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マーケティング研究 他社事例 762 「失われてしまった開発意欲」 ~日本は衰退の道へ~

2021-03-03 10:16:44 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 762 「失われてしまった開発意欲」 ~日本は衰退の道へ~


アメリカと中国が繰り広げる半導体をめぐる対立を見て、30年以上前に起こった日米間の半導体摩擦を連想する日本人は多いと聞きます。

世界で隆盛を誇った日本の半導体産業は、いつしか存在感を失ってしまいました。

米中の対立と日米半導体摩擦の共通点、そして相違点はどこにあるのでしょうか?

「日本の半導体メーカーが不当に廉価販売している」

1985年6月、アメリカ半導体工業会(SIA)が日本製半導体をダンピング違反としてアメリカ通商代表部に提訴しました。

1976年に立ち上がった「超LSI技術研究組合」でシリコンウエハーに回路パターンを転写する露光装置などの半導体製造技術を磨いた日本勢は、1981年には64キロビットDRAMの世界シェアで合計70%を占めるまでに至っていました。

対日貿易赤字が拡大してアメリカが狙いを定めたのが半導体でした。

日米政府は1年間の交渉の末、1986年9月に「日米半導体協定」を締結しました。

この協定で定められた取り決めが「日本の半導体産業が弱体化する1つの引き金になった」と振り返るのは、10年後の締結交渉で日本側団長を務めた元日立製作所専務の牧本氏です。

「日本市場における外国製半導体のシェア拡大」と「公正販売価格による日本製半導体の価格固定」という2つの取り決めで、「何をやるにしてもがんじがらめだった」と語ります。

この協定は、日本の半導体産業を徐々にむしばんで行きました。

「日本の半導体産業はアメリカからたたかれたイメージが強いが、内部にいるとぬるま湯のようだった。公正販売価格がじわじわと麻薬のように効き、開発意欲が失われていった」

ある総合電機メーカーの半導体部門OBは証言しています。

協定によって決めた最低価格が高く安定していたため、各社のDRAM事業は特段何もしなくても高い利益率を得られる状況となり、他社と新製品の技術開発で競争しようというモチベーションを無くし、現状維持に甘んじるようになったと言います。

さらに自社製品を売り込み過ぎると「外国製半導体のシェアを20%以上にする」という目標を達成できなくなってしまいます。

顧客に海外メーカーの製品を紹介する事すらあったと言います。

後に韓国勢がDRAMの低価格攻勢を仕掛けた時、日本企業には対抗できる技術も意欲も残っていなかったのです。

(続く)


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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 

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