遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

増やすだけではダメ

2008-08-29 23:59:30 | たわごと
医学部定員、760人増へ=ピーク時を280人上回る-文科省(時事通信) - goo ニュース
医師は不足していない。リスクのあるポストにつく医師が不足しているだけだ。逆に、リスクをそのままに医師の数を増やしても問題は解決しない。わざわざ人生を台なしにするために医師をめざす人間は少数だろう。定員を増やしても優秀な若者達が志望してくれなきゃな。医は仁術? 馬鹿を言っちゃいけない。医師も人間だ。
とりあえず医学部の新入生達が、医師免許をとるのに6年、大ざっぱに現場で戦力になるには10年と考えていいでしょう。今から手を打たないと団塊の世代が後期高齢者になる頃に対応できない。タイミング的にはギリギリじゃないかなー。でも、ホントは医師だけを増やしても医療は良くならないんですよ。看護士さんはもっとたくさん必要なわけですから。

帝王切開した医師の無罪確定へ 福島地検が控訴を断念(朝日新聞) - goo ニュース
このニュースが流れた時に街頭インタビューで子供を持つ若いお母さんが、「医療ミスは絶対に許せない」と言っていたが、彼女自身が産婦人科医師なら同じ答えをしただろうか。彼女の夫が医師だったらどうだろうか?最初から熟練した医師などいない。最初は誰でも初心者なのだ。自分が患者だったら?自分が医師だったら?人間は想像力を持つ動物だ。困難でも接点を見つけなければいけない。自分に都合の良い正論を大声で唱えても現実は変わらない。
個別の案件について詳しいことは知らないので、不用意なことをここに書かない方がいいと思う。どうすればいいかは法廷で明らかにされない。それは社会全体で答えを出すべきだろう。

医療訴訟をするなってんじゃないですよ。患者の権利は保護されてないといけませんし、これはこれで優秀な医師とそうでない医師との選別で必要と思ってます。負担と報酬との関係とか、お互いのリスク管理とか、情報の公開とかプライバシーの保護とか、社会で冷静に合意を得ないと、いつまでたってもマスコミが騒ぐネタにしかならない。それがいけないと思ってるんですよ。医学部の定員を増やしてなにか解決になってると思います?初心者大量生産の負担は誰かが負うことになります。

本日のお酒:KIRIN 一番搾り + 熊本米焼酎 球磨の急流
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする