■過ちの雨が止む 2022.12.12
アレン・エスケンス 『 過ちの雨が止む 』 を、読みました。
前作 『 償いの雨が降る 』が、面白かったので期待の一冊です。
ジョー・タルバートと母キャシーとの息苦しく息詰まるような関係が語られる。ジョーは、母を恨んでいる。
ある時、タルバートは、いやいやキャシーからの手紙を読まされることになる。母は生まれ変わっていた。
正直、この手紙には、誰しもホロリとさせられるだろう。
一度も見たことのない父の関係から、遺産相続問題が持ち上がる。そのことにおじさんが絡んでくる。
終盤、物語はめまぐるしく展開する。
面白いミステリでした。
ところがこの日、エレベーターへと向かうとき、僕の頭にはパッとひとつの映像が浮かんだ。私物の箱をかかえて送り出される自分自身の姿が。人をクビにする際、会社側は本当にそういうことをするんだろうか?
学校側は母を面談に呼び出したわけじゃないのだ。彼らにはそうしないだけの分別があった。僕の母は、誰かピンを抜く人がいないか常にさがしている手榴弾なのだから。
僕は父を知りたいのだ。
「お母さんの身に起きたことに、きみはなんの責任もない。それどころか、わたしはきみをとても誇りに思っているんだ。わたしには、きみのお母さんが崖に向かっているのがわかった。だが人は、助けを求めていない人間を救うことはできない。そういうものなんだよ。しかしきみは弟を引き受けた。きっと大変だったろう。そのことでわたしはきみを尊敬している」
「依存症から抜け出すのに必要なのは、飲むのをやめること。あるいは、使うのをやめることだけだと思ってる。ところがそうじゃないんだよ。飲むのをやめれば、しらふにはなるだろうが、ツイてない日が一日ありゃあ、すぐさまどぶに逆もどりだ。更生ってのは、ひとつのライフスタイルでね、世界に対する見かた、自分自身に対する見かたを変えなくちゃならないんだ。それが目下、きみのお母さんがやろうとしていることなんだよ」
「あんた、人を好きになったことある、ジョー?」
「まあね」
「なら、わかるよな。この世には危険を冒す価値のあるものも存在するんだ。そのためならなんだってやらないと。それがエンジェルに対する俺の気持ちだ。」
「ジョー、うちというのは場所じゃないこともある。それは人なんだ。そしてわたしのうちはずっとここにあったわけだよ。セアラとともにね」
『 過ちの雨が止む/アレン・エスケンス/務台夏子訳/創元推理文庫 』
アレン・エスケンス 『 過ちの雨が止む 』 を、読みました。
前作 『 償いの雨が降る 』が、面白かったので期待の一冊です。
ジョー・タルバートと母キャシーとの息苦しく息詰まるような関係が語られる。ジョーは、母を恨んでいる。
ある時、タルバートは、いやいやキャシーからの手紙を読まされることになる。母は生まれ変わっていた。
正直、この手紙には、誰しもホロリとさせられるだろう。
一度も見たことのない父の関係から、遺産相続問題が持ち上がる。そのことにおじさんが絡んでくる。
終盤、物語はめまぐるしく展開する。
面白いミステリでした。
ところがこの日、エレベーターへと向かうとき、僕の頭にはパッとひとつの映像が浮かんだ。私物の箱をかかえて送り出される自分自身の姿が。人をクビにする際、会社側は本当にそういうことをするんだろうか?
学校側は母を面談に呼び出したわけじゃないのだ。彼らにはそうしないだけの分別があった。僕の母は、誰かピンを抜く人がいないか常にさがしている手榴弾なのだから。
僕は父を知りたいのだ。
「お母さんの身に起きたことに、きみはなんの責任もない。それどころか、わたしはきみをとても誇りに思っているんだ。わたしには、きみのお母さんが崖に向かっているのがわかった。だが人は、助けを求めていない人間を救うことはできない。そういうものなんだよ。しかしきみは弟を引き受けた。きっと大変だったろう。そのことでわたしはきみを尊敬している」
「依存症から抜け出すのに必要なのは、飲むのをやめること。あるいは、使うのをやめることだけだと思ってる。ところがそうじゃないんだよ。飲むのをやめれば、しらふにはなるだろうが、ツイてない日が一日ありゃあ、すぐさまどぶに逆もどりだ。更生ってのは、ひとつのライフスタイルでね、世界に対する見かた、自分自身に対する見かたを変えなくちゃならないんだ。それが目下、きみのお母さんがやろうとしていることなんだよ」
「あんた、人を好きになったことある、ジョー?」
「まあね」
「なら、わかるよな。この世には危険を冒す価値のあるものも存在するんだ。そのためならなんだってやらないと。それがエンジェルに対する俺の気持ちだ。」
「ジョー、うちというのは場所じゃないこともある。それは人なんだ。そしてわたしのうちはずっとここにあったわけだよ。セアラとともにね」
『 過ちの雨が止む/アレン・エスケンス/務台夏子訳/創元推理文庫 』
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