BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

鬼嫁物語 第6話

2024年10月11日 | 薄桜鬼 腐向け二次創作小説「鬼嫁物語」
「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

土方さんが両性具有設定です、苦手な方は閲覧なさらないでください。

「まぁ、お美しいこと。」
「ありがとう、ばあや。」
「朔、どうか幸せになるのですよ。」
「はい、母上。」
髪を文金高島田に結い、真紅の打ち掛け姿の朔は、まるで天から舞い降りて来た天女のようだった。
「朔、本当にいいのか?」
「兄様。」
朔が振り向くと、そこには薬の行商から帰宅した歳三の姿があった。
「お前は、俺の所為で・・」
「何も言わないで、兄様。兄様は勇さんと夢を叶えて。」
「わかった。」
これが、兄弟として歳三と朔が交わした最後の会話となった。
「風間、良いのですか?」
「何がだ?」
「貴方が望んだのは土方歳三の筈。それなのに、何故弟君の方を・・・」
「身代わりだ。」
「身代わり、というと?」
「あいつは、兄の身代わりに過ぎん。向こうもそれを承知の上でこちらに嫁ぐのだ。」
「へぇ~、そんな理由でお前に嫁ぐ女の気が知れないねぇ。」
そう言ったのは、風間家と懇意にしている不知火家の次男坊・匡だった。
「・・貴様、何しに来た?」
「何って、お前の嫁になる女の顔を見に来たんだよ。」
「嫁には違いないが、相手は半分男だ。」
「は?そりゃ一体どういう意味だ?」
「土方家の双子は、両性の鬼だ。」
「マジかよ・・」
「兄の方を妻として迎えたかったが、まぁいい。」

千景はそう言った後、開いていた扇子をパチンと閉じた。

「千景様、そろそろお時間です。」
「わかった。」

千景と朔の祝言は、華やかに行われた。

「ほんに、めでたき事。」
「花嫁の美しい事といったら・・」
「美男美女で似合いの二人じゃのう。」

(ったく、爺達は呑気で良いよな。)

不知火はそう思いながらちびちびと酒を飲んでいると、彼は花嫁と目が合った。
白粉を塗らずとも白く抜ける程の美しい肌に、血のように紅い唇。
そして、美しい菫色の瞳―その瞳に見つめられた不知火は、慌てて目を伏せた。

それ以上あの瞳を見つめると、おかしくなってしまいそうだったからだ。

同じ頃、歳三は試衛館道場に居た。

「土方さん、弟さんの祝言には行かないんですか?」
「あぁ。挨拶はしたからいい。」
「一応花嫁の兄なんだから、顔を出す位したらいいのに。」
「俺ぁ、堅苦しいのは大嫌ぇなんだよ。」

そう言った歳三は、前髪を鬱陶しそうに搔き上げた。

「そういや、近藤さんも近々結婚するって聞いたなぁ。」
「平助、この馬鹿っ!」

左之助はそう叫ぶと、平助の頭上に拳を振り下ろした。

「痛てぇ、何するんだよ左之さん!」
「近藤さんが結婚って、それ本当なの、平助!」
「あぁ、何でも相手は何処かの藩士の娘らしいぜ。」
「へぇ、どんな女なのか一度見てみたいな。」

総司がそう言って歳三の方を見ると、彼は少し寂しそうな顔をしていた。

「土方さん?」
「すまねぇ、少しボーっとしてた。」
「風邪でもひいたんじゃないんですか?」
「いけません土方さん、石田散薬を・・」
「これ位の風邪、どうって事ねぇよ。」
そう言いながらも、歳三は鼻を啜っていた。
「トシ、どうした?」
「何でもねぇよ。」
「土方さん、風邪ひいたみたいです。」
「風邪だと!?それは大変だ!」

勇はそう言うと、歳三をひょいと横抱きにした。

「な、下せって!」
「総司、後頼む!」
「わかりました。」
「やめろ、離せって!」

歳三はそう叫びながら抵抗したが、なすすべなく、彼は勇によって勇の部屋へと運ばれてしまった。

「大丈夫だから、下せって!」
「熱があるじゃないか、トシ!待ってろ、今布団を・・」
「大丈夫だって言ってんだろ!」
歳三がそう叫んで勇の手を払い除けると、勇は少し驚いたような顔をした。
「済まねぇ、もう帰る。」
歳三は勇に背を向けると、そのまま一度も振り返る事なく試衛館を後にした。
「どうしたんでしょうねぇ、土方さん?」
「あちゃ~、これ俺の所為かなぁ。」

(勝っちゃんが結婚かぁ・・そんな事考えたくなかったな・・)

歳三はそんな事を思いながら歩いていると、彼は突然背後から忍び寄って来た男に口を塞がれ、近くの叢へと引き摺り込まれた。

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