――『薔薇園 グリスターン』第一章 物語二六から
サアディー / 蒲生礼一 訳
“ある非道者が貧者から無理矢理薪を買い取って、金持たちに与えていたということである。ある信心深い人が通りかかって、こう言った。
「汝は見たものに嚙みつく蛇なのか、
またとまったところに破滅をもたらす梟なのか?
汝の力が、たとえ私に及ぼうとて、
何で秘密を知る神に及ぼう!
地上の民を虐げてはならぬ、
その哀訴が天に届いてはならぬから!」と。
この役人は彼の言葉に立腹し、その忠言に眉を顰めたが、さらにこれを気にかけようとはしなかった。”

2018. 10.14.(日)まで
東京芸術劇場 シアターウエスト