マーケティング研究 他社事例 680 「オープンイノベーションがつまづく理由1」 ~正しい知的協働とは?~
オープンイノベーションを提唱したのは、ヘンリー・チェスブロウ教授です。
2003年に発表し、一世を風靡しましたが、それから17年が立ち、望ましいイノベーションの在り方とはどのようなものなのでしょうか?
「シリコンバレーでは常に新技術が現れ、テクノロジーの世界はどんどん進化している。しかし、新技術の恩恵を受けるはずの企業や国の生産性の成長は全く芳しくない。主要7カ国(G7)のデータを見ても、どこも似たようなもので、すべての国で生産性の向上は惟悩み、成長率は1950年~60年代から衰退の一途にある。高速通信技術の進歩は加速し、G7すべてにほぼ同時に行き渡っているにもかかわらずだ。日本も例外ではない。60年代の日本の生産性の伸びは驚異的だったが、今はアメリカ、イギリス、フランスとほぼ変わらない」
チェスブロウ教授が語っているシリコンバレーを挙げるまでもなく、一部の先進都市ではスタートアップによるイノベーションが次々と起こり、効率も劇的に高まっているように見えます。
しかし、それはあくまで局地的現象というわけで、世界的には大きな変化を与えていないという事が言えます。
「この現象について経済学者は『成長が正確に測れていないだけ』『よりよい物差しができれば、技術の進化の恩恵も測れる』と言う。だが計測の上手いか下手かの問題ではないと思う。詳細に見ると、全企業の生産性が伸びていない訳ではなく、ナンバー1企業は新技術を活用して更なる躍進を果たしている。それ以外との差が顕著なのだ。ナンバー1企業が指数関数的に成長する一方、それ以外はどんどん後れを取っている。」
「良い例がAI。AIをうまく使って結果を出している企業はまだほんの一部だ。その他大勢はの企業は、アルゴリズムを鍛えるためのデータすら持ち合わせていない」
GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)のようなプラットフォームビジネスの「勝者総取り」は良く知られていますが、同じ現象は他分野にもあります。
例えば、BMWやロレアル、ネスレ、などの2000年代の生産性の高さは際立っているそうです。
トップ2%が成長して、企業全体の総生産性成長率は停滞したというのが事実で、下位企業との差は埋めがたいものがあります。
専門家によれば格差は今後も拡大すると強調しています。
「先進国では第2次大戦後、1950年代の初頭から70年代にかけて、生産性が飛躍的に成長した。例えばアメリカでは、通称G.I法案(復員兵援護法)の導入を通じ、帰還兵士や退役軍人を教育したことが労働省のスキルを劇的に高めた。また50年代、国策的に高速道路システムを構築したことで、輸送と運送、旅行などのビジネスが可能になった。60年代にはアポロ月面計画が始動し、国防高等研究計画局(DHRPA)が出来た。40年代から60年代はインフラ投資が盛んで、イノベーションの基盤をつくる多くの取り組みがあった。」
「シリコンバレー企業の初期の顧客は政府関係で、ほとんど米軍だ。だが80年代にインフラ投資がなくなり、40年の間に政府が研究費にかける支出割合は大幅に減った。日本は、第2次世界大戦でインフラが破壊されたが、50年代から70年代にかけて国家主導の再建が進み、経済は目覚ましく強くなった。だが、日本もその後、イノベーションを継続するためのインフラ投資を怠った。我々は終戦後に整備されたインフラを、ずっと使い続けているのだ」
産業全体を後押しする国家のインフラ投資が滅びれば、成長は各企業に委ねられる。良い企業は伸びるが、ダメな企業は誰も助けない。これが「指数関数のパラドックス」の原因というわけである。
※パラドッグス = 正しそうに見える 前提 と、妥当に見える 推論 から、受け入れがたい 結論 が得られる事を指す言葉である。 逆説 、 背理 、 逆理の事(ウィキペディアより)
「フィンランドでは、国民は誰もが高速インターネットに接続する権利がある。北方に人口が極めて少ない地域があるが、彼らにも同じ権利がある。これはほんの一例で、フィンランドでは、国のどこに住んでいようと新技術の恩恵を受けられる環境づくりが進んでいる。」
「日本はどうだろうか?例えば農地では高齢者が農業に携わっているが、子供たちが跡を継ぎたがらなかった理由の一つは、農業地域では都市に比べ、次々生まれる新技術を享受するためのインフラが行き渡っていないこともあるだろう。これでは、シリコンバレーでいかに画期的技術が生まれ続けようと、それを活用するのは都市部の有力ベンチャーだけに限られてしまう」
チェスブロウ教授が伝える、国家的インフラ投資の欠如に加え、オープンイノベーションを多くの企業が誤解していることもイノベーション停滞の理由と考えています。
「企業の多くが、オープンイノベーションを、イノベーションのためより社内インフラへの投資を減らすため使って来たように見える。こうした発想ではオープンイノベーションを進めると、やがて自社の開発能力を失っていく」
つまり、社内インフラ投資を拡大しなければ、イノベーションを起こせないという事であり、さらに結果として、人材の流出や機会の喪失を繰り返し、自社の開発能力を失っていく事につながるという事です。
(続く)
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
彩りプロジェクトでは、ビジネススキルに特化した、オンラインセミナーを定額制でご案内しております。
毎月定額(基本価格30,000円(税抜)※企業規模で価格は変動します)をお支払いいただく事で、何人でも何回でもご参加いただけるビジネスセミナーを開催しております。(別途カレンダー参照)
内容は、多岐に渡るものの、求められている役割毎に設定した内容となっています。
基本的なコースは、R29コースで、PDCA、コミュニケーション、情報収集、イノベーション、ファシリテート、コーチング、意思を伝える、フォロワーシップ、チームワーク、マネジメント、報告・連絡・相談、ビジネスマナーの12種類(2020年11月現在)となっております。
R35コースで、PDCA、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、ファシリテート、チームビルディング、イノベーションの9種類でR29コースよりも上級編の内容となっております。
最後に、R43コースが最上位クラスで設定されており、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、イノベーションの6種類となっております。
R29コースの特徴は、まずは個人にフォーカスしています。今更聞けないといった内容を中心に構成されており、現在の課題克服の為、またはこれから身に付けなくてはならないスキルとなっています。
R35コースの特徴は、視座を高くした構成で専門的な役職要件に応じた内容で構成されております。そして指導する立場になったあなたが身に着けるべきスキル集になっています。
R43コースの特徴は、それこそ会社全体を見回せるスキルの構成となっており、幹部候補にとっても必須の内容になっております。
受講にあたっては各自の選択制(年齢が20代だから、R43は受講できないといった事ではありません)となっており、先んじて学びを深めたい、今更聞けない事だから、といった様々な動機にお答えする内容となっております。
ちなみに、R〇〇のとなりは年齢をイメージしておりますが、例えば、R43は43歳以上の人は受けられないという事はありませんし、大卒1年目の方でもR43を受講する事は可能です。
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メール info@irodori-pro.jp
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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
オープンイノベーションを提唱したのは、ヘンリー・チェスブロウ教授です。
2003年に発表し、一世を風靡しましたが、それから17年が立ち、望ましいイノベーションの在り方とはどのようなものなのでしょうか?
「シリコンバレーでは常に新技術が現れ、テクノロジーの世界はどんどん進化している。しかし、新技術の恩恵を受けるはずの企業や国の生産性の成長は全く芳しくない。主要7カ国(G7)のデータを見ても、どこも似たようなもので、すべての国で生産性の向上は惟悩み、成長率は1950年~60年代から衰退の一途にある。高速通信技術の進歩は加速し、G7すべてにほぼ同時に行き渡っているにもかかわらずだ。日本も例外ではない。60年代の日本の生産性の伸びは驚異的だったが、今はアメリカ、イギリス、フランスとほぼ変わらない」
チェスブロウ教授が語っているシリコンバレーを挙げるまでもなく、一部の先進都市ではスタートアップによるイノベーションが次々と起こり、効率も劇的に高まっているように見えます。
しかし、それはあくまで局地的現象というわけで、世界的には大きな変化を与えていないという事が言えます。
「この現象について経済学者は『成長が正確に測れていないだけ』『よりよい物差しができれば、技術の進化の恩恵も測れる』と言う。だが計測の上手いか下手かの問題ではないと思う。詳細に見ると、全企業の生産性が伸びていない訳ではなく、ナンバー1企業は新技術を活用して更なる躍進を果たしている。それ以外との差が顕著なのだ。ナンバー1企業が指数関数的に成長する一方、それ以外はどんどん後れを取っている。」
「良い例がAI。AIをうまく使って結果を出している企業はまだほんの一部だ。その他大勢はの企業は、アルゴリズムを鍛えるためのデータすら持ち合わせていない」
GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)のようなプラットフォームビジネスの「勝者総取り」は良く知られていますが、同じ現象は他分野にもあります。
例えば、BMWやロレアル、ネスレ、などの2000年代の生産性の高さは際立っているそうです。
トップ2%が成長して、企業全体の総生産性成長率は停滞したというのが事実で、下位企業との差は埋めがたいものがあります。
専門家によれば格差は今後も拡大すると強調しています。
「先進国では第2次大戦後、1950年代の初頭から70年代にかけて、生産性が飛躍的に成長した。例えばアメリカでは、通称G.I法案(復員兵援護法)の導入を通じ、帰還兵士や退役軍人を教育したことが労働省のスキルを劇的に高めた。また50年代、国策的に高速道路システムを構築したことで、輸送と運送、旅行などのビジネスが可能になった。60年代にはアポロ月面計画が始動し、国防高等研究計画局(DHRPA)が出来た。40年代から60年代はインフラ投資が盛んで、イノベーションの基盤をつくる多くの取り組みがあった。」
「シリコンバレー企業の初期の顧客は政府関係で、ほとんど米軍だ。だが80年代にインフラ投資がなくなり、40年の間に政府が研究費にかける支出割合は大幅に減った。日本は、第2次世界大戦でインフラが破壊されたが、50年代から70年代にかけて国家主導の再建が進み、経済は目覚ましく強くなった。だが、日本もその後、イノベーションを継続するためのインフラ投資を怠った。我々は終戦後に整備されたインフラを、ずっと使い続けているのだ」
産業全体を後押しする国家のインフラ投資が滅びれば、成長は各企業に委ねられる。良い企業は伸びるが、ダメな企業は誰も助けない。これが「指数関数のパラドックス」の原因というわけである。
※パラドッグス = 正しそうに見える 前提 と、妥当に見える 推論 から、受け入れがたい 結論 が得られる事を指す言葉である。 逆説 、 背理 、 逆理の事(ウィキペディアより)
「フィンランドでは、国民は誰もが高速インターネットに接続する権利がある。北方に人口が極めて少ない地域があるが、彼らにも同じ権利がある。これはほんの一例で、フィンランドでは、国のどこに住んでいようと新技術の恩恵を受けられる環境づくりが進んでいる。」
「日本はどうだろうか?例えば農地では高齢者が農業に携わっているが、子供たちが跡を継ぎたがらなかった理由の一つは、農業地域では都市に比べ、次々生まれる新技術を享受するためのインフラが行き渡っていないこともあるだろう。これでは、シリコンバレーでいかに画期的技術が生まれ続けようと、それを活用するのは都市部の有力ベンチャーだけに限られてしまう」
チェスブロウ教授が伝える、国家的インフラ投資の欠如に加え、オープンイノベーションを多くの企業が誤解していることもイノベーション停滞の理由と考えています。
「企業の多くが、オープンイノベーションを、イノベーションのためより社内インフラへの投資を減らすため使って来たように見える。こうした発想ではオープンイノベーションを進めると、やがて自社の開発能力を失っていく」
つまり、社内インフラ投資を拡大しなければ、イノベーションを起こせないという事であり、さらに結果として、人材の流出や機会の喪失を繰り返し、自社の開発能力を失っていく事につながるという事です。
(続く)
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
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彩りプロジェクトでは、ビジネススキルに特化した、オンラインセミナーを定額制でご案内しております。
毎月定額(基本価格30,000円(税抜)※企業規模で価格は変動します)をお支払いいただく事で、何人でも何回でもご参加いただけるビジネスセミナーを開催しております。(別途カレンダー参照)
内容は、多岐に渡るものの、求められている役割毎に設定した内容となっています。
基本的なコースは、R29コースで、PDCA、コミュニケーション、情報収集、イノベーション、ファシリテート、コーチング、意思を伝える、フォロワーシップ、チームワーク、マネジメント、報告・連絡・相談、ビジネスマナーの12種類(2020年11月現在)となっております。
R35コースで、PDCA、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、ファシリテート、チームビルディング、イノベーションの9種類でR29コースよりも上級編の内容となっております。
最後に、R43コースが最上位クラスで設定されており、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、イノベーションの6種類となっております。
R29コースの特徴は、まずは個人にフォーカスしています。今更聞けないといった内容を中心に構成されており、現在の課題克服の為、またはこれから身に付けなくてはならないスキルとなっています。
R35コースの特徴は、視座を高くした構成で専門的な役職要件に応じた内容で構成されております。そして指導する立場になったあなたが身に着けるべきスキル集になっています。
R43コースの特徴は、それこそ会社全体を見回せるスキルの構成となっており、幹部候補にとっても必須の内容になっております。
受講にあたっては各自の選択制(年齢が20代だから、R43は受講できないといった事ではありません)となっており、先んじて学びを深めたい、今更聞けない事だから、といった様々な動機にお答えする内容となっております。
ちなみに、R〇〇のとなりは年齢をイメージしておりますが、例えば、R43は43歳以上の人は受けられないという事はありませんし、大卒1年目の方でもR43を受講する事は可能です。
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