河童アオミドロの断捨離世界図鑑

ザスドラス博士の弟子の河童アオミドロの格安貧困魂救済ブログ。

四月からの旅立ち

2016年03月29日 | ZIZY STARDUST
「みんな聞いてくれ、わしは四月から移住することにした」

カメと鳥の中間になった、八田二郎は話し始めた。

「やはり、小豆島に移住するのですか」

「いや、バーチャル空間に移住することにした。
見てくれ、あれが、わしが発明した、ホームレスハウスだ。
あの中がバーチャル空間になっていて、
タイムマシンも付いているのだ」

「地下道とかによくある段ボールの家じゃないですか」

「アマゾンの段ボールを寄せ集めて作ってあるから、ちょっと弱いが、
アマゾンの段ボールは無駄に大きいから便利なのだ。
内側全面に液晶モニターとスマホが貼りつけてある。
そこに、グーグルストリートビューを全面表示してあるのだ」

「ハイテクホームレスですか」

「ここから先が違うのだ。わしは過去40年間の全世界のグーグルマップを
外付けハードディスクに保存してきたのだ。だから、好きな時代に行けるのだ。
主人公が40歳若返るドラマを見てから、わしは決心した。
四月からもう一度20歳になって人生をやり直すのだ」

「でも、見た目は60歳の老人ですよ」

「そうなのだ。最近の液晶画面は光沢があるから、夜中に、映った自分の老人の顔に驚くことがある。
だから、考えたのだ。自分が20歳だと錯覚すればいいんだ。
まず、風呂場の鏡を40インチの液晶にして、起動画面を20歳の自分の顔にしておいた。
段ボールで作ったヘッドマウントをかぶって、40年前の風景だけが見えるようにしたのだ。
もうすぐ、前世も来世も見えるようになる予定だ」


八田二郎はそれから2時間ほど、わけのわからない事をしゃべり続け、
そのまま、段ボールハウスに入っていった。
その後、八田二郎の姿を見た者はいないという。