ふたたび壺井栄「大根の葉」に戻る。
瀬戸内の山里の母子で暮らす小さな家。
観音山のよく見える、小さなお家
お母さんは言うことを聞かない健ちゃんを抱き寄せ、その両目を手でふさいだ。
健ちゃんはえへらえへら笑っていた。
「健ちゃん、それ、キャラメルあげよ、さあここにあるで。キャラメルいらんのか。
「いる。---キャマレル、早よおくれいの。」
健ちゃんがもどかしがってお母さんの手をかなぐり捨てて、キャラメルに手を伸ばそうとすると、お母さんはまた目隠しをした。
「さあ、健ちゃん、キャラメル取り、ひとりで取り。ひとりで取ったらみな健ので。」
健ちゃんは知らなかったが、これが今の克ちゃんの世界であった。
ひとりで好きなものを取ることができない。それが何なのか、知ること出来ない。何かを知ろうと思うことは、すべてが眩しい光の彼方にあり、何かを求めることは、目を刺すような苦痛とともにあった。
健ちゃんは、お母さんに諭されて、やっと克子がかわいそうな状態であることを理解した。そして、やさしい健ちゃんは、克子とおかあさんが遠くの病院へいかなければならないことを理解した。
健ちゃんは祖母の家にあずけられ、慣れない生活のなかで自分の居場所を一生懸命作ろうとする。
それは、見えない光に苛まれながらうごめく克子の姿勢と重なるものがある。
おかあさんもまた、可能性の光明を求めて、這い上がろうとしていた。
家族は、みんな必死だった。
瀬戸内の山里の母子で暮らす小さな家。
観音山のよく見える、小さなお家
お母さんは言うことを聞かない健ちゃんを抱き寄せ、その両目を手でふさいだ。
健ちゃんはえへらえへら笑っていた。
「健ちゃん、それ、キャラメルあげよ、さあここにあるで。キャラメルいらんのか。
「いる。---キャマレル、早よおくれいの。」
健ちゃんがもどかしがってお母さんの手をかなぐり捨てて、キャラメルに手を伸ばそうとすると、お母さんはまた目隠しをした。
「さあ、健ちゃん、キャラメル取り、ひとりで取り。ひとりで取ったらみな健ので。」
健ちゃんは知らなかったが、これが今の克ちゃんの世界であった。
ひとりで好きなものを取ることができない。それが何なのか、知ること出来ない。何かを知ろうと思うことは、すべてが眩しい光の彼方にあり、何かを求めることは、目を刺すような苦痛とともにあった。
健ちゃんは、お母さんに諭されて、やっと克子がかわいそうな状態であることを理解した。そして、やさしい健ちゃんは、克子とおかあさんが遠くの病院へいかなければならないことを理解した。
健ちゃんは祖母の家にあずけられ、慣れない生活のなかで自分の居場所を一生懸命作ろうとする。
それは、見えない光に苛まれながらうごめく克子の姿勢と重なるものがある。
おかあさんもまた、可能性の光明を求めて、這い上がろうとしていた。
家族は、みんな必死だった。
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