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世界でいちばん透きとおった物語/杉井光

2023年08月14日 | もう一冊読んでみた
世界でいちばん透きとおった物語 2023.8.14

2023年7月15日朝日新聞読書欄 売れてる本

  世界でいちばん透きとおった物語 杉井光著

  紀伊国屋書店新宿本店調べ 文庫部門(3~9日)
  週間ベスト10 第3位

  9刷18万部 5月刊
  「玄人筋のミステリ読みを驚かせ、普段本を読まない層まで広がった」と担当者。

読みやすく、ドンドンページが進む素敵な物語。

「売れてる本」のなかで、名久井直子さんは、次のように述べている。

 校正者であった母にも助けを求められず、編集者と、父の愛人たちと話していくうちにすこしずつ、透明さが形を現していく仕掛け。
 実はわたしは読み進めながら、違和感を持ち続け、二十数ページで確信を得てしまったので、......
 遅かれ早かれ、どこかで気づきつつも、物語はその仕掛けに関係なく、いい時間を過ごせるものでしたのでご安心を。



違和感とは、いかなる違和感か。
ぼくが気づいたことは、名久井さんの確信と同じものだろうか?
読者のみなさんも、同じ違和感を感じられただろうか?



 僕の母の死は、いくつもの厄介ごとに分解されて、ひとつひとつ現実に置き換えられていった。何通かの文書、電話番号、そして現金に。

 そうして日々を重ねるうちに、僕は少しずつ、けれども確実に、孤独に慣れていった。
 生まれつきひとりだったみたいに。


 そんなにわかりやすいものだろうか。死んでいく者が人生を顧みて悔悛するなんて。
 生きている者の勝手な期待じゃないだろうか? どうせ死ぬとわかっているのなら------
 見栄も意地も張り続けたまま死ぬ。
 そう考える奴がいても不思議じゃない。


 僕のいない場所で終わってほしくなかった。少しは僕の物語でもあってほしかった。

   『 世界でいちばん透きとおった物語/杉井光/新潮文庫nex 』




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