心配されていたことが起こってしまいました。温州での中国高速鉄道の追突事故。23日の深夜から、マスコミでは様々なニュースが流されてきましたが、25日、《人民日報》が総括的に次のような記事を載せました。
人民日報人民時評:高速時代尤須系好“安全带”
(高速時代はなおさら「安全ベルト」をしっかり締めなければならない )
張鉄
2011年07月25日 来源:人民網-《人民日報》
ここで言っているのは、現代社会が科学技術が発達し、利便性を追求すればするほど、一方では仕組みが複雑になり、快適・便利は生命の危険のリスクと隣り合わせになっている、というのです。
ここで“海恩法則”hai3en1 fa3ze2 を取り上げています。
“海恩法則”とは、「ハインリッヒの法則」Heinrich's lawのこと。労働災害における経験則で、1つの重大事故の背後には、多くの軽微な事故や異常が存在することを言います。「ヒヤリ・ハット」などと言います。
■[1]
( ↓ クリックしてください。中国語原文を表示します)
□ 「ハインリッヒの法則」によれば、一回の重大事故の背後には、数十回、場合によっては百回以上の軽微な事故や未遂事故が起こっている。運行系統は別でも、高速鉄道に出現した多くの「ちょっとした問題」は、鉄道に存在する様々な問題を既に暴露していた。もしそれを十分重視していたら、或いは事故の発生は避けられたかもしれない。事故後、国務院副総理の張徳江は現場に到着するや最初に「必ず事故原因を調査して明確にし、社会に説明しなければならない」と強調し、政府中央の断固たる態度を表明した。事故の中から教訓を汲み取り、原因を究明し、厳格に責任追及し、欠点を繕い、補償をきっちりしてはじめて、事故の死傷者に責任をとり、公共安全の責任を負ったことになるのだ。
鳴り物入りで開通した京滬高鉄の初期の列車故障のことなどを言っているのでしょうが、早期開業、定時運行に拘り、トラブルの原因究明、安全優先の思想が欠けていたのかもしれません。
高速鉄道というのは、其れ全体が大きなシステムであり、車輛や信号施設など、ハードを細切れで買い揃えても、様々な環境や状況に対応した安全・快適なシステムは完成しません。約5年という短期間で、世界に冠たる高速鉄道網を作り上げた中国にとって、この安全への配慮が、実は大きな盲点であったということになります。ここは是非中国も一度足元を見つめ直し、安全装置だけでなく、運行形態も含め、総合的な対処をしてほしいものです。
ところで、落雷のため緊急停止していた、杭州からのD3115列車に、後ろから追突した北京発のD301列車の運転手が、列車を止めるため、最後の瞬間まで最善を尽くし、犠牲になったことが取り上げられています。
D301次列車司机潘一恒危険時刻緊急制動英勇犠牲
2011年07月24日 来源:人民網
D301列車の運転手、潘一恒は1973年生まれといいますから38歳、1993年に広州鉄路機械学校卒業後、“福州机務段”というと、「福州機関区」とでも訳すのでしょうか、に配属され、機関車に乗務、2008年5月、温州~福州線に電車列車の営業が始まる際に電車運転手の試験を受け、2009年6月に運転手の資格を取得していました。
■[2]
□ 武装警察が既に著しく変形した運転室から潘一恒を救出した時、彼は既に犠牲となり、胸にはブレーキレバーが突き抜けていた。最も危険な時に、彼は自分が逃げることなど全く考えず、断固として緊急の列車停止措置を取り、後方の旅客の多くが生き残る機会を与えられた。
にほんブログ村
人気ブログランキングへ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます