ゆめ未来     

遊びをせんとや生れけむ....
好きなことを、心から楽しもうよ。
しなやかに、のびやかに毎日を過ごそう。

流浪の月 「文、帰ろうね。一緒にうちに帰ろう」 

2020年07月13日 | もう一冊読んでみた
流浪の月/凪良ゆう  2020.7.13


 「彼が本当に悪だったかどうかは、彼と彼女にしかわからない」 《北極星》

 『流浪の月』 読みました。

凪良ゆうさんは、文章は上手いし物語の展開も巧みで読みやすく面白かった。
読んでいて思ったことは、ネット上の昨今の誹謗中傷やお節介な人々の発言のことでした。
便利に豊富な情報を入手したり発信したり出来る環境は、便利だ。しかし、それって果たして人々を幸せにしているのだろうか、と考えさせられました。
人は、他人の生き方を何故見て見ぬふりが出来ないのでしょうか? お節介な人が多いのです。

 お母さんは我慢しない。だからママ友がひとりもいない。しかし、そのことをまったく気にしない。ママ友とのおつきあいより、楽しいことがたくさんあるそうだ。

 灯里さんは感覚的なんだとお父さんは言うし、同じマンションのおばさんたちは、浮世離れしている、とこそこそ言っている。

 あの件よりも前から、わたしはすでに変わり者扱いされていた。数人を除いてクラスでは友達がいなくて、授業でグループを組まなければなれないときなどは不便を感じていた。

 わたしはいつも考えに考え抜いて話をする。もしくは考えた末に話さない。どちらかというと後者が多く、無口な人と思われている。それが文を前にすると舌も口も無防備にすべる。そんな自分に驚いている。

 ----わたしもいつか、やばい人になるのかな?

 ----人それぞれ、みんなちがってるなんて当たり前のことなのにな。

 ----わたしが消えても、心配してくれる人はもういないんだな。

 今のわたしは、世界中の哀れなものすべてに共感してしまう。

 そうか、ばれていたかと思った。別に構わない。相手に好かれたいとさえ願わなければ、人間関係に憂いはほとんど生まれない。

 「あの人たち、ほんと聞くだけだよ。それも自分の幸せを確認するために」

 「ロリコンってつらい?」
 「ロリコンじゃなくても、生きるのはつらいことだらけだよ」
 「大人になってもつらいの?」
 「残念ながら」


 文は膝を抱えて天井を見上げた。ああ、そうだ。世界はどうしようもないことであふれているから、理不尽さに憤っても消耗するだけだ。だから深く考えないよう気持ちを薄くしてやり過ごすしかない。

 「でも、頼まれたらなんだかんだで断らない」
 「本当はいつも断ろうと思っている」
 「そうなの?」
 「そうだよ。でも、やっぱり、ひとりは怖いから」



読んでみて、ぼくは、更紗に格段の異常性を感じませんでした。
むしろ最近の女性としては、誠に慎ましやかな印象を持ちました。
周りの人間が、お節介なだけなのです。


           『 流浪の月/凪良ゆう/東京創元社 』





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日経平均、新型コロナウィル... | トップ | 青梗菜の和風ペペロンチーノ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

もう一冊読んでみた」カテゴリの最新記事