三つ違いの弟が、順番を違えて、私より先に逝ってしまった。
弟にとって、納得できないことだったろうが、私にしても、思ってもみない事態だった。
弟を頼りに目論んでいた県北の漁港巡りや史跡巡りの構想は、瓦解してしまった。他の人を依頼して行うべきものではない。弟と一緒だから成り立つ構想だった。
いやいや、そんなことはどうでもいい。死んでしまったこと自体が大問題なのだ。
不良だった兄貴のオレが、病気を抱えながら生きているというのに、情けないほど大真面目だったオマエが、なんでオレより先に死ぬんだ!
「アニキ、そんなこと言わないでくれよ。オレだってこんなに早く逝くつもりじゃなかったんだから」
そうか、そうだったんだナ。オマエだってビックリしているんだな。
でも、オレはまだまだ死なないつもり。
いやーなこともあるにはあるが、したいことが山ほど残っているのだから。
露の世や順を違へて弟逝く ひよどり 一平
(つゆのよやじゅんをたがえておとうとゆく)