中国語学習者のブログ

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動賓述語に於ける動詞、賓語の特徴

2010年10月12日 | 中国語
 前回、主述文の述語について、名詞性述語、動詞性述語、形容詞性述語があることを述べました。その際、主に叙述を機能とする動詞性述語を取り上げましたが、実は動詞性述語には様々な類型があります。今回は、動詞性述語の中で、最もよく見かける動賓述語について、取り上げたいと思います。

                            文と文の分析(下)

 述語の中では、動詞性述語が最も複雑であり、一般的な動詞性述語(状語を伴うものと状語を伴わないものがある)の他、動賓述語、動補述語、連動述語、兼語述語等がある。

                         一 動賓述語(“動賓謂語”)

 動賓述語は一つの複雑な類型であり、その複雑性は先ず動詞の特徴と、それに伴う賓語の特徴の上にある。

 中国語の動詞には賓語を必ず伴うものがあり、例えば、“成為”、“懶得”、“属于”がそうだが、この種類の動詞は数が少ない。一方、賓語を伴うことのできない動詞があり、例えば、“休息”、“播音”、“失敗”、“点名”、“退却”、“防疫”などがそうだが、この種類の動詞は数が多い。またもう一種類の動詞があり、これは数が最も多く、これらは一般に賓語を伴うことを要求するが、実際の文の中では必ずしも賓語を伴わないこともある。例えば、“学習”は、“我們学習政治”のように用いるが、また“今天下午我們学習”のように用いることもできる。

  賓語を伴うことのできる動詞には、二重に賓語を伴うものがある。よく見かけるのは:
          給  送  賠  輸  教  交  還  告訴
          拿  賺  贏  問  借  欠

 “他送了我一本書”の中の“我”と“一本書”は何れも“送”の賓語である。“我教了他一個好方法”の中で“他”と“一個好方法”は何れも“教”の賓語である。このような賓語は、前の一つはたいてい人を指し、後ろの一つは物を指す。前の賓語は、位置は動詞に近いが、後ろの賓語がむしろ基本的な賓語である。[注]

[注]“送我一本書”を階層分析すると、「(送+我)+一本書」と分析できる。

 賓語を伴うことのできる動詞の中で、多くは名詞性の賓語を伴うことを要求し、非名詞性の賓語(すなわち動詞性或いは形容詞性の賓語)を伴うことはできない。この種類の動詞はたいへん多く、例を挙げるまでもない。いくつかの動詞は非名詞性の賓語を伴うことを要求する。例えば:
          主張  禁止  感到  厳加  予于  加以  覚得  渇望

 少数の動詞は上記の二つの動詞の特徴を兼ねている。つまり、それらは名詞性の賓語を伴うことができるし、また非名詞性の賓語を伴うこともできる。例えば:
          愛  怕  喜歓  研究  討論  開始  停止  有

  “愛、怕、喜歓”といった心理活動を表す動詞は、どちらの種類の賓語を伴うかの制約を受けない。“愛科学、不怕鬼”と言うことができるだけでなく、“愛遊泳、不怕苦”と言うこともできる。

 “研究、討論”のような動詞も、上記の動詞と似たところがあるが、これらは非名詞性の賓語を伴う時、通常、疑問代詞をいっしょに伴う。例えば、“研究干、討論吃”とは言えないが、“研究怎麼干、討論吃什麼”と言うことができる。

  “開始、停止”のような動詞は、一般的な動詞性賓語を伴うこともできる(例:開始做、停止写)が、これらが通常伴う賓語は“兼類詞”、つまり名詞と動詞を兼ねている。例えば、“工作、比賽、分析”などである。これらは名詞と動詞を兼ねているので、時にはこれらの前に定語を加え、“開始深入的討論”、“停止一天的工作”としたり、或いは前に状語を加え、“開始認真地分析”、“停止広泛地討論”としたりする。つまり、これらは名詞と見做される時と動詞と見做される時がある訳だが、比較すると名詞と見做される場合の方が多い。

  “有”という動詞も、二種類の賓語を伴うことができるが、形容詞を賓語として伴う時は、賓語の前に、しばしば程度を表す状語が置かれる。例えば、“有点儿冷”、“有他那麼高”のように使われる。有はまた、しばしば“兼類詞”を賓語とし、例えば、“有希望”、“有影響”、“有危険”、“有困難”というように使われる。

 動賓述語の複雑性は、動詞と賓語の関係の上にも現れる。動詞が具体的な動作を表す場合、賓語は具体的な事物を表し、両者の間の関係は比較的容易に掌握でき、誤解を招くことは少ない。例えば、“打鼓”、“弾琴”、“吹簫”と言う時、ここでの動詞と賓詞の組合せは具体的な事実に基づいてなされており、また勝手に組合せを作ることはできず、“弾鼓”、“打簫”などと言うことはできない。

 しかし、動詞は必ずしも目で見える動作、行為を表すとは限らないし、賓語も必ずしも動作、行為が支配する具体的な事物を表すとは限らない。例えば、“打”は“打鼓”、“打球”と言えるだけでなく、“打魚”、“打糧食”、“打交通”、“打折扣”、“打主意”、“打遊撃”、“打電話”、“打草稿”、“打比方”などと言うことができる。したがって、動賓関係をただ単に動作と対象の関係と理解することはできない。意味の上から見ると、賓語は動作の対象を表す以外に、動作の結果(例:写文章)、動作の場所(例:写黒板)、動作の道具(例:写毛筆)、動作の方式(例:写草字)、動作の原因(例:心疼什麼。担心出事)、動作の主体(例:来了客)などを表すことができる。

 動賓関係は複雑であるが、いくつかの類型にまとめることができる。

 現代中国語では、賓語は主に三種類ある。一つ目は“受事賓語”である。“受事”とは、受動者、受事で、動作の対象、動作の支配を受ける人や事物を指す。例えば:
     (1)我們必須克服困難,我們必須学会自己不憧的東西
     (2)他写了一篇論文
     (3)你写鋼筆,我写毛筆
     (4)他母親来上海,他已経去北京,両人没見着。

 この種類の賓語と動詞の関係は、総じて言うと、支配と被支配の関係である。

 二つ目は“施事賓語”である。“施事”とは、動作の主体や動作主で、動作を行ったり、変化を生じたりする人や事物を指す。賓語が表す人や物はしばしば不確定であり、したがって“一個”、“几位”のような“不定指”、つまり対象を特定しない定語を伴うことがよくある。賓語の前の動詞は、“坐”、“站”、“来”、“走”のように、一般に助詞や、動作の方向を表す動詞を伴うことを要求する。このような文を、「存現文」(“存現句”)と呼んで区別する文法書もある。例えば:
     (5)屋里坐着十多個人。
     (6)橋脚上站着一個人,却是我的母親。
     (7)外面走進来一個四十来歳的漢子。
     (8)在斜対面豆腐店里確乎終日坐着一個楊二嫂。

 例(8)の“楊二嫂”は固有名詞であるが、敢えて前に“一個”を加えることで、これを形式上“無定的”、つまり一般名詞のように転化させて使っている。施事賓語は、動詞の前に置くことはできない。

 三つ目は“関係賓語”である。この場合は、賓語は“受事”でも“施事”でもなく、主語の説明である。例えば:
     (9)他們確実是最可愛的人
     (10)年軽人的心好像春天的泥土,撒什麼種,発什麼芽。
     (11)我曽在這里的学校里当過一年教員
     (12)二孔明也叫二諸葛,原来叫劉修徳

 この種類の賓語の前の動詞は、例文で挙げたもの以外に、“有”、“在”、“変成”、“変為”、“成為”、“做”、“算”、“算作”、“当作”、“姓”などがある。これらの動詞は皆、非動作動詞であり、主語に対して説明する機能があるが、叙述する機能は無い

 賓語を伴うことができない動詞や、“施事賓語”を伴う動詞は、通常、自動詞(“不及物動詞”)と呼ばれる。一方、“受事賓語”や“関係賓語”を伴うことができる動詞は、通常、他動詞(“及物動詞”)と呼ばれる。もちろん、個々の具体的な動詞について見ると、自動詞と他動詞の両方を兼ねるものもある。例えば、“笑”は、“哈哈大笑”と言う時は自動詞であるが、“他笑我”と言う時は他動詞である。

【出典】胡裕樹主編《現代漢語》重訂版・上海教育出版社1995年


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