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マーケティング研究 他社事例 681 「オープンイノベーションがつまづく理由2」 ~日本に帰ると死ぬアイデア!?~

2020-11-17 08:44:57 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 681 「オープンイノベーションがつまづく理由2」 ~日本に帰ると死ぬアイデア!?~


イノベーションの恩恵が国・業界全体に行き渡らない『指数関数のパラドックス』が引き起こされているという事は理解出来ましたが、実際に会社内で起こるイノベーションが失敗する理由を見て行きたいと思います。

「大企業は既に稼ぐ頭の既存事業を抱えている。その状況で新規の収益事業を育てるのは容易ではない。特に難しいのが、育成の目途が付いた新規事業の種を本格的にビジネス移行させる段階だ。新規事業の種を探すイノベーション部門は、最新のトレンドを調べ、新たな事業機会を探す試行錯誤を繰り返している。それを収益にするには、ある時点でその種を事業部門に引き渡す必要がある。しかし、この両者の意識があまりにも違い過ぎるのだ。ここが、イノベーションの『死の谷』になり得る。」

死の谷と聞くと、驚いてしまうかもしれませんが、この谷を乗り越えられないとプロジェクトが日の目を見ずに終わる為「死の谷」と呼ばれる事から、そのように読んでいます。

「イノベーショングループが有望だと思っても、事業部門の人々がそう思わない事例はいくつもある。ここでは、10年ほど前の日本の例を紹介しよう。」(チェスブロウ教授)

「経済産業省の関連で携わったプロジェクトだった。シリコンバレーで日本企業15社程がラボを立ち上げて進めたもので、各社は何年も資金を投じ、約5年ごとの人事異動によって現地の最新の知見を日本に持ち帰らせた。当時の参加企業の悩みは、シリコンバレーのラボで立ち上がったアイデアが日本に帰ると『死んで』しまうことだった。」

「日本の本社は価値を認めず、持ち帰った種を育てようとしなかった。やみくもにそう判断したわけではなく、本社サイドからすれば合理的な理由は沢山あった。イノベーションの最前線と、既存事業部門の足並みがそろわない典型的な例だ。これは「両利きの経営」の概念で解決しようとしている問題だ。(本ブログでも、620 「両利きの経営1」~623「両利きの経営4」で解説)」

詳しくは、本ブログを読み返してもらいたいが、両利きの経営とはつまり、既存事業で稼ぎながら、新規事業も同じくらい重視して育てるやり方です。

富士通にも、事例があります。

「大企業には強力な国内の主力事業があり、通常は事業計画を1~2年のスパンで考える。だが例えばAIのようなものは、10年単位の長期的視点が必要だ。富士通には、AIに注目する人材は以前からいた。だが、残念ながら基幹事業ではなく、会社の『辺境』で大学やベンチャー、外資らと連携する研究部門だ。以前、社内プロセスのAI化に注目し概念実証(PoC)を出したが、基幹事業部門は『それは難しい』という反応だったという。」

「AIは、コンピューターの性能向上などでアルゴリズム開発が可能になり再び注目されているが、グーグルですら、コア技術はディープマインド(イギリス)の買収で獲得した。数百人にのぼる社内科学者やエンジニアが生み出したわけではない。つまり、新たな提案へのこうした反応は大企業ならどこでも起こり得る。積み重ねでイノベーションを起こそうとする傾向が強く、一気に『破壊』しようとする動きは歓迎されない。だからこそオープンイノベーションで、社外の組織とウインウインの関係で、必要な情報を互いに提供し、協働しそれぞれが頑張る必要がある」

社内組織との協力に既存事業部門が消極的でも、社外であれば互いに助け合えるかもしれないという事は理解できます。

とはいえ、オープンイノベーションにはある種『普遍的』な難所があるのです。

「P&Gのケースを伝えよう。P&Gのオープンイノベーションプログラムの幹部が、8年ほど前に私の講座に来た。当時彼が言うには、P&Gでは1000以上の外部パートナーと協働し、約600のパートナーとは複数回の協働をした。これはP&Gのオープンイノベーションが極めて互恵的であることを示す数字だという。パートナー側は協働がうまくいくか一度は試すかもしれないが、メリットがなければ2回目はない。逆に言えば、オープンイノベーションでつまずく企業の多くは、パートナーと互恵的な関係を築けていないということだ。」

実際に、日本の大企業は、外部のパートナーを一方的に利用することが多いとの指摘も数多く聞かれます。

これに対し、チェスブロウ教授は警鐘を鳴らしています。

「一刻も早く変わるべきだ。大企業の視点から見れば、自分達より規模の小さいパートナーは俊敏で、組めばやりたい実験が素早く出来る。社内の人材を現在のポジションから異動させて新しい事をさせるのに比べ、お金もあまりかからない。むろん既存事業部門からの横やりも入らない。だが、大企業と協働するパートナーからすると懸念がある。大企業が自分たちからアイデアだけを盗もうとしているのではないかという懸念だ。」

「よくあるパターンはこうだ。協働すると、大企業側は『素晴らしい。早速同僚と話します』という。会議に次ぐ会議。1~2人重要な人と、次の会議。さらに次の会議で幹部の決裁が必要と気付く。計画は進まない。そして、スタートアップはこう考える。『全ての情報を提供したが進歩がない。彼らはアイデア泥棒ではないか?』と。こんな疑念を抱かせないためには信頼関係構築が大切だ。そして意思決定のスピードを速めなければならない。スタートアップは、新しい事業機会、新市場で可能性を探索している。そのスピードに合わせなければならないが、それができる大企業は少ない」

パーパスなども違うので、そんな企業同士が連携する事は非常に困難な事があると思います。

自社パーパスが同じような企業同士であれば可能性も高まるのかもしれませんね。

(続く)


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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 
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