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マーケティング研究 他社事例 411 「AIによる最適解1」 ~統計データから因果関係を解明する~

2019-09-18 09:00:48 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 411 「AIによる最適解1」 ~統計データから因果関係を解明する~


AIを使った自動化がマクロ経済にどうインパクトを与えるのか?

AIが奪う仕事があれば、新しく生まれる仕事がある事を理解し、そこに加え、人口減少がどのように効いてくるのか?について考慮する必要がある事は前回までに説明してきました。

では、AIを使って最適な価格設定が出来るのかどうか?

価格戦略について考えて行きたいと思います。

例えば、オンライン上で購入できる小売業や、またはスーパーマーケットなどを思い浮かべてみましょう。

顧客の商品購入履歴を基に、今後、最も売上増加につながりそうな価格設定をするという一連のタスクをコンピューター上で自動化したとします。

もしこうした仕事をAIに丸投げできるなら、「過去の営業記録を基に、現在と未来のビジネスのための意思決定をするという知的な営みのひとつが、一応は自動化したことになります。

購入履歴に基づくおすすめなどの機能は、アマゾンを中心にだいぶ浸透してきました。

その上で、AIが価格設定するのは何が足りないのでしょうか?

それは、価格設定が売り上げに及ぼす効果が分からないと何も始まりません。

価格設定を「原因」、売上を「結果」と考えて、因果関係を調べる必要があります。

経済学的に言い換えれば「需要関数」と呼ばれるものとなります。

売上数量 = 価格設定(ほかに広告宣伝、商品特性、顧客特性、天気や季節など)の関数

普通の需要関数なら、「値段が下がると販売量が増える」という右肩下がりの線になるはずです。

たくさんの商品購入履歴(ビッグデータの典型)があれば、価格や広告のインパクトなどすぐに分かりそうなものですが、実は話はそう簡単なものではないようです。

客は値段がコロコロ変わるのを好まないと思いますし、店舗にある数万品目の商品価格を逐一変えるのは大変です。

セール対象品を除けば、どの商品も大体同じ値段にしておきたいという店が多くなると思います。

とても合理的だと思います。

しかし値段が一定だと、AIの値付けに必要な因果関係を調べる事が出来ません。

統計分析のために必要な価格データのばらつきがゼロになってしまうからです。

また、仮に価格の変化が記録できたとしても、売上が増減する原因を知る為の分析に使えるとは限りません。

過去の価格には、その時点の担当者による市場予測や、需要とは関係ない理由による営業判断も反映されているからです。

セール品は、そのタイミングで売り切りたい店の都合で値段を下げるから、値下げをしたことが需要を喚起したとも言えます。

では、値上げをした場合はどうなのか?

例えば、お盆の真っただ中に北海道に旅行したら相当多額の出費になります。

ホテルも航空券もレンタカーも、需要が多い時期なので値段が高く設定されているからです。

値段が高いので客が多いでは、間違ってもありません。

客が多い事が容易に予想されるので、そもそも値段が高いという事になります。

つまり、高価格→販売好調という因果関係ではなく、ハイシーズン→高価格という逆の因果関係になっている点に注意するべきです。

料金の変動に関する生データをただぼんやり眺めていると、値上げをしたから、来客が増えたようにも見えます。

しかし、もしも北海道のリゾートホテルが、夏休み以外の平時に宿泊料を高く設定しっとしたら、客足は一気に遠のいてしまう事でしょう。

(続く)



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