佐藤功の釣ったろ釣られたろ日誌

釣り・釣りの思い出・釣り界のこと・ボヤキ.etc

日本の磯の開拓者‐5

2022-07-11 18:33:31 | 釣り界の歴史

宇治群島の釣りつづきー5

死闘・馬乗り碆

朝、今日の大漁を恵比寿さんにお祈りして、持参の焼酎を海にたらす。そこへ、今日は私も一緒にお供します、と言いながらやって来た船頭氏の道具をみて驚いた。田辺のクエ竿の倍も太い青竹に道糸全部がマグロ用のワイヤである「昼からアラ(クエ)をやるんですか?」「いえヒサ(石鯛)です、貴男の合成(ナイロン)では、ここのヒサは一寸無理でしょう」「なかなかこれで3貫までは大丈夫ですヨ」この自信満々の言葉が図らずもOAC(大阪磯釣クラブ)の名誉を傷つけるような私の未熟さを暴露する結果になろうとは、神ならぬ身の知る由もなかった。

潮の加減で、今日は昨日と反対側に竿を打つ、勿論馬乗り碆、昨日の復讐戦というわけだ。昨日の失敗に懲りているからハエずれを避け、できるだけ前方に竿を突き出した。足場を固め、さあ来いという体勢でアタリを待つ、林さんと船頭氏が盛んにフジツボをこませてくれる、潮は相変わらず速い、このポイントは遠投すると、前のハエにかかる恐れがあるので、足もとを釣ることになるが、それでも15ヒロは軽く出る。

8時過ぎ漸くコマセが利き始めたか、軽くアタリ出す、”来タナ”と身構える中に、置き竿にした東作の穂先がいきなり宙天から海中に突っ込んだ。その一瞬を捉え「タアーッ!」と気合もろとも、後ろにのけぞって合わせたが、これはどうしたことかてんで竿が立たない、こんな馬鹿なことがと、真っ赤に力んで両腕を竿にかけ、力一杯後ろへ反り返ったものの、竿尻を当てた下腹が猛烈に痛いばかりで、とてもリールを捲くゆとりはない。やっとジリジリ2,3尺ばかり竿を起こしかけた途端に、またもや凄い力でしめこまれてしまった。まるでクレーンで持ち上げるようにのけぞって座っている私の体をフワーッと浮かして前のめりにさせたのだから、なんとも驚くべき怪力だそして次の瞬間には私の竿は、ヤモリのようにピタリと岩に吸いつき、そこで2,3度上下にこすっていたとおもうと、急にフット腰を伸ばして、軽くなった。一瞬の拍子抜けで、私も危うく尻もちをつきそうになり、慌てて上体お起こして軽くなったリールを捲くと、2分のナイロン道糸が20メートル近くもハエズレでザラザラになり、そこで見事に高切れしている。

(場所が悪い)と初めて悟ったが、食いのたった今場所を変える手はないと、寸時も惜しく、ざらざらになった部分を切って捨て、新しい仕掛けを結んでなげこんだ。

 

 

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