赤チン

2011-10-08 05:13:06 | Autobiography
突然『引越し』を宣告される… 1978 年の5月の事だ。
それも、半端な距離じゃぁない。
埼玉県大宮市に住んでいたおいら…転居先は 300km も北…1ヶ月後には宮城県泉市(現仙台市泉区)に引越す…と。

転校は嫌ではなかった。
だって、おいらが通っていた小学校では転校生は『ヒーロー』で、転校初日から『ワー!』って周りをかこんで遊びたがったものだもの。
それなりにクラスでの居場所を見つけ、ドキドキするようなこともあったが、引っ込み思案な性格は幼稚園のあんなことこんなことで既に形作られていたワケで…転校は自己改造のまたと無いチャンスだったワケで…。

『ヒーローになるんだ!』…その思いだけが強くって。
引越しの日を指折り数え、住み慣れた団地を払って北に向かう。

引越した先の新居は…ボロだったけれど一戸建て。
山を削って作った新興住宅地で、どこの家もブロック塀で囲われた古臭い箱庭住宅だった。
そして…そのブロック塀が悲劇を生んだ直後だとは小2のおいらは全く知らず。

宮城県沖地震
ブロック塀の倒壊による被害が大きく報じられたこの地震があったのは、おいらが引越す2週間ほど前のことだった。

引越し直後、両親は家の片付けに追われ、転校手続きも未だで『ポツリ』とひとりのおいらは、ヒマを持て余し、ブロック塀によじ登る。
そして…それは崩れた…。

塀から転落する。
幸い転落した場所は土の上で大怪我には至らず…だが、一緒に落ちてきた塀の欠片であちらこちら傷だらけ…。



転校の初日は、顔・肘・膝…あちらこちらに『赤チン』を塗った、哀れな姿だった。

おいらは『ヒーロー』なる筈だった。
傷だらけで泣きたくなる気持ちを押さえて、みんなの前で挨拶をした。
時間が戻ってほしかった。

おいらは…新しい自分に生まれかわれなかった。

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