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殺人事件はつねに真ん中からゆっくりと外へ動く 汚名上

2021年06月07日 | もう一冊読んでみた
汚名 上/マイクル・コナリー   2021.6.7    

 マイクル・コナリーの 『汚名 上』 を読みました。

 サンフェルナンド市警の刑事として、未解決事件捜査に当たっているボッシュに過去と現在の両方から、試練と難題が迫る。

 過去から再審請求が追いかけてくる。
 ボッシュは、薬局経営者の親子が、殺し屋に銃殺され麻薬取引の危険な潜入捜査に携わることになってしまう。

 三年前の強制退職以来、ボッシュとロス市警との関係は、控えめに言ってもうまくいっておらず、弁護士は、市警とのすべてのやりとりを記録に留めて自衛するようにボッシュに勧めてきた。

 「おれはどこでも仕事をできる」ボッシュは言った。「どこでも眠れる」

 「もうひとつあるんだが。おれはパートナーをけっして裏切らない。たとえ死んだパートナーであっても」

 全米の法廷では、容疑者との事情聴取で虚偽の話や計略の利用を昔から認めていた。無実の人間であれば、その虚偽を見破り、間違って犯行を自白したりしないだろう、という判断からだ。

 「うちは手に入るかぎりの人手を利用できる。きょう、おまえはおれたちをオフィスから出ていかせたがっているように思ったんだがな」
 ああ、なぜなら、あんたはおれがやるべきだったことを思いださせる存在だったからだ」


 償いの必要性がありとあらゆる方法でどんなときにでも生じるものだとボッシュはわかっていた。

 警察の仕事には、ある言い回しがある。安全でなくなるまでその場所は安全なのだ。

 ケネディとソトとタプスコットが知り得ないのは、ボッシュが心の奥底、もっとも暗い場所で知っているひとつの事実だった。すなわち、ボッシュはボーダーズをはめようとして証拠を挫造してはいなかった。これまで生きてきてどんな容疑者に対しても、あるいはどんな敵に対しても証拠を挫造したことは一度もなかった。そしてそれをわかっていることがボッシュにアドレナリンと決意からなる肯定的な衝撃を与えた。

 この世には二種類の真実がある、とボッシュは知っていた。人の人生と使命の変わらぬ基盤となる真実。そしてもうひとつは、政治屋やペテン師、悪徳弁護士とその依頼人たちが、目のまえにある目的に合うよう曲げたり型にはめたりしている可塑性のある真実だ。


    『 汚名(上・下)/マイクル・コナリー/古沢嘉通訳/講談社文庫 』


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