BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

麗しき華 第一話

2024年10月14日 | 鬼滅の刃×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説「麗しき華」

表紙素材は、mabotofu様からお借りしました。

「火宵の月」「鬼滅の刃」の二次創作小説です。

作者様・出版社様・制作会社様とは一切関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

「先生、行ってらっしゃい~!」
「おとさま、行ってらっしゃい~!」
それは、いつもの、何気ない日常だった。
だが―
「火月、何処に居る!」
出張から戻って来た有匡は、眼前に広がっている光景が信じられなかった。
邸の中は荒れ果て、雛と仁の遺体が血の海の中に倒れていた。
(何故、こんな事に・・)
双子の遺体を胸に抱きながら、有匡は妻・火月の姿が無い事に気づいた。
一体、自分が留守にしている間に何があったのだろうか。
「火月、居たら返事をしろ!」
「ほぅ、其方があの陰陽師か。成程、凄まじい妖気だ。」
闇の中から声がしたかと思うと、黒髪に紅い瞳をした男が闇の中から現れた。
「貴様、何者だ!?」
「おや、下手に動くとそなたの妻の命はないぞ。」
謎の男は、そう言うと火月の首に鋭い爪を突きつけた。
「お前の望みは何だ!?」
「其方の血を、わたしに分け与えよ。そうすれば、其方の妻を解放してやってもいいぞ?」
「罠だな。そんな嘘でわたしを騙せると思っているのか、鬼舞辻無惨。」
「ほぉ?」
男―鬼舞辻無惨は、細い眦を上げ、有匡を睨んだ。
「気が変わった。其方の妻を、わたしの妻として貰い受けるぞ。」
「待て!」
「先生、助け・・」
火月に向かって有匡は手を伸ばそうとしたが、その手が火月に届く前に、彼女は無惨と共にまるで煙のように掻き消えてしまった。
(一体、あいつは何処に消えたんだ?)
有匡がそんな事を思いながら双子の遺体を埋葬していると、そこへ京に居る筈の妹・神官の姿があった。
「神官、お前どうして・・」
「アリマサ、助け・・」
神官はそう叫んだ後、有匡に牙を剥いて襲い掛かって来た。
「やめろ、神官!」
神官の牙を持っていた太刀で何とか防いだ有匡は、神官が泣いている事に気づいた。
(神官・・)
有匡は祭文を唱え、神官の額に、ある印を刻んだ。
それは、かつて雷獣・紅牙を封印した“第3の瞳”だった。
「アリマサ・・」
「わたしの血で、お前の中の、鬼の邪鬼を封じた。それよりも神官、何故京に居る筈のお前が、鎌倉に居る?」
「あの変な男に連れて来られたんだよ。カゲツを人質に取ったのは、アリマサを苦しめる為だろうね。」
「わたしを?」
「ま、これ以上ここに居ても無駄だから、山から人里へ下りた方がいいかもね。」
「あぁ・・」
こうして、有匡と神官は訳が分からぬまま邸を後にし、人里へと下りていった。
すると、そこには二人が知らない鎌倉の町が広がっていた。
―何だ、あれ?
―変な格好ねぇ・・
「何か、ここ本当に鎌倉?」
「あぁ・・」
有匡が少し混乱していたが、すぐに周りの状況を確認した。
(ここは、わたし達が生きていた頃の鎌倉とは違う。では、ここは一体・・)
「あ、すいません、お怪我はありませんでしたか?」
有匡が辺りを見渡していると、一人の少年が彼にぶつかって来た。
その少年は、耳に奇妙な耳飾りをつけていた。
「あの、何かお困りのようですが、俺に出来る事があったら何でも言って下さい!あ、俺は竈門炭治郎といいます!」
「わたしは土御門有匡だ。隣に居るのは妹の神官だ。」

こうして、有匡達と炭治郎達は奇妙な出逢いを果たしたのだった。
コメント