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マーケティング研究 他社事例 756 「無視できないサプライチェーン上の人権問題②」 ~対応に動いた日本の企業~

2021-02-22 10:42:44 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 756 「無視できないサプライチェーン上の人権問題②」 ~対応に動いた日本の企業~


コバルト問題が世界的な注目を浴びる中、トヨタ自動車は今年に入り、電池などのコバルトを含有する製品の調達先をさかのぼり、製錬業者を特定する作業を本格化させました。

コバルトの調達状況の調査は、エレクトロニクス業界が先行していましたが、電池はハイブリッド車やEVの心臓であることから、自動車産業も本腰を入れて対応せざるを得なくなりました。

コバルトについては紛争鉱物(タンタル、スズ、タングステン、金)のようにサプライチェーンの調査報告を義務付ける法律はまだ存在していませんが、ステークホルダーの関心が高く、欧州で法制化が進む可能性もあります。

「人権侵害に加担することがないよう、エレクトロニクス業界と自動車業界が連携して調査を的確に進める必要がある」と電子情報技術産業協会(JEITA)は話します。

欧米に比べて、人権リスクへの対応が後手に回りがちな日本ですが、踏み込んだ対応を進めてきた企業もあります。

ファーストリテーリングは2001年に海外出店を開始し、ナイキやGAPの製品を製造する途上国の工場での過酷な労働が1990年代から社会問題になっており、危機意識を強めていました。

2004年に中国や東南アジアなどの縫製工場に求める人権配慮の規定を設け、第三者機関による抜き打ち監査も実施して来ました。

監査結果などを踏まえ、取引先をA~Dの4段階で評価する格付け制度を開始し、2009年からはE評価を設け、深刻な問題があり改善されない、あるいは虚偽報告した企業に対し、取引の縮小や打ち切りなど厳格な対応して来ました。

これまで累計で75の工場がE評価となっていましたが、取引先の意識向上と改善支援を強化した結果、2019年度はE評価の企業は1社にとどまりました。

さらに、調達先が人権・労働問題に主体的に取り組むようにするため、2019年10月からは取引の長い中国の主要縫製工場から順次、自主監査へと切り替え始めました。

自主監査の結果を、第三者機関が現場に立ち会って検証することで、監査の精度を保つ取り組みになっています。

ファーストリテーリングは透明性を高めるため、工場の公開にも踏み切り、2017年に縫製工場のリストを公開、取引がある約600の工場のうち、生産量ベースで9割を占める248の主要工場の名前と住所を自社サイトで開示しています。

2018年には縫製工場の先にある主な素材工場も開示しました。

背景には、数年前に国内外のNGOやメディアから委託先の工場での長時間労働や労働環境の不備が指摘された苦い経験があります。

ただし、ユニクロの品質を支える工場を明かせば、競合に手の内を明かすことになりかねません。

「当初、経営陣は難色を示した」

しかし、透明性を徹底して確保する事の重要性を粘り強く説明し「社会の要請に応えられない企業に存在意義はない」と口癖のように語って来た柳井会長が最後に決断したのでした。

(続く)



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お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/

成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 

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