遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

麹カビの話

2008-08-30 22:15:38 | 
コメント欄で黒麹に関して無知をさらしてしまいました。いや、お恥ずかすぃ。
ムコアとかリゾパスというのは一般に『黒カビ』と呼ばれるカビの名前でして、今の焼酎醸造で使われる黒麹とは違うものですね。中国ではお米を蒸して餅状にお団子にして空気にさらしておいて生えてきたカビを使います。風が運んでくるカビなので、普通のカビが生えます。
さて、日本の麹カビですが、Aspergillus属を使ってます。不完全菌類に属するカビでして、有性生殖が確認されておりません。主に分生子(無性胞子)で増えまして、黒麹とか黄麹とか白麹という色はこの胞子の色が反映されています。清酒の白麹と焼酎の白麹は別の種ではないかなと思うのですが、憶測で書くとまた恥をかきそうです。(笑)
お酒の風味は麹カビの役割がとても大きくて、麹カビの培養液なんか「酵素の宝庫」といっていいほどなんですよ。あの清酒の吟醸酒が持つフルーティな香りと味も麹が醸してくれたといっていい。

さて、本土で造られる焼酎と沖縄の泡盛の違いですが、麹の違いではありません。蒸留方法の違いでして、泡盛は醪をそのまま低温で蒸留します。そんなわけで、蒸留されているにもかかわらず焼酎よりもずっといろいろな成分が入り込んでいて、味や風味が全く焼酎とは異なるものになります。二日酔いにもなりやすい。そのかわりかめで何年も寝かして古酒(クース)にすると、えも言えぬ複雑で豊かな奥の深い味になるのです。

本日のお酒:萬歳楽 大吟醸古酒 白山
コメント (3)
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