ゆめ未来     

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今週の読書! 悪人/あなたは誰?/カルニヴィア3 密謀/

2015年11月21日 | もう一冊読んでみた
 今週は、この3冊。

悪人/吉田修一   2015.11.21


     【夏の石廊崎灯台/撮影:横山辰雄氏

本作は、2006年3月24日から2007年1月29日まで朝日新聞にて連載され、2007年に朝日新聞社より出版された。2010年11月時点で朝日文庫版が210万部を突破している。
『悪人』(あくにん、Akunin、Villain)は、『フラガール』『69 sixty nine』の李相日監督によるヒューマンミステリードラマ。2010年9月11日に全国東宝系列で公開。(ウィキペディア)


随分話題になった小説であり、映画だったけど、発売当時は、ぼくは、まだ吉田修一さんと出会ってはいなかった。
最近、吉田さんの作品空間に興味を持ち、何冊か読んで彼の心優しい世界が好きになって、読み残している『悪人』を手に取りました。

ふと、石川さゆりの『天城越え』を思い浮かべてしまった。

  天城越え..............1986年発売/石川さゆり/

『悪人』の世界は、これまで読んだ、「ぼくの好きな吉田修一さんの作品空間」と少々趣を異にしていました。

しかし、下p245をよく読むめば、ぼくの好きな吉田さんの世界が浮き上がってくるような気がします。

 「あんた、大切な人はおるね?」
 「その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人たい」
 「おらん人間が多すぎるよ」


あなたは、だれが、本当の「悪人」だと思いましたか。

レンタルビデオ店からDVDを借りてきて、観ました。
ぼくは、ひとりだけ、殺された女の子が、最も罪深い人かもしれないと思いました。
まともな両親に大切に育てられた、たったひとりの愛娘だったのに。

 伝える誰かに出会いたかった。

  『 悪人(上・下)/吉田修一/朝日文庫 』




あなたは誰?/ヘレン・マクロイ   2015.11.21

 ヘレン・マクロイの『あなたは誰?』は、ぼくには懐かしいミステリーに感じられました。
殺人事件は、1件、起こりますが、その他には特に大きな波乱は無く、のんびりとしています。

  Who's Calling?(1942) 『あなたは誰?』

題名は、
電話を受けた際に言う「どちらさまですか?」を意味する言葉だ。(訳者あとがき)
を意味するだけでなく、もう一つ含まれているような気がします。

 どうして長さはいつも哀調を連想させるのだろう?よく使う言い回しで、悲しげな顔のことを"長い"顔という。笑い声は短い音の連続だが、もの悲しい風音は長く引きずるような音だ。

 子どもというものは、残酷さから脱皮するものだ……それとも、社会に受け入られるような残酷さのはけ口を学ぶだけのことなのだろうか?


 愛の死は、その愛がどんなものだったにしても、常に悲しい。

 『 あなたは誰?/ヘレン・マクロイ/渕上痩平訳/ちくま文庫 』



カルニヴィア3 密謀/ジョナサン・ホルト   2015.11.21

 解説/書評家/大矢博子
 本書は『カルニヴィア1 禁忌』『カルニヴィア2 誘拐』に続く三部作の完結編である。
扱われる事件はそれぞれ独立しているが、既刊での出来事を前提とした会話やエピソードが頻出するため、できれば刊行順に読まれた方が分かりやすいだろう。
舞台は水の都、ヴェネツィア。


このミステリーを読んでいると、作者が心から、この都市を愛していることが分かります。
古い伝統的建造物、受けつがれた料理のにおい、ぼく自身がこの町をたずね歩いている気がします。

駐留米軍の基地の多さや海に囲まれた都市、歴史的街並みなど、日本の社会に似ています。
テロの脅威など日本の近未来像のような気もしてきます。

「セレニティ・オブ・ザ・シーズ号」は、「乗客定員:3114人、乗組員数:1185人」の「マリナー・オブ・ザ・シーズ」と同じような大きさの豪華客船でしょうか、それが向かった先は................


  This photo of San Giorgio Maggiore is courtesy of TripAdvisor

本書、巻末にある「歴史的背景」を知っていたら、イタリアの現代史が頭にはいっていたとしたら、この話、さらに興味深かったと思います。

 自己犠牲や施しではなく自助と共栄を奨励していること

 ナポレオンは歴史上もっとも偉大な軍人だというだけでなく、もっとも偉大な政治家でもあったんだ。彼の偉大さは、力そのものにはなんの価値もないことを知っていたことにある。目的を達成するために利用して、はじめて力に価値が生まれるのだということを。


 『 カルニヴィア3 密謀/ジョナサン・ホルト/奥村章子訳/ハヤカワ・ミステリ 』

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