5月11日、長良川中流域の鮎漁が解禁になりました。
それに合わせて、毎年、長良川の鵜飼が開幕します。
10月15日までのおよそ5ヶ月、鮎が登り、そして下る自然の営みにあわせ、
1300年に及ぶ伝統の漁法が公開されるのです。
しかし、しかしです、よりにもよって半年以上待ったこの日はあいにくの雨
模様になってしまいました。しかもかなりの雨です。
それでも、午後3時には鵜飼安全祈願祭が行われました。
遊覧船の出船に合わせて出来うる限りのイベントも行われました。
雨雲をつんざくように花火も打ち上げられました。
そしていよいよ鵜飼が始まりました。
しかし、本流は振り続く雨で増水しその流れも勢いを増して鵜舟も、そして
多くの観客を乗せた遊覧船も乗り入れることが出来ません。
そこで、傍流の普段は船溜まりになっている流れで行われたのです。そして
そこは、なんと当ホテルの真ん前、前庭同然の場所なのです。
いつもの流れとは違え、六艘の鵜船がかがり火もあでやかに鵜匠の手綱さば
きと鵜たちの躍動を披露します。
場所が限定されたせいで、鵜舟と観客との距離も近くなり、より親密な雰囲
気が漂います。船頭さんの解説に従い、マルイチッ!(山下純司さん)マルヤ
マッ!(山下哲司さん)マルワッ!(杉山雅彦さん)、あるいは、ヤマジョウ
ッ!(杉山喜規さん)ワチガイッ!(杉山市三郎さん)マルヨッ!(杉山秀二
さん)などと各鵜舟の屋号が観客から飛び交います。
それに呼応するようにかがり火は一層燃え盛り、船頭さんが船縁を叩く音が
リズムを刻み、そして鵜たちが水中水面での華麗な舞踊を繰り返すのでした。
雨中の鵜飼もまた、その風情を持っています。
というわけで今年の鵜飼はここからの出発です。
思えば、東日本の惨状を見るに付け、こうして無事開幕できた事だけでも幸
せだとしなければなりません。晴れない曇りも、上がらない雨もありません。
たとえスタートラインがぬかるんでいても、ここからのスタートで、お越し
になるお客様に出来うる限りのおもてなしを提供し、晴れやかな笑顔でお帰り
いただくようにするのが私たちのつとめだと改めて実感した次第です。
(開幕日に決意を新たにしたホテパクちゃんでした)