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マーケティング研究 他社事例 493 「アメリカ大統領選の隠れた争点 2」 ~GAFA分割!?~

2020-02-08 08:37:32 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 493 「アメリカ大統領選の隠れた争点 2」 ~GAFA分割!?~


ウォーレン氏は、年間世界売上高が250億ドル(約2兆7000億円)を超えるオンライン市場の運営者を「プラットフォーム公共事業体」と定義し、所有者がそのプラットフォーム上で事業を行う事を禁止することを提案しています。

このことは、最低でも、アマゾンは自身のブランド、特に「Amazonベーシック」を分離しなければならなくなりますし、アップルはメールや地図などのアプリを手放す必要があるかもしれません。

分割後の状況を確実に見極めるのは難しいですが、巨大IT企業が抱える各事業の売上高を分析すれば、それぞれの評価額がある程度見えて来ます。

各事業・資産ごとの価値を算出するサム・オブ・ザ・パーツ(SOTP)分析を行う株式アナリストは同種企業と比較することで各事業の価値を推定しようとしています。

彼らは株価に期待しすぎるため、分割された企業価値を時に夢のように高く見積もることがありますが、インスタグラムなど、良く似た同業者が存在する事業部門についてはSOTP分析で十分に合理的な値が出せる事でしょう。

ブルームバーグの分析部門ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)は昨年6月にインスタグラムは単独で1000億ドル(約11兆円)の時価総額を得るだろうと試算したのでした。

投資銀行ジェフリーズは、アマゾンのオンライン小売り事業の価値を約2000億ドル(約22兆円)とし、アマゾンの実店舗は最大で60億ドル(約6500億円)と評価しました。

比較すべき適切な同種の企業がなく、財務情報も得られない場合、見積もり作業は計算というよりも職人芸になると、世界最大の広告バイヤーであるグループエムは言います。

グーグルの広告事業全体の価値算出がとりわけ難しいのは、そのためです。(ジェフリーズの見積もりは、約58兆5900億円)

ウォーレン氏はグーグルの広告市場とその市場でのサービスとを分離する事が望ましいと考えています。

しかし、それぞれの事業価値の評価は、せいぜい当て推量しか出来ません。

グーグルは数字を公開していないからです。

これらは問題の一端にすぎませんが、フェイスブックはワッツアップの買収に驚くほどの金額を注ぎ込みました。

しかし、この事業はそれほど利益をあげていないため、価値評価が難しいです。

グーグルやアップルのアプリの価値を算出するのは絶望的な作業です。

ウォーレン氏の分割案に曖昧な点があることも、分離後の価値の推定を難しくしていると言えます。

フェイスブックがワッツアップを切り離すとしたら、同社の別の対話アプリ「メッセンジャー」も切り離すべきではないのか?

アップルの「iMessage」はどうでしょうか?

両方とも、公共プラットフォーム上で提供される独立したサービスとみなすことが出来ます。

同様に、アップルとグーグルのアプリストアや、アマゾンとグーグルのクラウドコンピューティング部門がどうなるかかも不明です。

その点では、アマゾンの競合となるマイクロソフトのクラウド部門も同じであると言えます。

例えば、「アマゾン・ウエブ・サービス」(AWS)が分離独立したら、時価総額で世界第2位の企業向けITサービス会社が誕生すると考えられます。

モルガンスタンレーによれば、この新会社の時価総額は4380億ドル(約47兆6000億円)に達するとしています。

じつにIBMの約4倍の時価総額となります。

大半のアナリストは、分割後の企業群の価値の総計は現状の時価総額を上回ると予想します。

しかし、そうならない可能性はないでしょうか?

分割で価値が返って下落することも考えられます。

(続く)



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