先日、7月20日(日)、福岡市の天神クリスタルビルで開催された Global Standard Seminar in Fukuoka~世界水準の歯科医療を実践するということ~に当院の歯科医師、歯科衛生士で参加させて頂きました。
つきやま歯科医院主催のセミナーであり、築山雄次理事長をはじめ、5名の先生方の講演を聴くことができました。つきやま歯科と当院は「予防を基礎として一流の治療を行う」といった理念を共有し、互いに情報交換しております。
つきやま歯科医院は、平成元年の開院当初から「予防を基礎とした診療」を行い、2010年にMTM(メディカルトリートメントモデル)という新たな予防プログラムを導入し、より高いレベルの予防歯科を構築、実践されています。世界水準の歯科医療の実践について話を聴くことができ、大変刺激を受けました。
最初に築山雄次理事長が、日本の歯科の現状と予防歯科におけるこれからの課題について話されました。日本は経済的に豊かな先進国であるにもかかわらず、歯の健康に関しては他の先進国に後れをとっています。80代の方の5割、つまり約半数が総入れ歯であるというデータがあります。80歳の平均残存歯数は13.9本で、8020を達成しているスウェーデンや17本以上のアメリカなどの先進国に比べ少ない値になっています。
このことは日本人が欧米人に比べ虫歯になりやすいということではありません。予防歯科の考え方がまだ充分に浸透していないことが原因です。
従来の日本の歯科治療は、虫歯があれば削ってつめ、痛んでいる所だけを治療して終了の繰り返しでした。虫歯の原因がきちんと排除されなければ、再発を起こし、そのたびに削ってどんどん歯が小さくなり、歯の寿命が短くなっていきます。これでは悪くなる一方で、お口の健康は得られません。
この歯を失う悪循環のサイクルを停止させる方法が、MTM(メディカルトリートメントモデル)を中心とした予防のシステムです。MTMは元々、予防先進国であるスウェーデンで提唱されました。十分な検査を行い、疾患(虫歯・歯周病)の原因である細菌を徹底的に取り除き、必要な治療を適切な時期に行い、その後はメインテナンスを継続していくという一連のプログラムです。このMTMによって「自分の歯で一生食べる」を実現し、このことが全身の健康の土台となり、QOL(生活の質)が向上します。
当院も2000年の開院当初から予防歯科に力を入れて参りました。歯科医療の本質は予防にあることを改めて確信し、今後も予防歯科の実践と啓蒙を通し、地域医療に貢献していくという決意を新たにしました。
他の先生方の講演も非常に興味深く、熱のこもった講演に聴き入っているうちに丸一日のセミナーがあっという間に終了したような感覚でした。他に印象に残っていることは、EBD(科学的根拠に基づいた歯科医療)の考え方です。昔は術者の経験や感覚に基づいた治療を行うことがほとんどでしたが、近年はEBDにシフトし、質の良い論文のデータなど妥当な科学的根拠に基づく判断、治療の選択を行うことが世界的潮流になっています。EBDの実践は、患者様にとって今考えられる最も有効な治療を実践することなのです。
今回のセミナーを受けて、真の患者利益とは何か、今後どのような歯科医療を目指すべきか、深く考えさせられました。世界水準の医療を提供できるように、スタッフ一同益々研鑽を積み、日々の診療に心血を注ぐ決意を新たにしたセミナーでした。今回学んだことを患者様に還元していけたらと思います。
お口の健康を取り戻したい方、維持・増進したい方、ぜひ当院にご相談下さい。
(医)くらのうえ市丸歯科 新鳥栖インプラント・歯周病センター(佐賀県鳥栖市)
TEL:0942-81-5410