馬烽という作家が1980年に発表した《結婚現場会》という小説がある。
改革開放政策が動き出した時代の、山間の農村が舞台。当時農村では、結婚しようと思うと、男の家は嫁を出す家に、数年分の年収に相当する結納金を出す必要があり、そのため結婚が許されず自殺したり、いつまでも嫁をもらえない、というような問題が発生していた。こうした悪癖を正すため、結納金のやりとり無しで結婚することになった3組の男女を模範として集団結婚式を開催し、新しい結婚の形をPRすることになった。
ところが、結婚式の前日になり、そのうちの1組、王二蘭の父親の王栓牛が突然、相手の鄭雲山に対し、結納金500元を持って来ないと、結婚を許さないと言いだした。そこで、結婚式兼農民啓蒙の集会の準備で来ていた共産党支部の幹部のひとりが王栓牛の説得に行くが、王栓牛は口もきかず、そのうち怒りだして、家を出て山の方に行ってしまった。戻ってきた幹部がそのことを報告すると、それを聞いていたひとりが次のように言った。
“走了和尚走不了寺,今晚上回来再和他算帳!”
走了和尚走不了寺
Zou3lehe2shang zou3buliaosi4
【意味】人は逃げることができても、家や建物は持って逃げることができない
【訳】「あの男、山へ行ってしまったが、どのみち夕方には戻ってこざるを得ない。今晩、戻ってきたら、決着をつけましょう!」
これは、俗語のようですが、これよりも、
走了和尚走不了廟 zou3lehe2shang zou3buliaomiao4
跑了和尚跑不了廟 pao3lehe2shang pao3buliaomiao4
の方が一般的なようです。
このことばは、歇后語(かけことば)にもなっており、
走了和尚走不了廟 ―― 尽管放心(心から安心する)
という使い方をします。
この小説にはもうひとつ、俗語表現が出てきます。
半路上殺出個程咬金
Ban4lu4shang sha1chu1ge cheng2yao3jin1
【意味】予想外の事情により、物事がうまくいかなくなること
【解説】程咬金は隋末唐初の農民蜂起の指導者の一人。後に唐に帰順。原名は程金。《隋唐演義》では程咬金と書かれ、そそっかしいが誠実な人物であったようです。斧の使い手で、いつも途中に隠れていて、突然飛び出してきて相手を攻めたが、あまり強くなく、弱い相手にはよいが、強い相手には、さっさと逃げてしまったことから、途中で予想外の人物が現れ、ものごとをぶち壊してしまう、という意味のことばが生まれました。
王栓牛が結納金500元を持ってこないと結婚を許さないと言いだしたと、娘の王二蘭が党の幹部に言いに来た時、まわりで聞いていた人々の反応で、
“這時,院里那些筹辧喜事的年軽人都擁了進来,一聴説半路上殺出個程咬金来,也都傻眼了”
【訳】この時、敷地内で結婚式の準備をしていた若者たちがまわりを取り囲み、思いがけない事態になったことを聞くや、皆びっくりしてものが言えなくなった
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