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マーケティング研究 他社事例 741 「今後も増える見通しの世界人口」 ~均衡してきた消費と生産~

2021-01-30 17:10:20 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 741 「今後も増える見通しの世界人口」 ~均衡してきた消費と生産~


現在約77億人の世界人口は2050年に97億人に増える見通しです。

「今日の西側諸国の消費モデルを維持して人々を養うには50年までに世界の食糧生産量を70%引き上げなければならないが、達成は不可能に思える」

欧州復興開発銀行の初代総裁のジャック・アタリ氏は近著『食の世界』で指摘しています。

また多くの識者が「食糧問題に手を打たなければ人類は危機に直面する」と見ています。

本当に危機が訪れるかどうかの前提として、食糧需給の現状はどうなっているのでしょうか?

直近の世界の穀物(トウモロコシ、小麦、コメなど)の年間消費量は26.7億トンと、20年目に比べ4割以上増えています。

アジア各国の著しい経済成長が牽引し、食肉を生産するための飼料の用途も増えました。

しかし、期末在庫量が年間需要の何%かを示す「期末在庫率」は30%超と、10年前から10ポイント上回る水準で推移しています。

この結果、生産は近年、消費を上回るペースで増えているという事がわかります。

この理由として、①品種改良②遺伝子組み換え技術の発達③農場の大規模化があげられます。

では、技術革新で単位面積当たりの収量が高まっているなら、今後の需要増も技術の改善による生産増で吸収できないのでしょうか?

主要な穀物の中で最も消費量が多いトウモロコシは、今後も大幅な増産が見込まれています。

家畜飼料としての期待が大きく、農林水産政策研究所の試算によると、2029年の世界消費量は12億6380万トンと2016年~2018年平均から15%増えますが、しかし生産量は12億6640万トンと消費を上回る見通しです。

過去30年で生産量が2.5倍となったトウモロコシですが、多くの専門家は「余力はまだある」と見ています。

ブラジルではアマゾン川流域に、たとえ森林伐採しなくても耕作が可能な土地が多く存在しており、生産効率性の向上が顕著なウクライナも担い手の候補です。

小麦は2029年の消費量が8億7700万トンとなり、2016年~2018年平均から2割弱増えると予想されています。

欧州諸国で生産が盛んで「マーケットメカニズムが働く穀物」だけに、需給は均衡を保っていますが、今後はロシアや中国が増産傾向で、国が支援するインドでも生産意欲が高まっています。

大豆は輸出入のプレーヤーが分散するトウモロコシや小麦と違い、輸入国としての中国の存在が突出しています。

中国の消費量は2016年~2018年平均で国内生産量の約7倍の1億790万トンで世界全体の約3割を一国で消費しているのです。

大躍進政策の失敗で1960年ごろに深刻な飢饉を経験した中国は、長く穀物生産に国力を傾けて来ました。

トウモロコシ、小麦、コメは生産量と消費量がほぼ拮抗し、輸入がほとんど必要としませんが、食用油や飼料など利用効率の高さからその後に「主要な作物」となった大豆は、急速な普及に対応するため、例外的に輸入に頼る品目として定着しました。

では大豆は中国のアキレス腱になるのでしょうか?

大豆輸出国のアメリカとブラジルはともに販売先を中国に頼っています。

米中摩擦で中国はアメリカを揺さぶる武器として大豆を活用していました。

今後はアルゼンチンなども大豆を増産し、輸出を増やすと見られていますので、2029年の世界生産量は4億1380万トンと消費量の4億1420万トンを若干下回りそうですが、備蓄分でカバーできる見通しとなっています。

(続く)



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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 

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