マーケティング研究 他社事例 770 「企業誘致という幻と現実」 ~根底から崩れさる未来図~
大分県北東部の杵築市はかつて企業誘致に成功し、にぎわいがありました。
しかし・・・今は・・・。
杵築市の街が周辺自治体とともに、半導体をはじめ先端産業の誘致・集積を掲げたのは約40年前になります。
国の「テクノポリス構想(1980~90年代の日本の地域開発の柱と期待され導入された先端技術産業を核とし,企業と大学,研究・開発機関を結びつけ,工業開発を促進することにより地方経済の発達に寄与する)」にも指定され、東芝やソニー、キャノンなど日本を代表する企業の誘致にこぎ着けました。
「誰もが企業を誘致すれば雇用が生まれ、経済も成り立つと思っていた」と永松杵築市長は振り返ります。
空港からは車で20分ほどと、企業の立地条件としては決して悪く無く、アパート群の外観はそれほど古くはありません。
しかし、各部屋にカーテンがありません。
入居者募集の看板は色あせ、郵便受けも閉じたままとなっています。
時計の針が止まってしまったかのように、住民の姿と生活の匂いがほとんど感じられないようです。
「月1万円以下で賃料を設定しても、借り手がつかない」と地元関係者は嘆きます。
「投げ売り・投げ貸し」の要因は何なのでしょうか?
実は街の異変はコロナ禍の前から始まっていたようです。
アパートの多くは2000年前後・キャノンの工場進出(現・大分キャノンマテリアル)を見込み、周辺の農家らが相次いで建てた結果です。
しかし2008年、リーマンショックがこの地を襲います。
大幅な生産減に伴ってキャノンらの派遣従業員が街を去り、アパートの空室率が激増したのです。
最盛期に2500人いた派遣労働者が500人まで落ち込んだためです。
2016年には隣接する国東市にあるソニーの半導体工場も大幅に規模が縮小され、空室増に拍車をかけました。
街が潤っている時に、次第の策は無かったのかと悔やまれる所です。
企業が合理化や省力化投資に舵を切る事はある事です。
そういった現象は、企業戦略の常道と言えます。
今後、企業のドライな動きが加速する可能性は否定できません。
「グローバル企業にとって、杵築市からの撤退はおおきな決断では無いのかもしれない」
永松市長は力なく語ります。
街の未来をさらに曇らせる出来事も迫っています。
2021年3月、今度は半導体製造のアムコー・テクノロジー・ジャパンが工場を畳みます。
もともとは東芝のLSI工場で、2009年ジェイデバイス(大分県臼杵市)に譲渡され、後にアムコー(アメリカ)の完全子会社となりました。
この撤退の破壊力もまた大きく、500人の従業員のうち、およそ半数が別工場に配置転換され、杵築市を去る見込みと言います。
結果、杵築市の税収にも直接響きます。
アムコーからの法人市民税は過去5年平均で年約7000万円、上水道の利用料金は年約3000万円と予算規模が200億円ほどの自治体にとって、一企業の撤退による1億円の収入源は「痛手」という以外の言葉が見つかりません。
何とか手を打とうと、都市部から離れ、リモートワークで働く人の受け皿になろうと杵築市は2020年8月に新たに「テレワーク定住促進補助金」を打ち出しましたが、工場に通う労働者を想定して建てられたアパートが多く、光ファイバーをはじめ通信環境が整っていない物件が多いという事がわかり、問い合わせ件数も少なく、早くも事業を中止にする予定となっています。
コロナ禍の日本経済は土俵際にあります。
人の移動と消費、企業活動はまだ滞っており、日銀試算では2020年度の実質国内総生産(GDP)は2019年度比でマイナス5.5%と見込まれています。
金額にして、ざっと30兆円が1年で失われる計算が成り立ちます。
地方への影響はどうでしょうか?
マイナスの影響も過去の貢献度合いに応じて受けると仮定して試算したところ、東京、大阪など4都府県を除いても、18兆円分のGDPが消失する見込みです。
各地方にとって「企業さえ来て来ればわが街は安泰」などという方程式はもはや、コロナ禍では通用しません。
この苦境下での企業の判断は、ドライであり、かなり厳しめであり、自治体が考えるペースよりもずいぶんと速いと言えます。
パナソニックは2020年10月、映像機器を生産する岡山工場を来秋、閉鎖すると決めました。
1973年設立の工場と苦楽をともにしてきただけに、「地域と長く関係を築いてきた歴史もあり影響は甚大だ」と岡山市は話します。
歴史を紐解けば、昭和20年代頃までは、南部の港を中心に自動車部品や石油産業が盛んだった岡山市は、市内の内陸部に知識集約産業を集積させたいとの思いから、工業団地を整えました。
その時の柱が、パナソニックをはじめとする電子機器産業などの誘致であり、最盛期の90年代前半に年間300万台ものビデオデッキなどを同工場で生産しパナソニックが家電メーカーとして世界トップになる足掛かりにもなったというのも過言ではありませんでした。
来秋での閉鎖について、下請け企業は「雇用は維持していく予定だが、岡山で育って来た者には酷な選択を迫られる。当社もパナソニックの仕事が無くなるので、他の客先を探さないといけない」と話します。
無論、普通に考えて法人市民税、固定資産税などで結構な金額の影響が出ます。
従業員、従業員家族の個人市民税も考えれば、これからかなりのマイナスになるのではないでしょうか?
代わりになるような企業の誘致など容易ではありません。
システムやIT関連の会社の誘致にも力を入れますが、現状で快い返事はまだ届いていないと言います。
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
彩りプロジェクトでは、ビジネススキルに特化した、オンラインセミナーをサブスクリプション制(定額制)でご案内しております。
毎月定額(基本価格10,000円(税抜)※企業規模(パート社員含む社員数)で価格は変動します)をお支払いいただく事で、何人でも何回でもご参加いただけるビジネスセミナーを開催しております。(別途カレンダー参照)
内容は、多岐に渡るものの、求められている役割毎に設定した内容となっています。
基本的なコースは、R29コースで、PDCA、コミュニケーション、情報収集、イノベーション、ファシリテート、コーチング、意思を伝える、フォロワーシップ、チームワーク、マネジメント、報告・連絡・相談、ビジネスマナーの12種類(2020年11月現在)となっております。
R35コースで、PDCA、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、ファシリテート、チームビルディング、イノベーションの9種類でR29コースよりも上級編の内容となっております。
最後に、R43コースが最上位クラスで設定されており、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、イノベーションの6種類となっております。
R29コースの特徴は、まずは個人にフォーカスしています。今更聞けないといった内容を中心に構成されており、現在の課題克服の為、またはこれから身に付けなくてはならないスキルとなっています。
R35コースの特徴は、視座を高くした構成で専門的な役職要件に応じた内容で構成されております。そして指導する立場になったあなたが身に着けるべきスキル集になっています。
R43コースの特徴は、それこそ会社全体を見回せるスキルの構成となっており、幹部候補にとっても必須の内容になっております。
セミナー名の一部をご紹介します。
・パラダイムシフトが必要なあなたのマネジメント力
・影響力から見るあなたのチームワーク力
・求められているそれを知り意見を伝える力
・創再共イノベーション力
・予定調和じゃ無い方のPDCA力
・非認知的アプローチから入るコーチング力
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受講にあたっては各自の選択制(年齢が20代だから、R43は受講できないといった事ではありません)となっており、先んじて学びを深めたい、今更聞けない事だから、といった様々な動機にお答えする内容となっております。
ちなみに、R〇〇のとなりは年齢をイメージしておりますが、例えば、R43は43歳以上の人は受けられないという事はありませんし、大卒1年目の方でもR43を受講する事は可能です。
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お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
大分県北東部の杵築市はかつて企業誘致に成功し、にぎわいがありました。
しかし・・・今は・・・。
杵築市の街が周辺自治体とともに、半導体をはじめ先端産業の誘致・集積を掲げたのは約40年前になります。
国の「テクノポリス構想(1980~90年代の日本の地域開発の柱と期待され導入された先端技術産業を核とし,企業と大学,研究・開発機関を結びつけ,工業開発を促進することにより地方経済の発達に寄与する)」にも指定され、東芝やソニー、キャノンなど日本を代表する企業の誘致にこぎ着けました。
「誰もが企業を誘致すれば雇用が生まれ、経済も成り立つと思っていた」と永松杵築市長は振り返ります。
空港からは車で20分ほどと、企業の立地条件としては決して悪く無く、アパート群の外観はそれほど古くはありません。
しかし、各部屋にカーテンがありません。
入居者募集の看板は色あせ、郵便受けも閉じたままとなっています。
時計の針が止まってしまったかのように、住民の姿と生活の匂いがほとんど感じられないようです。
「月1万円以下で賃料を設定しても、借り手がつかない」と地元関係者は嘆きます。
「投げ売り・投げ貸し」の要因は何なのでしょうか?
実は街の異変はコロナ禍の前から始まっていたようです。
アパートの多くは2000年前後・キャノンの工場進出(現・大分キャノンマテリアル)を見込み、周辺の農家らが相次いで建てた結果です。
しかし2008年、リーマンショックがこの地を襲います。
大幅な生産減に伴ってキャノンらの派遣従業員が街を去り、アパートの空室率が激増したのです。
最盛期に2500人いた派遣労働者が500人まで落ち込んだためです。
2016年には隣接する国東市にあるソニーの半導体工場も大幅に規模が縮小され、空室増に拍車をかけました。
街が潤っている時に、次第の策は無かったのかと悔やまれる所です。
企業が合理化や省力化投資に舵を切る事はある事です。
そういった現象は、企業戦略の常道と言えます。
今後、企業のドライな動きが加速する可能性は否定できません。
「グローバル企業にとって、杵築市からの撤退はおおきな決断では無いのかもしれない」
永松市長は力なく語ります。
街の未来をさらに曇らせる出来事も迫っています。
2021年3月、今度は半導体製造のアムコー・テクノロジー・ジャパンが工場を畳みます。
もともとは東芝のLSI工場で、2009年ジェイデバイス(大分県臼杵市)に譲渡され、後にアムコー(アメリカ)の完全子会社となりました。
この撤退の破壊力もまた大きく、500人の従業員のうち、およそ半数が別工場に配置転換され、杵築市を去る見込みと言います。
結果、杵築市の税収にも直接響きます。
アムコーからの法人市民税は過去5年平均で年約7000万円、上水道の利用料金は年約3000万円と予算規模が200億円ほどの自治体にとって、一企業の撤退による1億円の収入源は「痛手」という以外の言葉が見つかりません。
何とか手を打とうと、都市部から離れ、リモートワークで働く人の受け皿になろうと杵築市は2020年8月に新たに「テレワーク定住促進補助金」を打ち出しましたが、工場に通う労働者を想定して建てられたアパートが多く、光ファイバーをはじめ通信環境が整っていない物件が多いという事がわかり、問い合わせ件数も少なく、早くも事業を中止にする予定となっています。
コロナ禍の日本経済は土俵際にあります。
人の移動と消費、企業活動はまだ滞っており、日銀試算では2020年度の実質国内総生産(GDP)は2019年度比でマイナス5.5%と見込まれています。
金額にして、ざっと30兆円が1年で失われる計算が成り立ちます。
地方への影響はどうでしょうか?
マイナスの影響も過去の貢献度合いに応じて受けると仮定して試算したところ、東京、大阪など4都府県を除いても、18兆円分のGDPが消失する見込みです。
各地方にとって「企業さえ来て来ればわが街は安泰」などという方程式はもはや、コロナ禍では通用しません。
この苦境下での企業の判断は、ドライであり、かなり厳しめであり、自治体が考えるペースよりもずいぶんと速いと言えます。
パナソニックは2020年10月、映像機器を生産する岡山工場を来秋、閉鎖すると決めました。
1973年設立の工場と苦楽をともにしてきただけに、「地域と長く関係を築いてきた歴史もあり影響は甚大だ」と岡山市は話します。
歴史を紐解けば、昭和20年代頃までは、南部の港を中心に自動車部品や石油産業が盛んだった岡山市は、市内の内陸部に知識集約産業を集積させたいとの思いから、工業団地を整えました。
その時の柱が、パナソニックをはじめとする電子機器産業などの誘致であり、最盛期の90年代前半に年間300万台ものビデオデッキなどを同工場で生産しパナソニックが家電メーカーとして世界トップになる足掛かりにもなったというのも過言ではありませんでした。
来秋での閉鎖について、下請け企業は「雇用は維持していく予定だが、岡山で育って来た者には酷な選択を迫られる。当社もパナソニックの仕事が無くなるので、他の客先を探さないといけない」と話します。
無論、普通に考えて法人市民税、固定資産税などで結構な金額の影響が出ます。
従業員、従業員家族の個人市民税も考えれば、これからかなりのマイナスになるのではないでしょうか?
代わりになるような企業の誘致など容易ではありません。
システムやIT関連の会社の誘致にも力を入れますが、現状で快い返事はまだ届いていないと言います。
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彩りプロジェクトでは、ビジネススキルに特化した、オンラインセミナーをサブスクリプション制(定額制)でご案内しております。
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内容は、多岐に渡るものの、求められている役割毎に設定した内容となっています。
基本的なコースは、R29コースで、PDCA、コミュニケーション、情報収集、イノベーション、ファシリテート、コーチング、意思を伝える、フォロワーシップ、チームワーク、マネジメント、報告・連絡・相談、ビジネスマナーの12種類(2020年11月現在)となっております。
R35コースで、PDCA、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、ファシリテート、チームビルディング、イノベーションの9種類でR29コースよりも上級編の内容となっております。
最後に、R43コースが最上位クラスで設定されており、リーダーシップ、傾聴力、ビジョン、コーチング、マネジメント、イノベーションの6種類となっております。
R29コースの特徴は、まずは個人にフォーカスしています。今更聞けないといった内容を中心に構成されており、現在の課題克服の為、またはこれから身に付けなくてはならないスキルとなっています。
R35コースの特徴は、視座を高くした構成で専門的な役職要件に応じた内容で構成されております。そして指導する立場になったあなたが身に着けるべきスキル集になっています。
R43コースの特徴は、それこそ会社全体を見回せるスキルの構成となっており、幹部候補にとっても必須の内容になっております。
セミナー名の一部をご紹介します。
・パラダイムシフトが必要なあなたのマネジメント力
・影響力から見るあなたのチームワーク力
・求められているそれを知り意見を伝える力
・創再共イノベーション力
・予定調和じゃ無い方のPDCA力
・非認知的アプローチから入るコーチング力
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受講にあたっては各自の選択制(年齢が20代だから、R43は受講できないといった事ではありません)となっており、先んじて学びを深めたい、今更聞けない事だから、といった様々な動機にお答えする内容となっております。
ちなみに、R〇〇のとなりは年齢をイメージしておりますが、例えば、R43は43歳以上の人は受けられないという事はありませんし、大卒1年目の方でもR43を受講する事は可能です。
定額制で何人でも何回でも受講が可能です!!
詳しい、資料のご請求や、ご質問等は以下にメールをお待ちしております。
メール info@irodori-pro.jp
HP https://www.fuudokaikaku.com/
お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
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