そういえば、最近、中国へ行って両替をしても、“分”硬貨をもらわなくなりました。1分は1元の1/100。以前から、分の単位のアルミ硬貨は、もらってもほとんど使うことがなく、たまにまとめて角の単位の補充に使うくらいでしたが、今ではもっと肩身が狭くなって、受け取りすら拒否されるようになったようです。
この話、平易な文章で書かれています。是非中国語で読んでみてください。市場を歩いていて、店でのやり取りが聞こえてくるような、そんな親しみが感じられます。
■[1]
( ↓ クリックしてください。中国語原文が表示されます)
・尲尬 gan1ga4 ばつが悪い。気まずい。 このことばは比較的良く使われます。例えば:“偏偏跟昨晩吵架chao3jia4的人坐在一起,未免有些~”(あいにく昨夜口論した人と同席したので、ちょっと気まずい思いをした)というような使い方をします。ここでは、“分”貨幣の立場を、このことばを使ってうまく表現しています。
□ 気まずい“分”貨幣は次第に消え去ろうとしているのか?
人民網記者 曾高飛
2011年9月8日 人民網-「物の見方チャンネル」より
現在、市場で流通している“分”貨幣は、一分、二分、五分の三種類である。分貨幣は、嘗ては人々の経済的生活の中で重要な役割を演じてきた。しかし経済発展と物価の上昇に伴い、分貨幣の貨幣価値は急激に低下し、現在はたとえ一本の針の価格でも、“角”を用いてようやく釣り合うのである。
こうした情況は、分貨幣を気まずい位置に押しやった。実際の生活の中で、分貨幣は自ら進んで消え去ろうとしている。分貨幣が実際の生活の中で次第に消え去ろうとしている事実を調査するため、記者はそれぞれいくつかの場所に行ってその事実を証明した。
■[2]
□ 新聞スタンドは分硬貨の受け取りを拒んだ
記者は朝陽区紅廟路交差点の北側の新聞スタンドで一部8角(=0.8元。約10円)の《参考消息》を買い、店主に5角硬貨一枚、1角硬貨二枚、5分硬貨二枚を渡した。
スタンドの主人は20歳代の若い男で、彼は金を受け取り、それを見ると、スタンドを離れて行こうとした記者を呼び止め、「うちでは硬貨を受け取らないよ」と言って、彼は二枚の5分硬貨を記者に返した。
「小銭が無いんですよ」私は財布を開くと、それをひっくり返し、その男に見せた。「それじゃあ100元でおつりをもらえますか。」
「わかりました、今度新聞を買いに来た時に1角返してくれたらいいですよ。」
男は二枚の5分硬貨を私に返してよこした。彼はたとえ1角もらえなくても、その二枚の5分硬貨を受け取らなかった。
■[3]
・嗓門 sang3men2 声
□ 市場の店主:今でもまだ分硬貨を使っている人間がいるのかしら?
朝陽区定福庄西街市場。
記者は一把2元5角のほうれん草を買った。店の主人に2元3角の紙幣と2分硬貨十枚を渡した。
店の主人は40歳過ぎの中年の婦人であった。彼女の声はやさしく、また大きかった。
「他に小銭は無いの?換えてちょうだい。」
彼女は分硬貨を記者に返した。
「他に小銭が無いんです。分硬貨ではだめですか?」
私は更に財布を取り出して、ひっくり返して見せた。
「今誰がまだ分硬貨を使うというの。面倒くさい。その50元を出しなさい。おつりをあげますから。」
広渠門市場で、記者は食品売り場で15元3角のおかずを買って、記者は100元を出した。店主は、端数は要らない、とはっきり言い、15元しか受け取らなかった。この店の主人は30過ぎの若い夫婦で、笑って記者の言った:「普通の端数は、まけてあげられるものはまけてあげます。硬貨を受け取るのも面倒くさい。お客さんに硬貨のおつりをあげても喜んでもらえないから。」
多くの食品を売る人からみて、1角2角は、まけられるならできるだけお客にまけてあげれば、気持が通じて、また買いに来てもらえる。分硬貨のことは言うまでもない。市場ではほとんど「姿を消して」しまった。
■[4]
・熟視無睹 shu2shi4 wu2du3 よく見ていながら無視する。
・起 qi3 [量詞]ひと群れ。ひと組(の人)。
・鶏肋 ji1lei4 ニワトリの肋骨。大して役に立たないが、捨てるには惜しいものの喩えに使われる。
・派用場 pai4 yong4chang3 使い道を決める。(否定形で、使い道がない、の意味)
□ 十里堡華堂商場(イトーヨーカ堂):分のおつりを出しても、要らないという客がいる
多くの商店、とりわけやや高級な商品の価格には、分の単位は含まれていない。
サービス・娯楽業では、尚更料金に分の単位は見られない。
イトーヨーカ堂、カールフール、ウォルマート、天客隆といったスーパーやショッピングセンターには、少数の依然“分”硬貨の流通を認めている民間のチャンネルがある。けれども、これらの場所でも、分硬貨は気まずい境遇にある。朝陽区十里堡華堂のレジ係の王さんの紹介によれば、お客に分のおつりを出しても、何人かは面倒くさがり、受け取ろうとしないという。
記者はイトーヨーカドーの現場で30分立ち止まっていたが、観察したところ、7人の客がレジ係が出した分硬貨を見て見ぬふりをし、おつりの紙幣と額面の大きい硬貨だけ受け取り、財布に入れ、その場を離れた。けれども4組のお客は分硬貨を受け取り、傍に置かれた善意の募金箱の中に入れた。
記者は分硬貨を受け取ろうとしなかった蔡さんという名のお客をつかまえて、どうして分硬貨を受け取りたくないのか尋ねた。
蔡さんはこう言った:「分硬貨は今では「鶏の肋骨」のようになって、持っていても、使う所がほとんどありませんから。」
■[5]
・熙熙攘攘 xi1xi1 rang3rang3 [成語]人の往来が盛んでにぎやかなさま。
・躺 tang3 (人や動物が)横になる。寝そべる。(物が)倒れている。
・不認帳 bu4 ren4zhang4 [比喩]言ったことや、したことを認めない。
□ 大学構内: 分硬貨が落ちていても、誰も拾わない
記者は北京第二外国語学院に居た。大学構内は人の行き来が盛んで、たいへんにぎやかであった。
構内にスーパーマーケットがあり、レジ係はいつも学生に分のおつりを渡している。スーパーの周辺で、たまたま分硬貨が地面に落ちていたが、誰も拾おうとしなかった。記者はスーパーの横で1時間あまり立ち止まっていると、一人の若者がスーパーから出てきて、わざとか、無意識か分からないが、二枚の1分硬貨が、彼が財布の中に小銭を入れる時に、すべって、地面に落ちた。けれども若者は立ち止まらず、まっすぐ前に行ってしまい、振り返ろうとしなかった。
私は彼を呼んで言った:「そこの学生さん、お金を落としましたよ。」
若者はそれでも立ち止まらなかった。私は二枚の分硬貨を拾い上げると、彼を追いかけて行って、彼に行った:「お金を落としましたよ。」
若者は立ち止まり、私の手のひらに横たわっている二枚の分硬貨を見ると、顔にちょっとばつの悪い表情を浮かべた。けれども彼はそれでも私の手から二枚の分硬貨を受け取らず、頑なに認めようとしなかった。「私のじゃありません。」彼はそう言いながら、私をひと目見ると、背を向けて行ってしまった。
■[6]
・名存実亡 ming2cun2 shi2wang2 [成語]名ばかりで実質が無い。有名無実である。
・黙契 mo4qi4 暗黙の了解。以心伝心。
・資深 zi1shen1 “老資格”lao3 zi1ge2の意味で、古参の。先輩の。
□ 「名ばかりで実が無い」、次第に遠い存在になろうとしている“分”硬貨
“分”が消えようとしているのは、既に経済、或いは社会現象となっている。“分”の単位まで必要な取引でも、売方はおつりを渡さない、買方は受け取らない、というのが売買双方の暗黙の了解事になっている。
あるベテランの金融界の人物が記者に語ったところでは、“分”の使用価値が見つけられないことは、“分”が正に消えようとしている根拠であり、多くの民衆の生活の中で、実際、分硬貨は名ばかりとなり、分硬貨が経済に与えるマイナスの作用が、そのプラスの作用を越えようとしている。彼が言うには、「分硬貨の製造コストと社会での管理コストは、分硬貨自身の価値を既に上回っている」そうだ。
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