犬ころと遊ぶ老女や梅薫る ひよどり 一平
(いぬころとあそぶろうじょやうめかおる)
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日差しが出たので、人々が梅園に繰り出していた。猫や犬と同伴の人達もいた。
小さな椅子を持ってきて、そこに犬を座らせて写真を撮っている女性がいた。
「一緒の写真をお撮りましょうか」と言うべきかどうか迷ったが、ついに言わなかった。「余計なお世話です」と言われそうな気がしたのだ。そのあたりの気合はとても難しい。私は常に気後れするタイプ。「触らぬ神に祟りなし」を決めている。
昨年の今頃、とても愉快な老女がいた。
派手に着飾っていて、オートシャッターで自分を撮っていた。その時にも声を掛けられなかった。年齢にそぐわないショート系の服装だったので、声をかけるにはなお更勇気が必要だった。
梅園はまだまだ満開ではない。四分か五分咲きかもしれない。気を揉む早春だ。