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映画『東京家族』について

改元記念(13) 『言葉の木蔭』 宇佐見英治

2019年04月21日 | 映画『東京家族』
 『言葉の木蔭』は、三の丸尚蔵館の特別展でご展示されていた本である。これはごく少部数のみ作られた私家版のようなので、国会図書館にも入っていなかった。しかし昨年、同じ題名のアンソロジーが出版されていたので、ご展示されていた本の内容の一部も、これで知ることができた。



















空は日ごとに梢を吸いよせる。
だれも知らない高みで樹は歌を
うたう。






歌う木にのぼることはできない。
だれもが梢のそばでふり落とされて
しまう。






風に薔薇がそよぐように、土に
ころがった石もまた生きている。






生きるためには言葉の木蔭が
どうしても必要だ。






人間のほんとうの共同体は生者と死者
から出来ており、そして生きている者
より死者の方が遥かに多いということ
が書棚ほど自然に感じられるところは
ない。






われわれはひとりびとり必死になって
時間の波の突端に立っている。






星は天空を飾るばかりでなく
地中にもばらまかれている。



















































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