題が指摘されている。
 宮城県の市町村長会議で村井知事が8,000Bq/kg以下の放射能汚染廃棄物を焼却する方針を打ち出したことを受けて、奥山仙台市長がそれを受け入れる意思を表明したことから、脱原発仙台市民会議が仙台市に反対の申し入れを行った。 (1)焼却する理由がないこと、(2)焼却工程での安全性が担保されていない、(3)輸送工程での安全性が担保されていない、(4)富谷市との協定や松森工場建設の際の住民協定に違反するのではないか、(5)特措法に抵触するのではないか、(6)発生者責任を問うべきである、などの9項目にわたって申入れをしたところ、今月末に話し合いがもたれることになったという(脱原発仙台市民会議の人と申入れに同席されたふなやま由美市議の報告)。
 女川原発の建設計画段階の時代からの反原発運動に取り組んでこられ、宮城県の反原発運動のリーダー役だった篠原弘典さんが第28回多田謡子反権力人権賞を受賞されたという紹介があった。
 篠原弘典さんは1966年東北大学に入学して原子核工学科に進学したが、原子力の危険性を知って反原発の歩みを始め、女川原発差止訴訟原告団をはじめとする運動の牽引役となり、「みやぎ脱原発・風の会」を主導され、脱原発東北電力株主の会代表、女川原発の再稼働を許さない!みやぎアクション世話人、放射能問題支援対策室「いずみ」顧問などとして活動されたことが授賞理由となった。
 最後に、一昨日野党4党の幹事長会議が開かれ、原発反対も協定の俎上に上って、民進党も否定的ではないよという話題があった。原発立地県の新潟では70%以上が原発反対で、そのことが知事選挙の結果に現れている。野党共闘では原発も極めて重要なイッシュウだという意見が述べられた。

 今日は朝から雨が降っていて、集会が始まるころには止んだように思えたが、また小雨が降り始めた。 冷たい雨である。合羽を着ている人、傘をさす人、防水加工の服なのか雨を避けるふうでもなく頑張っている人などさまざまな参加者は一番町に入るころには40人になっていた。
 一番町に入っても広瀬通りまでは濡れて歩くしかない。

街の灯によごれたる虹立たしめてストロンチウム九〇の
                    篠 弘 [1]

[1] 篠弘「歌集 昨日の絵」『現代短歌全集 第十七巻』(筑摩書房、2002年)p. 229

 


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