1月の終わりまで来て、また雪の山形に
手術中の気道確保のために通していた管は、肺と外気とをつなぐためだけのものだったので、声を出せなくなった。
ただ、現状では声帯が残っているので、ある機器を使えば、会話ができるようになるのだそうだ。
機器の名前は『カニューレ』。
前回の手術のあと、多分、傷口が落ち着くのを待って、管と『カニューレ』とを交換してもらえることになった。
すると、今まで一切の侵入を拒まれてきた空気が、喉を通れるようになったのが分かる。
そうして、おそるおそる声を出してみると、
「あ~、い~、う~、え~、お~・・・。」
おおっ、声が出るではないか。
嬉しいねえ、久しぶりだねえ、自分の声。
ついでというか、非常に重要なことなのだが、ものの『におい』も分かるようになった。
ここまでの数日間は、全く匂いを感じることのできない孤独な世界に閉じ込められてきたのだが、急に世界が明るく煌めきだした感じがする。
これだと、料理を食べることも作ることも、以前のように楽しめそうじゃないの。
日が射すと、雪景色は美しい
なんだか、今回のことで、身体の一つ一つの場所が、連動しながら、とても大切な役割を果たしていたことが実感できている気がする。
こうやって力を合わせながら、マタギの身体と暮らしを支えてくれていたんだねえ。
身体中のそれぞれの場所に、愛おしさを感じてしまう。
さて、『声』が出せる、『におい』が嗅げるようになったのは、とても嬉しいことなのだが、実は、この処置、期間限定になってしまいそうだという。
2月末の大手術までの約4週間になりそうだ。
戻ってきた自分の機能。
この期間中、最大限に生かすことを考えてみたいですね。
当然、しゃべるだろうし、料理も作るだろう。
ただ、今までみたいな向かい方とは、ちょっと違ってくるんじゃないかな。
期間限定という事実を心にとどめて、どう暮らしていこうか。
不安でもあるけど、楽しみでもある。
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